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やったぜクリーンシート【2021年 J2 第32節 ジェフユナイテッド千葉対松本山雅】

いやー、しょっぱい試合でした。

それでも3試合無敗継続は、この時期かなり大きいと思います。しかも名波体制初のクリーンシート。守備陣の奮闘が光りました。やられて帰って1週間過ごすのと、やられなかったという手ごたえの中で1週間過ごすのでは全然違いますからね。

前回のリーグ戦でのスコアレスは6月の19節大宮戦までさかのぼります。吹っ切れた笑顔が印象的だったニコニコ柴田さんのラストマッチですね。ものすごく昔に感じます。

今回は、ざっと試合を振り返ったあと、ポジション別に守備について振り返って、熱かったポイントに触れていきます。


【試合結果】

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崩し切れなかった千葉、崩しにさえ行けなかった松本。たくさんのゴールが生まれてきたこのカードですが、今年は雰囲気ガラッと変わりましたね。

支配率61%対31%。シュート数21(4)対5(0)。ペナルティーエリアへの侵入割合で言えば9対1ぐらいに感じました。松本は交代で流れ変わるかなと期待もしましたが、試合終盤まで千葉守備陣があまりストレスを感じたり消耗していなかったこともあり、終始支配されたままでした。

また両チームに4枚ずつイエローカードが出るなど若干荒れた試合でした。まあボディコンタクトでいくら激しさがあっても、ゴール前での激しさがなければ印象には残りませんけどね。。高橋選手が無事なようで安心しました。


【スタメン&フォーメーション】

スクリーンショット (25)

千葉の3-4-2-1はWBが上がる可変式。

CBが大外に出てSB的になり、右WBの福満がサイドに張ったかと思えば外から中に入っていくなどダイナミックな動きを見せます。更に実質2バックになるので、その右サイドの可変で生まれがちなギャップを熊谷アンドリューもしくは田口のボランチのどちらかがカバー。千葉はひたすら押し込んでいたので、この可変モードでいる時間が長かったように見えました。

交代は前半でアクシデントの高橋に代わって岡野。65分に右シャドーの船山→サウダーニャ、左WB末吉→安田。CB新井は後半に左に移動。


松本はベースのフォーメーションとしては3-4-2-1、大半の時間を5-3-2、カウンター狙いの並びで過ごしました。

出場停止明けの下川が右WB、対人守備の強さを見せました。前節負傷交代のセルジがメンバー外、河合がスタメンに入りました。

なんというか、流れからの攻撃に関しては、セルジがいなくなった途端やることがキック&ラッシュになってしまうのがなんとも残念です。それでも収めようと身体を張ってくれる翔さんは結構馴染んできたな、有り難いなと感じます。

流れを変える期待の榎本くんは69分に登場。翔さんと2トップを組みました。ただ前線の2人も守備で自陣に戻る時間が長く、味方の消耗も激しく、そこから厚みのある攻撃というのは難しかったです。


【最大の収穫】無失点

金沢北九州相手ではなく、千葉相手に無失点をやってのけたことが大きいですね。言ってしまえば前者の2チームは、残留争いにいるチームで、攻撃もしながら失点もしないようにバランスを取っていた印象がありました。

しかしながらこの日の千葉は、最近は1点で勝敗を分けている調子とはいえ「ジェフユナイテッド千葉」ですから、人数のかけ方もそうだし可変で嫌な立ち位置を取ることもそうで、結構リスクを負って攻撃に出ていました。リスクを負って攻めてきた相手に対してゼロで抑えられたからこそ、より無失点というのは自信になります。

より具体的な話をすると、金沢北九州の4‐4‐2とは違い千葉が3バック+3トップだったことでポジションの噛み合わせがよかった気がします。次に、それぞれのポジション別にみていきます。


▼中盤の守備:押し込まれる原因?

