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見たかったやつ!【2021年 J2 第31節 松本山雅対ギラヴァンツ北九州】
2-1の逆転勝利!
相手に持たせるところはしっかり守って、セットプレーで効率よく得点し、試合をシャットアウトする。この3点だけでも見たかった松本のサッカーが出せていたと言えます。
ベテランと中堅、そして怖いもの知らずの若者たちが加わって、ピッチ上で一つになっていったのが素晴らしかったですね。
試合結果
先制したのは北九州。前半の飲水タイム直前でした。自陣深くでパス交換をしたところ、バックパスを受けた村山のトラップが大きくなり、それを前川に簡単に奪われゴール。まさに「献上」というようなゴールでした。
失点後の前半は、橋内のハンド判定からPK、これを失敗で九死に一生を得てみたり、セルジが負傷交代をしたりと、これでもかというほど不穏な雰囲気が立ち込めていました。
結果論で言えばあの事故みたいな失点をしても一方的に流れが北九州に傾くことなく、松本も北九州もゼロゼロな感じで前半を戦ってくれたことが、うまく後半に作用した部分もあるかもしれません。
ハーフタイムでの交代で入った榎本・村越の存在も含め、後半の入りがかなりよく、その流れから52分に同点ゴールが生まれます。右サイドからのFK、ニアで常田が頭ですらしてファーへ。こぼれ球にいち早く反応した橋内が見事なコースを突いて豪快にゴール。漢見せたで橋内!こころなしか私のnoteのアイコンも喜んでいるように見えます。
61分に逆転ゴール。前回アルウィンで勝利した7月の東京戦の阪野ゴールを彷彿とさせるような自陣でのGK村山のキックからボックス内で榎本ヘッド、落としたところを翔さん!詰まりながらも巧みなコントロールでした。
その後も長いこと勝利から遠ざかっていたようなチームとは思えないような上手な試合運びを見せた松本。最後まで相手に崩されることなく、勝利を掴み取りました。ゴールだけでなく、交代策、試合運びなど、マネジメントの部分でもこの日は見事でした。自分たちで流れを変えていった結果の勝利です。
メンバー&スタメン
松本は3-4-2-1、守備時はシャドーが下りて5-3-2を形成。ウイングバックのポジショニングは低め。ビルドアップ時は3バックを一枚外に出してボランチが一枚下りる形も見せました。
北九州は4‐4‐2。マイボール時でもサイドバックはそこまで上がることはせず、基本フォーメーションを崩さずに戦っていました。サイドバックがオーバーラップした際は代わりにサイドハーフが低めにポジションをとってバランスを取っていました。
【前半】中盤で持てるかの攻防
前半感じたこと:両チームとも前線と守備陣の距離が遠い。北九州はワイドに、松本は奪ってから縦に速く。ファウル多め。失点&PK後もブレずに戦っていた。
互いに前から行きたい、でも裏はとられたくない、そんな前半でした。
観ていて特に思ったのは、松本も北九州も前線と守備陣の距離が結構空いていて、中盤にスぺースがあったということです。北九州はサイドバックが上がってこないし、松本はウイングバックがそこまで高い位置を取りませんでした。ただ北九州は2トップとサイドハーフ、松本は翔さんとシャドー2人が前から積極的にチェイシング。その分中盤に前を向く余裕ができていたので、単純に中盤で持てる方が有利、そしていかに配給できるかがポイントだったと思います。
立ち上がりの北九州、ボランチで持ってサイドに振る、そこから中に入れてミドルなどの崩しがありました。松本の5バックの手前、ボランチがカバーしきれない中盤サイドの部分を上手く突いていたように見えます。さらに北九州の先制点も村山のミスとはいえ、消極的な松本のパス回しに前からのチェイスが上手くハマったもの。PKのきっかけを作ったのも前からのプレスでした。
対して前半の松本は、相手が低めのラインで構えてくれることで、いつも以上にシンプルに縦にボールを出していくことを意識。翔さんを抜け出させる狙いが見えましたが、そこにシャドーの二人が絡むなど、厚みのある攻撃はなかなか見られませんでした。相手が4-4-2の場合は特に、大外がフリーになることが多いので、サイドから押し込む展開を作れていたらよかったのかもしれません。(これは後半に修正されます)
【後半】よりアグレッシブに
後半感じたこと:ビハインドを感じないハイテンション。”ターゲット”榎本。松本はセットプレーや!中盤のダイナミズム。効率よく得点する。
後半は山口→榎本、宮部→村越でスタート。北九州は途中で針谷をアンカー、富山を1トップに置く4-1-4-1に変更。4-1-4-1に対して5-3-2、特に河合がアンカーに寄せにいくことで中盤の三角形がそれぞれ近い位置でマッチアップしていました。
後半の入りからアグレッシブだった松本。2人の交代も含めて、ビハインドの試合とは思えないような後半の入りができたことが大きかったと思います。
まずは中盤の守備。前に出ていく河合だけでなくサトカズ・平川ともに前にもサイドにも出て行って全体を幅広くカバーできていました。具体的には相手のアンカーとサイドハーフの間に立つ2人のボランチの前に入り、サイドへ振るパスコースを遮断。これが効果的で、ほとんどサイドの深い位置から怖いシーンを作らせませんでした。やみくもに追いかけるのではなく、味方との距離感、相手に対する立ち位置の取り方を見ながらもアグレッシブにスライドして中盤からサイドを制していました。
そして2点を奪ってひっくり返した攻撃。「効率よく得点する」と書きましたが、それは松本は複数点を取るとき、結構立て続けにとるよね、それって相手からすればダメージでかいし、自分たちからすれば自分たちの時間で取れているってことだからポジティブなことだよねってことです。
前半はほぼ翔さんターゲット一辺倒でした。これが後半は榎本くんと翔さんのダブルターゲットになったことは非常に効果的でした。空中戦で馬鹿みたいに競り勝つ榎本くん、味方の落としへの反応が上手い翔さんのそれぞれの能力が引き出されただけでなく、単純にディフェンスが見なければいけないマークが分散されたことが大きかった。1点目のセットプレー、2点目の落としからの翔さんだけでなく、ゴール前での期待感が増えました。相性がいいからなのか、もしそうならどうして相性がいいのかはまだわかりませんが、なんとなく榎本くんと翔さんの相性がいいような気がします。
【9.26🆚北九州】GOAL CLIP#佐藤和弘 選手のFKからのこぼれ球を #橋内優也 選手が左足を一閃⚽️#yamaga#jleague @DAZN_JPN
— 松本山雅FCオフィシャル (@yamagafc) September 26, 2021
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榎本くんはここ2試合で強烈な印象を残しました。これからマークがきつくなることが予想されますが、もはや彼が活躍できるかがそのまま10月の成績に直結すると言っても過言ではないと思います。期待しています。
最後にセットプレーについて。1点目は金沢戦、2点目は7月の東京戦と、立て続けに同じような形からゴールが生まれました。得点シーン以外でも大野がヘッドで合わせたシーンもあったり、ここ一か月ぐらいで再現度の高いセットプレーからのチャンスを作り出せるようになってきています。やっぱりセットプレーでのゴールは松本山雅の十八番。もっとください。
相手が思っていたより慎重だったのもありますが、特に後半は自分たちのやりたいことが出せていた試合でした。なかなか勝てなかったけど収穫もたくさんあった9月。いよいよ勝負の10月。たくさんの実りを見たいです。ちなみにいくつか現地に観に行く予定です。