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構わず進め! 【2021年 J2 第20節 FC琉球対松本山雅】

監督が代わろうと代わるまいと、琉球は強かったし、課題も多い。でもその中で名波新監督は収穫があったと試合後のインタビューで言っていましたし、課題に対してもいままでの人と違う人が評価し修正・実践に移すことができるってだけでポジティブな要素になると思います。

大敗しましたが、新たなチーム作りをしていく過渡期にあると心得て、しばらくは見守っていこうと思っています。


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昨年撮ったものを使い回してます


というわけで、(天皇杯を除き)この2年だけですっかり鬼門になってしまった琉球戦を振り返ります。冷静に考えて、鬼門な上に「勝利に飢えている上位」状態の琉球、というのは初陣としては最も難しい部類の相手というか、不運だったというか。。逆に言えばいきなり一番難しい相手とやれたことで問題点がこれでもかと晒された感ありますし、それを基に再建を進めることができれば無意味な敗戦にはならないと思います。


試合結果

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Jリーグ公式より

清武功暉のハットトリックに風間宏矢のゴールで4得点と爆発した琉球が4-0で大勝。1点目から2点目、3点目から4点目の時間的間隔が短いことから、琉球の「仕留める技術の高さ」を褒めるしかありません。ゴールを含めた攻撃は、役割が整理されていて無駄がないところが素晴らしいと思いました。つまり11人でやってる感じがいいんですよね。

松本は試合開始から約10分間、そして後半の後半ではボールを自分たちで動かして進める時間がありました。どちらも琉球の想定の範囲内でやっていた感は否めませんが、そこから今後へのポジティブな部分を見つけていきたいところです。


スタメン&交代

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GK田口やFW池田が負傷離脱で欠くものの、その穴を感じさせないような琉球。アグレッシブなアップダウンを繰り返していた右サイドバックの田中の後半早い時間での交代は気がかりです。前半左の下川とバチバチにやりあっていたのは見応えありました。

名波さんに代わり、注目された松本のメンバー。目玉となったのは初スタメンとなった山田真夏斗。浜崎とボランチを組み、ディフェンスラインまで降りてくるアンカーの役割でした。先日の信毎の記事からも真夏斗がメンバーに選ばれそうな”匂わせ”はありましたが、スタメンまで勝ちとったということは、なにか名波さんのイメージに近いものをトレーニングで出せていたのかもしれません。おそらく縦への意識でしょうか。

前Tが3バックの右に。愛媛戦以来の宮部も前回より固さがなくアグレッシブで良かったです。それ以外はここ最近出ていたメンバーを中心に組んだような印象があります。


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昨年のスタメン。琉球は多くが残っている。松本はターンオーバーだった


10分間のイニシアティブ

試合開始から約10分間は、セットプレーを含めて松本が押し込む時間となりました。マンツーマンでプレスをかけ奪いに行き、ボールを持ったら早いタイミングで前線に供給する。セカンドボールの反応もよく、最初はイメージ通りのサッカーができていたと思います。

マイボール時にパスの起点となっていたのが真夏斗。フリーになる動きを繰り返し、中盤の繋ぎ役としての役割を果たしました。落ち着いてボールをもって配給できるのがいいですね。

その真夏斗から降りてくる河合や縦の国友に。琉球はゾーンで守るので、ボールに対して様子を見ながらそこまで激しく来なかったこともあって松本は落ち着いて回すことが出来ていました。


琉球の”鳥かご”が始まる

10分過ぎた辺りから、琉球がマイボールでどんどん回してきます。清武と風間の両サイドハーフは絞ったり降りたり、サイドバックは積極的に追い越して松本のマークを回避する動きを見せます。奪いどころを限定することができなくなったため、だんだんと松本は自分たちでボールを回すことが出来なくなり、自陣にこもりはじめます。

持たれている時間で特に気になったのが、松本の左サイド

風間宏矢のマークをはじめとするハーフスペースでは、河合が降りてくることで一見人数が揃っているように見えるのですが、裏を返すと真夏斗と近すぎて被っているorどっちが行く行かないにバラつきが生じていることがありました。常田を含めるとお互いに距離は近いのに誰が行くのかが曖昧なトライアングルができていて、その辺からやられているシーンがいくつか出てきました。

それだけ琉球の風間のポジション取りがいやらしいというのもあります。うちの嚙み合わせとかもあるかもですが、琉球のようなチームはそういう部分を見逃しませんね。

25分過ぎ辺りから琉球はシュートで終わることも増えました。こもって取りに出てこない中央を使われ、最終局面でセンターバックが対処することが増えます。センターバックが対処に回るということは自ずとバックラインの距離的バランスが崩れてしまいます。そこをベンゼマ阿部や清水が入り込んできて崩しにかかってきます。