守備時の松本は右平川、中央サトカズ、左河合の3枚。平川・河合はボールサイドになった場合サイドに出て行って相手WBにプレスをかけていきます。まずはこれが第一段階の守備。プレス自体はかけている場面もあるのですが、二度追い三度追いがなく、特に田口が持つと足が止まって相手を見てしまう、無意識のうちに下がっていってしまう、という感じがありました。

加えて新井などCBの攻撃参加に対して誰が最初に守備に行くのかが曖昧で、そこも含めて持たれているのに見てしまってサイドの深いところに展開されることがありました。

3枚が横並びになっているので、比較的サイドには出やすいものの、中盤で引っ掛けられないと、インターセプトしてカウンターにもなかなか行けない状況でした。もっとプレスかけられると思います。

▼WBの守備:ファーストディフェンダー

一概にWBが相手WBを見るのではなく、2シャドーの船山と見木も見ながらの守備。WBかシャドーがボールをアタッキングサードまで持って入ってきたらファーストディフェンスとしてプレス。

常田橋内で櫻川ソロモンを見なければいけないシーンもいくつかあり、その際はボールサイドではないファー側のシャドーにしっかり付いてフリーで侵入を防ぐ役割も果たしました。

視界には正面に相手WB、横方向にシャドーがいる中で、いい立ち位置は取れていたように思いました。

▼CBの守備:鉄壁

中央の橋内のタスクはシンプル。櫻川ソロモンを自由にしないこと。ウタカといい、橋内はこういうデカブツ系のセンターフォワードのマンマークになると特に輝くし、その分終盤で消耗がでます。でも素晴らしかった。

常田は橋内と一緒に櫻川をマーク、そしてシャドーのボックスへの縦侵入を切る、クロスを跳ね返す。大野は時折前に出てシャドーにマンツーマンでコースを切ることもしており、相手の純粋な縦選択を減らすことができていました。

なにより相手のクロスに対して先に触る回数が多かった。集中したいい守備でした。


▼見木船山封じが熱い

3人に対して5人で守るポジションの噛み合わせの良さ、そしてそれぞれの距離感の良さ(押し込まれていたからですけど)の中で、ボックス内の寄せの速さ・跳ね返す守備が光っていましたが、そこ以外でも熱い箇所がありました。シャドーの見木と船山封じです。右の船山には常田外山河合、左の見木には大野下川平川とそれぞれトライアングルを形成し、2人が足元でもらった時点で囲む状況を作っていました。

5-3の守備に相手が2シャドーになると、この守備ができるからいいですよね。これが5-2だとバックラインからの正面でのけん制だけになりがちなので大宮戦や東京戦みたいにWBとCBがブチ抜かれるようなシーンも出てきてしまいます。

こうしてシャドー封じが成功することで、大外からシンプルに櫻川狙いのクロスの選択も増えて、それを跳ね返すという、押し込まれてはいるけれど相手のやれることは限定しながらの守備ができていたと思います。

勿論弊害もあります。奪った瞬間です。それだけ近くに味方がいるということは、前にいる選手も少ない。となると落ち着かせるためにファーストタッチが前に行かない・バックパスを選択する=速い攻撃ができなくなる。千葉がネガティブトランディションに入り、今度は逆に船山福満がハイプレスで奪い返しにくる。松本陣内のシャドーを囲むトライアングルは取って取られての最も熱い(その分ファウルも多い)エリアでした。


【でも見たいのは】得点への期待

ここまでディフェンシブに戦い、無失点という成果を得られたわけですが、それはそうとして、見たいのはやっぱりゴール。

前半山口がミドルで終わったシーンなんかを観ていても、やっぱり攻撃はリズムや自分たちの時間帯を作れないとなかなかゴールまで行くことはできません。カウンター一辺倒なら、極端な話それこそサイドに横山くんとか置いて走らせた方が可能性ありそう。その点では前節は後半開始にギアチェンができたのが功を奏しましたよね。

交代でも、時間を限定してでも、どこかで自分たちでギアを替える時間が必要ですね。特に千葉はサイドに人数をかけてきたので、そこで奪って3ボランチを支点にウイングバックがワンツーで抜け出すなど、自分たちから剥がして出ていくチャンスは作れたはずです。久々のマイボールになって休んでしまうのも、「ここでまた取られたら守備しなければいけない」という心理が働いているからだと思います。できればそれを乗り越えて「この時間は攻める時間だ」ということで休まない(休めない)状況を作りたかった。

攻撃・マイボールの時間に関しては、突っ込んで取られる、フィードが合わないなど、どうしても単調単発で終わってしまった印象でした。キープの選択をする、パスの精度を上げる必要が、、とかは残り10試合の段階で書くことではないですね。


欲をつらつら書いてしまいましたが、それでも無失点は素晴らしい。ぜひ継続してほしいところです。あとはゴールです。前Tもセルジもおめでとうなのにゆりかごダンス一回じゃ足りなくない?

なんか攻撃と守備でシーソーしているみたいですね。

次節は栃木戦。アウェイで苦汁を舐めさせられた相手です。削りあう試合がここ2試合続いておりますが、果たして。

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