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上に花咲かぬ日は 【2021年 J2 第18節 V・ファーレン長崎対松本山雅】


下に根伸ばせばいい。しなやかにこの意思を糧に芽を出せばいい。


こんばんは。先日のアウェイ長崎戦を振り返ります。タイトルに入れたのは、EURO2020にちなんで、EURO2008のテーマソング、Dragon AshのVelvet Touchという曲から持ってきました。

ちなみに私が初めてちゃんと観たEUROが2008年大会です。あの時のイタリアは監督がドナドーニさんで2006年ワールドカップ優勝メンバーで固めてて、でも成績が伴わなくて、世代交代がなってないことを痛感した大会でした。結局この課題が克服されないまま2010年大会も中途半端なメンバーになっちゃったんですよねぇ。

EUROの話はこれくらいにします。


話を強引に山雅のほうに移すと、まさに今は「上に花咲かぬ状態」です。だからこそこういう時に、根はしっかり伸ばしていかなければいけません。

試合結果

スクリーンショット (45)

左サイドのクロスからのファーで合わせた都倉のヘッド。まさに都倉らしい一発、やられたくない選手にやられてしまいました。サンプドリア戦のロナウドみたいでしたねぇ。さらに昔話ですが札幌ドームでやられたあの試合を思い出して嫌な気分になりました。うええ。

都倉のゴールを見たくない方向け。ああこんな感じだったんだなって

松本はなんとか追いつくべく終盤に攻勢をかけるも、力及ばず。なんとなんと4連敗です。ですが天皇杯組の奮起というポジティブ要素は確かにあると思います。


スタメン&交代

スクリーンショット (46)

松本は出場停止の常田の穴を埋めるべく星がスタメン。中盤はサトカズが脚に違和感があり出場回避。前節はサブスタートだった横山と戸島をスタメンに並べてのスタート。

交代は、前半終了際にノノがもも裏を痛め下川と交代。ディフェンスラインはまさに野戦病院状態。なかなか同じメンバーで組めていない状態。58分と65分で戸島→浜崎、表原→田中パ、横山→阪野、国友→村越。復帰の阪野と天皇杯組が試合の流れを変えます。

長崎は左SBの加藤聖が初出場初スタメン。初出場とは思えないくらい左サイドを堂々と駆け回っていました。MVPは都倉と思いますが、影のMVPは加藤聖だと思います。それと秋野に代わって最近ボランチで出場している加藤大。攻撃を何度も遮断されました。


試合の感想では「後半の追い上げがよかった。あの勢いを前半でも出せていれば勝てたかもしれない」というものがありました。たしかになーと思う反面、果たして前半に出すことが出来たのかという疑問もありました。その辺を考察すべく試合展開を確認していきます。


攻めたてる10分間、集中した守備

長崎は左サイド加藤聖から左から中へボールを送り込み、ファーで合わせるという狙いを序盤から見せてきます。右サイドはウェリントンハットの個人の力に任せる感じで、都倉やエジガルが走り込んできたシーンからもわかる通り、長崎は左からの崩しが狙いとしてあったように見えます。

かなり攻め込まれる時間が多かったですが、しっかり跳ね返すクロス対応、表原が剥がされた際の大野のカバーリングも序盤はしっかり集中して出来ていました。

長崎は立ち上がりから10分まではインテンシティー高く攻め込んできます。松本としては開始1分で見せたようなカウンターの形、オープンな展開をつくっての自分たちの時間をもう少し作りたかったところ。その為には河合国友に「確実に」一度収めることが重要になると思います。せっかくマイボールにしてもイージーなパスミスでなんにも始まらないっていうことは何回かありました。もったいないポイントです。


左右に揺さぶる長崎

10分を過ぎると長崎はややトーンダウン。自陣で回しながら揺さぶりをかけ、松本の守備の穴を伺います。

対する松本は15分に奪ったボールをワンタッチでテンポよく回してCKを奪うなど、若干ゆるくなった長崎に対抗する姿勢は見せていました。降りてくる2列目の河合と国友に収まると人数をかけて攻めやすくなります。長崎のマークもなかなか捕まえきれていませんでした。

ところが松本側の攻撃で問題に感じられたのは、戸島と横山の二人から味方に繋がらないところ。前線に収まらず、簡単に長崎にボールを渡してしまうことがもったいないなって思いました。ラフなボールでもなんとか収めてくれる阪野がスタートで出てたら...と思うことはありました。

松本側の守備で問題に感じられたのは、右サイドの表原と国友に対して相手の澤田と加藤聖のマーク。表原も国友もマイボールで活きるような選手なので、この二人での守備時にポジション入れ替えなどで崩す二人のマークがついていけないことがあって、それを見事に突かれて先制、そして何度かピンチを作られました。左右に揺さぶりつつも、連係での崩しという部分でこちらは右サイドの方がやられていました。


