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はじめまして。マネージャー。#13


『よろしくお願いします!』

今年の全国ツアーは一味違った
何せ、メンバーのモチベーションがえげつない

いつものリハーサルだと...

賀:👋カメラここか...

さ:えっと...あっち行ってこっちか!

飛:結構ファンの人近いねぇ〜

みたいな雰囲気なんです
で、今回...

賀:👋よし!確認通り!

さ:こっからここまではこの歌詞の間で...こっから先がここだ!

飛:ライトの向き大丈夫かな...

気合い入りすぎやろ
てか、ライトは演者の仕事じゃない笑
我々スタッフの仕事やそれ

○:気合い凄いな...笑

橋:噂のTMVPでしょ

○:それなんだよなぁ

クソ親父設立の賞を全員が血眼で狙っている今
もはやそれだけだろう

夕方までのリハーサルを終え、移動もあったためこの後の時間は自由時間になった
ご飯や観光に行くメンバーとホテル戻る組に分かれる

久:山下〜ご飯食べいこ〜

美:いいね〜!梅!

梅:私は明日行こうかな、ちょっと疲れた笑

さ:○○ー?

賀:この後どうする?

○:もちろん、行くでしょ...ジンギスカン!

さ:そうこなくちゃ!

賀:どうせだし同世代だけで行こ!

○:同世代って言うと...さくとかっきーと紗耶と...

さ:ゆりちゃんりかちゃんはホテルで、珠美さんと麗乃さんは3期生で行くってさ

○:同世代てか、俺年下じゃん笑

賀:じゃあ○○世代誰か誘お


...


紗:というわけでやって来ました松尾ジンギスカン!

北海道勢がいて助かった

○:腹減った...

さ:入ろ入ろ!

紗:行こ行こ!

マスク、帽子とバッチバチの変装でやってきました
キャッキャと騒ぐ年上組を眺めながらその後をついて行く

○:いやー、ごめんね和

和:大丈夫です!

誘った○○世代とは和だった

○:いくら仲良いとはいえ全員年上だからちょっと...笑

和:逆に私でよかったんですか?

○:和じゃなきゃダメだったんだよね

和:えっ...///

顔真っ赤で耳どころが首の方まで若干赤い

○:あ、別に変な意味じゃないよ?笑

和:もうっ!○○さんったら!///

バシッ

○:あ、うん...笑

早くも人選をミスった可能性が出てきた

〇:行こうか

和:はい!


『いただきます!』

賀:え!美味しい!!

さ:うまっ… ボソッ

〇:え、さくらなに?

さ:うまっ!

語尾にハートが着いたような感想
こりゃファンが多いわけだ

和:遠藤さん可愛い…可愛すぎる!!

横の熱狂的さくらファンも湧いている程だ

〇:にしても美味しいな…

紗:チェーンだけどかなり満足できるのよここ!

店:あれ!紗耶ちゃんでないの!

紗:おばちゃん!

紗耶と顔見知りのおばちゃんの店員さんが出てくる
かなり元気のある親戚のおばちゃん感が強い

店:いやぁ〜まためんこくなったんでない?笑

紗:もう!おばちゃんったら!///

賀:店員さんお肉美味しいです!

さ:毎日来たいです!

和:お取り寄せしたい…

店:紗耶ちゃんのお友達かい?いやぁ〜めんこい子達ばっかり来られたら、おばちゃん照れて仕事できないしょや笑

〇:すいませんこんな大人数で押しかけちゃって…

店:なんもなんも!若いんだから目いっぱいけぇばいっしょ!

…それにしても訛りがすごいな

『ご馳走様でした!』

店:はいよ!また来るんだよ?

紗:はい!じゃあまたねおばちゃん!

店:紗耶ちゃん頑張るんだよ!おばちゃん北海道から応援してるからね!

紗:ありがとう〜!

