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未完!【2021年 J2 第26節 松本山雅対愛媛FC】

松本山雅は、みかん相手に攻撃が未完でした。というしょうもないタイトルを思いついたので、今回はそれを採用してみました。

崩し切ることができなかった、ゴールは未完(未遂)に終わったゲーム。勝てそうだったけど勝てなかった。試合後はそういうコメントが多く見られましたが、果たして本当に松本がやりたいようにできていたのか、むしろ愛媛のほうがやりたいことができていたんじゃないか(勝ってますからね)、その辺を確認しようと思います。

なんだかんだでこの記事が一番「未完」じゃねーかと思われないように、がんばります。


試合結果

スクリーンショット (12)

Jリーグ公式より

一発に沈む。攻めあぐねた挙句支配した側は選択肢がなくなった一方で、やるべきこと・やることをシンプルに徹底しカウンターで仕留める、というのはサッカーの試合では時々あるものです。まさにそんなゲームでした。やられた時間帯も、メンタル的・体力的に今の松本が追いつくには厳しい時間帯でした。


スタメン&交代&ピッチでの動き

スクリーンショット (11)

松本は秋田戦に引き続き3-4-1-2。スタメンは秋田戦からは前Tが外れて外山が入りました。特に右の下川が絞ってトップ下の位置まで入っていき、連動して大外のレーンを宮部が上がっていく、というのは松本の特徴です。

リードされた後半は、翔さん1トップの2シャドーに山口セルジのような並び。3人が並ぶのは初めてで、まあ、負けてる状況では個の力に頼るしか、というような感じ。

愛媛は3-1-4-2。しかし松本が押し込む時間が多かったため、どちらかというと5バック+1アンカーで耐える、攻撃は、2トップに当てて中盤4枚のうち近い選手がサポートし一気にカウンターに持っていく堅守速攻スタイル。トップの一角、40番の石井が下りて引き出すこともありました。

愛媛はリードしたのち、森谷と前田を入れてこちらも1トップ2シャドー、というよりは5-4での守備に徹する並びになりました。


【前半】人数と時間をかける松本、カウンターの愛媛

天候は雨、前半追い風に立った松本。特に前半の飲水タイムまでは下川、星、サトカズ、阪野がシュートを放ち、ゴールに近づきます。

セットプレーを中心にチャンスを作った松本。中盤を経由しながらサイドでボールを持ち、クロスを上げる。秋田戦よりは相手を引き付ける前に上げていた印象です。相手がクロスの処理で後手を踏んだところで、中央でセカンドボールを拾いシュート。そんなシーンが見られました。

対する愛媛は、5バックでがっちり守り、松本のボール回しを奪ったところで攻撃に切り替え。人数こそかけないものの、それぞれの選手たちが安易にボールを手放すことなくスぺースへ逃げていくので、近藤や川村、藤本がカウンターで深いところまで行けることもありました。

結果論ですが、前半から被カウンター時の松本の対処の緩さ、愛媛が運ぶところへのプレッシャーのかけるタイミング、攻→守への切り替えの部分が若干甘かったように見えました。疲れた時間での後半の失点のところだけが甘かったわけではないということです。奪われた後の寄せるタイミング、人数のかけ方、コースの限定。相手に選択肢を減らす守備ができていたでしょうか。

前半の飲水タイム明けも、松本がセットプレーでチャンスを作ります。ヘッドでつないでゴール前へ。切り替えどうなのよと書いた矢先ですが、石井への平川の守備は素晴らしかったです。

30分を過ぎると愛媛がボールを持って人数もかけて松本陣内に押し込みます。この日初めてといっていい愛媛の支配の時間で、ゲームは愛媛に傾きます。栗山のヘッドがそのはじまりです。やっぱりここでも攻めあぐねたあとの松本の中盤の守備はやや緩めに感じました。戻ってはいるけどボールに行き切れていないというか。相手の選択肢を消せていないというか。


5バックに時間をかけて崩す、というのは得策じゃない、のかも

30分過ぎの愛媛のチャンスの後、松本がボールを奪い返すと、また愛媛陣内でボールを細かくつないでクロスのチャンスをうかがいます。

秋田戦は相手が4バックと中盤スライド型のため、サイドに集めることで、中に受けるスぺースができていました。しかし愛媛の場合は5バックでがっちりスぺースもマークも徹底してきたため、なかなか松本が中盤で押し込んでサイドに振っても相手を崩すことができていなかったように見えます。