琉球がいなすのが上手いので、松本は行くに行けない気持ちがプレーに出てきてしまいます。必要なのは割と単純なことで、ロスト時ボールへの執念、失った時の切り替え、この辺をもう一段階上げないといけません。もうずっと言っていることですけどね。


前半立て続けの失点、勝負して悔やめ

34分、35分と、立て続けに琉球は得点を重ねます。1点目については先ほど書いた通り、松本の中盤が相手のポゼッションが上手くて行くに行けない、前線はマイボールをすぐ取られる、取られても取り返しに行かないという今までの課題がそのまま出てしまっているような形。

続く追加点。阿部に奪われた真夏斗の部分だけをみれば「やらかした」と言えます。でも2点目は彼だけの問題ではないと思います。キックオフしてから、清武のプレスから逃げるように、ズルズルとボールを下げていく

ここにも松本の問題がはっきりあるように思えます。リバウンドメンタリティーを見せるべきところで、勝負から逃げている。擁護すると真夏斗はこの間縦に付けるパスを出していました。

やられちゃうとシュンとしちゃって立て続けに失点する。勝負しないで悔やむなら、勝負して悔やんで欲しい。今の状態は無意識に下げているようにも見えるので、守備の選手に負担がかかりすぎています。”逃げない”チームになって欲しいです。

ジンベーニョが気になって仕方なかった


2-4-4、できればサイドの裏を突きたかった

後半の立ち上がり。2点目と同じように自陣でロストしての失点。交代を挟んで清武のハットトリック。仕留める精度の高さ、上位にいるチームの強さをまざまざと見せつけられました。

寄せてない、立ってる

琉球の基本システムは4-4-2。しかし攻撃的サイドバックの田中(上原)、沼田はどんどん追い越す動きを見せます。ですので2-6-2になったり2-4-4になったりします。チャンス、ゴールのシーンではサイドハーフと2トップが横並びになっていて、そこに迫力を感じました。

裏を返せば、松本はそのサイドバックの裏を使いたかった。

前半は相手サイドバックの攻撃参加に押し込まれ、なかなかそのスペースを使うことができませんでした。後半は右に田中パ、左に外山。時すでに遅しと言えばそれまでなのですが、後半の方が中央→サイドの流れはできていました。特に外山からのクロスは、あとは合えば、、というような惜しい形も。


余裕の琉球、意思が合っていない松本

勝負がほぼ決まってからは、松本もボールを持ってサイドが使えるようになったことは書きました。琉球がゾーンで省エネで守るようになった事も影響していたような気がします。「持たされた」部分もあります。

松本は、、とにかくたくさんの課題がでた時間でした。縦パスがでても受け手と合わない、サイドの球離れが悪い、かと言ってロストすると切り替えが遅く、ズルズル下がってしまう。

清武のシュートがバーに当たったところは、相手陣内のバイタルで田中パが奪われたところから始まります。取られてから切り替えてすぐに取り返しにいく選手がおらず、清武vs前Tの状況を作られます。ここで前Tが飛び込んで取られては元も子もないので、彼が下がりながらの守備になるのは仕方ないのですが、であればもう一人守備のフォロー、ボールにアプローチする選手が必要です。それが来ない。

これは終盤に出てきた琉球の右サイドのハモンが持ち上がる時にも同じようなことが起きていました。常田が一人で対応せざるを得ない。攻撃の選手がなんとなく上がって、なんとなく攻めて、取られて切り替えずゆったりと戻ってくる。もちろん毎度そうなっているわけではなくて、そうなったりならなかったりしていました。

その辺が露呈してしまった現状の緩さ、意思の合ってなさなんじゃないかと思います。


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まだ前政権の延長にいる

当たり前ですが、名波さんになってまだ5日目のゲームですから、いきなり劇的に変わるということは厳しい。それを痛感しました。せっかくの初陣にどうしてもネガティブな部分ばかり書いてしまったのは個人的に反省していますが、それだけ色濃く残っている感じでした。

ただ印象に残っているのは、前半の立ち上がりに、持ち上がった河合が右サイドを使わずにトップの国友に付けて、その国友が半ば強引にシュートに持って行ったシーン。サイドに散らして全体で攻めることも重要ですが、相手の守備陣形が整う前にゴールに直結させる意図を感じました。

試合後のコメントでも、前方にボールを運ぶことを意識していることがわかります。それが結果としてサイド一辺倒じゃなくて状況ごとに攻撃のバリエーションが増えていくといいなって思います。真夏斗のポテンシャルがすごいし、ヨネもこれからチャンスがくるはず。

少なくともオリンピックまでは試行錯誤が続くかもしれません。でもその間にどんどんいろんな選手を試して、組み合わせて、後半盛り返していければいいと思います。


終盤に抱くのは、上昇への期待か、残留への恐れか。これから名波さんとともに成長していくことを望みます。


(ディアマンテスの「勝利のうた」に絶望した昨年の遠征記はこちら↓↓)


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