それぞれこの後の予定を聞いても全員ホテルに戻るらしいのでここで解散となる
おなかいっぱいジンギスカンを食べて幸せな気持ちでホテルに戻る

○:ふぅ...美味しかった〜...

明日の朝も早いのですぐに眠りにつく
1通のLINEに気づかないまま


○:あっちぃ...

橋:仕方ないでしょ、空調ないんだから笑

北海道とはいえ夏の暑さはかなりのもの
会場もかなり暑い

○:あ、そうだ

橋:?

○:俺帰りの飛行機みんなより遅い便になったから

橋:急に?チケットとか大丈夫?

○:うん、もう取ったから大丈夫

橋:私出そうか?

○:大丈夫だよ笑 いつまでも子供じゃないから笑

橋:そっか笑 分かったよ

過保護すぎる奈々未だった
やはり奈々未には可愛くて仕方ないらしい

リハーサルも2日目、3日目を終え、いざ本番

○:なんか緊張する...

橋:なんであんたが緊張してるのさ笑

メンバーの真剣な顔に本当に本番なんだなと感じる

○:いつもは見る側にいたから...

飛:ほら、飛鳥ちゃんが緊張ほぐしてあげる

そう言って後ろからぎゅうっと抱きしめる飛鳥

山:あ!また浮気して!私も!

前からは美月にぎゅうっと抱きしめられる
ファンにこの状況を見られようものなら命が危ない

○:ちょっと離して

飛:無理ぃ〜!

山:離すわけない〜!

さらに力強く抱きしめられる
そんな2人を引き剥がし持ち場につく

ライブが始まり会場が大いに盛り上がる
北海道の持ち場は音響
と言ってもプロの方のお手伝いという形

○:...

ただただじっと音響さんの仕事っぷりを見るだけ
たまに誰かのマイクの調子が悪かったりするとそれの交換をしないといけない

○:...

音:あ!○○くんかっきーのマイク交換してきて!

○:了解です!

すぐに新しいマイクを持って遥香のもとに走る

○:えっと...今のセトリのはけ場所は...いた!

賀:え?なに笑

汗だくの遥香がちょうど降りてきたところだった

○:かっきーマイク交換

賀:あ、ほんと?お願い!

○:これ新しいのね

賀:ありがと!

絡む暇もないので邪魔にならないよう直ぐに戻る
というような仕事を北海道ではしていた

DAY2も無事終わり、全員が裏に戻ってくる
スタッフのお疲れ様ですの列に紛れる

○:お疲れ様です!

和:○○さん何やってるんですか笑 お疲れ様です!

○:お疲れ様です!

さ:新人くんお疲れ様! ...嘘嘘!笑 おつかれ○○!

メンバーそれぞれ○○を弄って楽屋に戻っていく
メンバーが戻るとすぐにセットの解体作業が行われる

○:よいしょっ...!ふぅ...

スタ:○○さんもう大丈夫ですよ?

ひと段落着いたところでスタッフに声をかけられる

○:いやいや、僕これくらいしかやることないんで...笑

スタ:ですが...

橋:スタッフさんを困らせるんじゃないよ新人くん

○:ななみん!?まだ残ってたの?

橋:私チーフマネージャーだよ?笑

現場が片付くまではいつも残っていた奈々未
今回だけ例外なことはなく、いつも通り残っていた

○:流石だね...笑

橋:当たり前よ

そう言って再び現場監督のように指示を出し始める
○○も作業を再開した

1時間後
ほぼ片付け終わり、会場は普段通りに戻る

○:終わったぁ〜...

大きく伸びをして控え室に戻ろうとする
すると肩に手が伸びてくる

○:ひゃっ!

橋:女の子みたいな声出さないで笑

犯人は奈々未だった

○:どうしたの?帰らないの?

橋:冷たいなぁ〜○○の初ツアーライブ1箇所目が終わったって言うのに〜

だる絡みのように肩を組んでくる奈々未

○:で、なに?

橋:ちょっと飲みに行こうよ

○:未成年

橋:成人年齢は18だから成人だよ?