プレッシャーをかけているけどプレッシャーに感じられてない、のかも

お水休憩からハーフタイムまで長崎がピッチを広く使いキープしてきます。松本はそれを奪いに行ってカウンターを狙います。

解説の前田さんも言っていましたが、その奪いにいくプレッシャー、連動した守備が、連動はできているけど、実際それが回している相手に「やべ取られる!」と感じ何らかのエラーを生じさせるほどの強度があったかと言えばそうでもない気がします。ストレートにいうと、プレッシングが緩いんです。だから、かかってない。

ただ、これは結果的にポジティブに感じたのですが、低い位置でじっくり回してくる長崎に対してエジガルジュニオと都倉が降りてきたりスぺースに入ったりして受ける動きへの守備の対応はうまくいっていたようにも見えました。この辺は3CBに前Tがダイヤモンド状に並んで、相手FWが空いているところに走っていっても近くなった選手がいい距離で対処できていた。つまりバックライン自体のフォワードに対する守備は対面での守備は機能していたと思います。そうするとやっぱり取りどころをもっと高い位置にしたい。


後半序盤は前半同様に持たれる展開。気になった点

後半に入っても、長崎がボールを保持し揺さぶりながら松本のスライドのズレを狙うという展開が続きました。ここでは三人の交代をした58分までを振り返ります。

気になったのは、長崎はそこまでガツガツ攻めてくるわけでもなく、なんというか淡々と時間が過ぎたようにも見えたこと。

回されている際の松本の守備で気になったのは、ボランチの加藤大とカイオセザールに対してファーストディフェンスが定まっていないこと。両サイドに揺さぶる中で、縦パスやスルーパスを狙うために時々ボランチに預けるのですが、そこに対する松本の守備が遅れている。バックラインにプレッシャーかけにいってもサイドに逃がされたら無効化してしまうので、正直意味なくって、それだったらもっとボランチに詰めていかなきゃいけなかったと思います。国友、河合、戸島辺りですね。

三枚の交代直前に河合が放ったシュートは惜しかった。この時の長崎の守備を観ると、結構ゆるい。中盤はプレスかけてこないし、外山もクロス上げられたし、河合のカットインの時もシュートファーストディフェンスのシュートコース切りも遅れていた。なんというか、お互い守備のゆるさが出ている時間でした。なのでこの時間での天皇杯組と阪野の投入はスパイスとしていい選択になることは割と容易に想像ができました。


交代選手の効果は

田中パが左サイド、浜崎が前Tと中央、阪野が前線に入り、外山が右に回りました。64分には村越を投入。河合がシャドーストライカーで村越はインサイドハーフに。

まず守備の効果は、5-3-2のスライド、特に3の守備がバランスよくスライドするようになったことで、相手に中央での自由を与えなくなったこと。いままで自由があった中央がやりにくくなったことで、シンプルに都倉エジガルを狙うようになり、そこも前半からの対人守備対応の継続でうまくカバーできていました。さらに浜崎がいてくれることで前Tと村越が前に出ていって相手サイドバックにプレッシャーをかけるようになったことで、改めてというかやっと5-3-2の守備が機能したように見えました。

攻撃の効果、というか左に田中パを入れたのは、比較的本能で守備するタイプのウェリントンハットの裏を使おうという狙いがあったと考えます。しかしそこは73分に長崎が交代で蓋をします。同時に左SBの加藤聖も御役御免。鍬先が入ってからも、仕掛けることを使命に投入された田中パが起点になっていました。


終盤はなぜボールを持てたのか

リアルタイムで観ている時は単純に長崎の体力が落ちてきたからかなーと思っていましたが、実際はそれ以外にも要因がありました。

まず体力的なものは前提としてやっぱりあって、それによって長崎はどこでボールを保持するのかで苦労していました。サイドバックには先に書いたようにこちらのプレッシャーがかかっている、中央も交代で入った3枚の中盤が埋めてくる、相手ゴールに近いところでキープしたいサイドハーフと2トップは前に残る。

よって長崎は走力が落ちた上に距離感が遠くなった。そして単純にボールを蹴ることが増えた=自ずと松本がセカンドを回収できるようになった。長崎は守備時も準備が至らない距離感ができたので松本はマイボール時に判断する余裕が生まれ、それが蹴って走りこんでチャンスまで繋がったのかなって思いました。


追いつき、追い越すことは可能だったか

さきほどの考察の私なりの答え。今節はイエスです。ポイントは長崎の先制点奪取後。あの時間から長崎も松本も遅攻×遅攻になりました。常にアグレッシブだったのは長崎の左サイドぐらい。

ですのでこちら側にオフェンスのスイッチを入れることが出来れば追いつくことができたかもしれません。そのスイッチを入れるために、フォワードに収めたかった。

後半に関してもDFの守備は集中できていたし、交代での修正はこちらの方が上回っている感触を受けました。

試合の流れ的にはいけそうな雰囲気もあったのに、ゴールが決まらなかった。長崎の集中力が切れずに素晴らしかったのもありますが、松本はもっと相手の出方を見ながらここぞという時に強度を上げて相手ゴールに近いところまで持って行って欲しかったなって思いました。



次節は大宮。運命の大一番です。絶対勝つぞ―!






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