よく「引いた相手を崩すのは難しい」と言われていて、こういう場合こそ速攻と遅攻の使い分けができたらいいなって思います。30分過ぎは愛媛も一時的に点を取りに来ました。そういったタイミングこそというか、あの相手が出てきた時間はむしろ一気にひっくり返す速攻を出せばチャンスになったんじゃないかなって思います。実際は松本が回している間に愛媛が戻りきっている感じでした。これだと中盤サイドで手数をかけて崩すのだと合わせる方は個のパワーにかかる部分も出てきます。

中盤でしっかりボールを握れるサトカズと平川ですから、横と縦の出し方次第で攻撃スタイルは分けられるはずです。じっくりコトコトもいいけど、たまにはインスタントも楽よ。


観返すと、松本が押せ押せだったのは前半の飲水タイムまでだったことがわかりました。逆にそこで松本が先制できなかったことで愛媛に勢いを与えてしまったのかも。更にミドルが多かったのも、愛媛が5バック引いて守っていたので松本は中央でそれなりに持つ余裕があったからだとわかりました。


galaxyのも作って

【後半】ミラーゲーム

オープンな展開から松本ペースへ。後半の立ち上がりはそんな流れでした。松本は下川が中央に絞りながらボールを広く回していきます。

対して愛媛はWBが高い位置を取るようになります。左の内田は宮部を正面で、右の忽那は藤本からの逆サイドへのロブから持ち上がったシーンがあったようにカウンターに参加。右は川村も絡んで活性化。

ただその分WBとCBの間が空くようになったので、そこに後半に入ってきた翔さんが流れたり忽那の裏を突いた国友が絶好のシュートシーンを作ったりできたので、愛媛がリスク負ってくれた分、松本としてもやりやすくなった印象です。時間が経つにつれ、出てきた愛媛の裏を突くことができた松本がペースを握るようになりました。お互い3バックに2トップですからやろうとすることとそれに伴う危険な部分というのは似ているなぁと感じました。


横パスが増え、縦パスはカットされる。それは相手の守備が上回っている

相手のサイドを上手く突くことでチャンスができ始めた松本は、セルジを投入し点を取りに行きます。そのセルジを中心に松本はさらに相手陣内でのパス回しが増え、全体で押し込みます。ただ、実態は、横パス横パスのステーションパスが多く、いざ縦パスを入れると相手のインターセプトに遭う、それを再度拾って回す、という展開でした。

これも結果論で言ってしまえば、半ば「持たされていた」といえるのかもしれません。愛媛は虎視眈々とカウンターの機会をうかがっていました。後半からWBは高めに出ていましたし、中盤もディフェンスラインに吸収されてはいなかったので崩されていないし、いつでも攻撃に行けるような状態ではありました。

そんな松本が攻めあぐねた(持ちあぐねた)中での愛媛の一発。これも前半から気になった、相手ボールにされた際の守備への切り替えの部分の緩さが少し見えました。一発で行って、剥がされる。前から取りに行きたいのはわかるけど、人数をかけたのにワンツーでひっくり返されました。(なんか町田にけちょんけちょんにされた後半を思い出すような失点でした。)内田、近藤、藤本、川村。松本の守備はそれぞれにおいて一番ゴールに直結するプレーができるようにしてしまいました。限定できなかったということです。

失点後の流れについては、愛媛の1点、勝ち点3への執念に屈した、というような感じでした。

まとめ

振り返ってみると、「勝てそうだったんだけどなぁ」というよりは「ボールは持てていたんだけどなぁ」ぐらいな内容で、効果的な攻撃は序盤ぐらいしか出せていなかったのかもしれません。守備への切り替えの部分について書いた通り、深いところまで持っていかれて自分たちで難しくしてしまうこともありました。

愛媛はあくまでカウンタースタイルに割り切っていて、松本に持たせるのはある程度織り込み済み。そこからのシンプルさの方が脅威に感じることもありました。実際の決定機の数ではそこまで差がなかったようにも思えました。前節北九州戦も含めて、いい意味で既に割り切っている、一枚岩になっている印象を受けました。

シーズン終盤に向かうにつれ、勝ち点を死守する割り切った戦い方をしてくる相手も増えてきます。名波さんのスタイルは確立されつつありますから、そのベースは大切に、さらに攻撃のバリエーションを増やしていきたいところです。

次節の大宮戦も、かなり難しいゲームとなるでしょう。新しい監督での戦い方の浸透度、更には現状への危機感。その辺が勝敗を分けそうです。











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