○:お酒は20歳になってからだよ?

橋:ねぇ〜いいじゃん!行こうよ〜!

激しく肩を揺らしてくる
珍しく諦めの悪い奈々未に根負けしてしまう

○:わかった!わかったから揺らさないで!


橋:ここだよ

○:はぁ...ホテル行きたい...

橋:なに?抱こうとしてる?

○:そういうことじゃないわ!///

橋:いや、今のは○○が悪いでしょ笑

ケラケラと笑う奈々未はツボに入ったのか呼吸が出来ていなかった

○:もう...早く行こうよ...

○○は腹を抱える奈々未の手を引いて店に入る

○:すみません...?

店の中にはお客さんはおらず、店員さんのみがいた

○:まだやってますか?

店:今日は貸切って聞いてますけど...

○:ちょっと待っててください

そう言って引っ張ってきた右手に聞いてみる

○:ねぇ貸切ってなに

橋:そりゃすごーく大事な話するんだから

○:2人でなら別に宿泊先の部屋でも良かったじゃん

橋:あたりまえよ、私もお金使いたくないもん2人なら宿泊先にするよ

倹約家で有名な奈々未が貸切なんてするわけない
しかし奈々未にはある作戦があった

○:じゃあなんで?

ガラガラ

?:いい店とったじゃないか奈々未

?:久しぶりね、○○くん

?:会いに来たぞ○○〜

○:え...どうしてここに...

橋:私が呼んだの

入口には奈々未の家族が立っていた

○:騙したな...

橋:さぁ〜なんのことやら笑


『かんぱい!』

橋:ここのお店すっごい美味しいの

橋母:見た感じでわかる笑

橋父:なんで知ってるか不思議だな笑

家族の団欒に1人放り込まれた赤の他人
すごく居心地が良くない

○:...モグモグ

橋弟:○○元気だったか?

奈々未の弟が隣に座る
歳は○○の方が下でずっとお兄ちゃん感覚で接していた

○:うん!兄ちゃんは元気だった?

橋弟:お陰様でね笑

○:今日はなんでわざわざ旭川から...?

橋弟:...

途端に黙ってしまう奈々未弟

○:兄ちゃん...?

橋弟:○○に選択肢をあげる

橋弟:すぐに本題にはいるか、少し打ち解けてから本題にはいるか

○:どっちみち本題にはいるのね笑

久々の再開に考慮してか、会話をする時間を選択肢としてくれる奈々未弟
しかし○○には本題が気になって仕方なかった

○:ならすぐ本題にはいりたい

橋弟:そっか...笑

そう言って立ち上がり、元の席に戻る
奈々未父に耳打ちすると顔が一瞬で変わる

橋父:○○くん、少し昔話をしようか

橋:...

隣の奈々未も一瞬で顔が引き攣る
そわそわしているのが丸わかりだ

橋父:○○くんが奈々未と交際していた時期を覚えているかな?

○:もちろんです

橋父:あの時期は大変だったな...

○:本当にご迷惑をたくさんお掛けしました...

橋父:いやいや!全く問題は無いよ笑

優しく笑いかける奈々未父

橋父:その時についてなんだが...我々は○○くんに隠し事をしていたんだ

○:隠し事...ですか?

隣に座る奈々未が気になり過ぎで話が入ってこない
こちらをチラチラと確認するように見てくる

橋父:実はな...○○くんは鬱とは別の問題を心に抱えていたんだよ

○:...はい?

橋父:君はもうひとつ、心の崩壊が起きていたんだ

恩人の口から出る言葉に脳の理解が追いつかない

橋父:○○くんの中にはもう1人○○くんがいるんだ

○:な、何を言ってるか...よく分からないです...ごめんなさい...

橋母:大丈夫よ、急に理解しようとしたら倒れちゃう

橋弟:だからやめとけって言ったじゃん ボソッ

橋:そんなこと言ったって... ボソッ

奈々未の家族が来た理由は○○に真実を伝えるためだった

○:もう1人俺がいる...?なんで...?

橋父:それはだな...

橋:お父さん!それは許してないよ!

奈々未が必死に止める

橋父:いつかは知らなきゃいけないんだ

橋:ダメ!

静止を振り切る奈々未父
そしてついに○○は知ることになる


『君は今野さんの本当の息子じゃないんだ』


○:は...はい...?


『君は施設から引き取られた養子なんだ』


○:ハァ...ハァ...ハァ...

上手く呼吸が出来ず、過呼吸になる

橋:お父さん!!

奈々未は父に怒りの顔を向ける
今回は○○の中にもう1人○○がいることだけを伝える約束だったのだが、それを破られたからだ

橋:○○!○○しっかりして!

○:親父が...親父じゃない...俺は...養子...?

橋弟:○○一旦呼吸整えるんだ

○:じ、じゃあ...本当の...家族は...?

頭の中に色々な情報が交錯する
親父のこと、メンバーのこと、天のこと、美玖のことなど身近な人達との関わりについてごちゃごちゃになる

橋:落ち着いて、ゆっくり深呼吸して

○:ななみん...ななみん...奈々未...!

ギュッ

橋:深呼吸、深呼吸

○○の過呼吸は収まることなくパニックを引き起こしている
必死に抱きしめて背中を撫でて落ち着かせようとする奈々未

橋弟:やってくれたな

奈々未弟は父親を睨む

橋父:...

橋弟:なんで今なんだよ

橋父:...

橋弟:どう考えても情報処理追いついてねぇだろ!

奈々未弟の怒号に奈々未父も言い返す言葉がない

橋母:落ち着いて...

橋弟:一気に伝える必要あったか?ねぇだろ?

席を挟んだ向かい側では奈々未弟が怒りを爆発させていた

○:奈々未...怖いよ...助けて...!

橋:私はここいるよ!大丈夫!大丈夫だから!

一方で○○は必死に奈々未にしがみつく
耐えきれない恐怖が○○を襲っていた

○:みんな無関係の人...そんなの...嫌だよ...嫌だよ...!

○:ずっとみんなといたい...お別れ嫌だよ...!

パニックを起こし感情が溢れ、涙がこぼれる

橋:大丈夫!○○は私が守る!お別れなんてさせない!

すると腕の中の○○の体の緊張が無くなる
一気にダラっと力が抜けた

橋:○○...?○○!

橋母:落ち着いて奈々未

さっと奈々未の横に移動し○○の状態を確認する奈々未母
元々は医療系の職だったのである程度はわかる

橋母:気を失ってるだけよ、多分脳がショートした感じね

橋:...ギュッ

気を失ってもなお○○を力強く抱きしめる奈々未

橋弟:奈々未...

橋:○○だけじゃ抱えきれない過去を持ってるの

橋:私は約束したの、この子を、○○をどんな事があっても守るって

橋:...お金は置いていく、○○はおんぶしていくからもうホテル戻っていいよ

奈々未は机にとてつもない額を置いてすぐにでも出ていこうとする

橋弟:俺も手伝うよ

橋:大丈夫だから

橋弟:大丈夫じゃねぇだろ、いいから俺の弟よこせ

奈々未の背中から奈々未弟の背中に移る○○
未だ気を失っている

橋弟:俺は○○ホテルに置いたらすぐ戻る、先ホテル戻ってて

橋母:わかった

奈々未は別れの言葉も言わずに店を出ていく

橋母:...はぁ...

店に残された両親は机にある冷めてしまった料理をただただ眺めている

橋母:奈々未、だいぶ怒ってたわよ?

橋父:わかっている...ただ今後の彼にはこの事実を受け止めておかないといけないんだ...

橋母:今後って...流石に一気に伝えるのはどうかと...

橋父:私が嫌われ者になってでも伝えなきゃいけないんだ

箸を持ち料理の山から落ちていた皿の端の梅を摘み、口に運ぶ

橋父:いずれ分かる


橋:...

橋弟:...

ホテルまでの帰り道
姉弟に会話は今のところない
暑い夏でも夜風が吹けば心地よいものだ

雰囲気が最悪ということだけはわかる

橋:お父さんに言っといて...

橋:暫くは○○に近づかないでって...

奈々未はなるべく丸く伝えようとしている
裏を返せば二度と○○には会わせないということだ

橋弟:当たり前だろ

橋弟:あんな○○見たら...

目を覚ました時に○○がどんな状況なのかは分からない
奈々未弟の表情は険しいものだった

橋:なんで○○ばっかりなんだろうね...

橋:いつも辛い思いをするのは○○...

橋弟:でも救われた人がいるのも事実だ

橋弟:奈々未もそのひとりじゃん

いつの日だっただろう
全てを捨てて逃げ出そうとした奈々未を○○が引き戻したのは
記憶の彼方に記録された映像が再生される

橋:そりゃそうだけどさ...やっぱりなんか違うじゃん...

すると奈々未弟の背中がビクッとなる

○:んぅ...

橋弟:あ、起きた、おはよう○○

○:兄ちゃんごめん...

橋弟:いいんだよ、ゆっくりしてな

横断歩道の信号待ち
○○を降ろすことなく待つ奈々未弟

○:ねぇ...奈々未...

橋:どうしたの?

できるだけ優しい顔と優しい言葉で反応する

○:俺...1人になっちゃうの...?

無意識に奈々未弟に捕まる腕に力が入る

橋:ならないよ、私がさせない

○:みんな...知ってたの...?

橋:私たち家族は全員知ってた

橋:もちろん今野さんは知ってるよ、ずっと前からね

○:そっか...

信号が青になり再び歩みを進める

○:...

○:奈々未...?

橋:ん?

○:大好きだよ...

橋:私も大好きだよ、○○

最後にそう言い残して意識を手放す○○

橋弟:やっぱり可愛いな○○は

橋:弟と彼氏の二刀流ありだ...

橋弟:実の弟の前で言うかねそれ笑

橋:あんたもどうせ可愛い弟だと思ってんだからいいでしょ

橋弟:よくご存知で

最後の角を曲がりもうホテルは目の前

橋:あ〜、せっかく○○にお酒飲ませて好き勝手しようとしてたのに

橋弟:うわぁ...引くわ...

橋:冗談に決まってるでしょ、あんた帰り道背中気をつけなよ?

橋弟:お姉様のご冗談が1番面白いでございます

橋:よろしい

奈々未弟はホテルの前で○○を下ろす
時間も時間で、弟が余裕を持って帰れるように奈々未が提案したのだ

橋:じゃあ気をつけなよ?

橋弟:さんきゅ、奈々未も○○の事頼んだよ

橋:はいはい

そう言って来た道を戻っていく奈々未弟
すると急に立ち止まりこちらを振り返る

橋弟:もしも、○○にも、奈々未にも居場所がなくなったら言ってくれ

橋弟:いつでも迎えに行く

橋:ありがと

橋:そうなったら1番先にあんたに連絡するね

この短時間で起きた出来事は○○の人生を凝縮していた
何故、奈々未父が全てを伝えたのか
それはあの場にいた誰も知る由がなかった
その夜は長い長い夜になった



橋:人数確認するよ!

メンバー達一行は空港にて出発の最終確認をしていた

梅:3期生全員います!

賀:4期も大丈夫です!

菅:5期生も大丈夫です!

飛:それ以外もいまーす

橋:よろしい!

荷物検査を通り後は飛行機を待つのみ
メンバーはそれぞれ軽くお土産を買いに行く

飛:奈々未ー

秋:なんか買いに行かない?

飛鳥と真夏が財布を持って奈々未の元を訪れる

橋:いいよ

飛:ん?奈々未首になんか跡ついてる...

そう言って奈々未の首を撫でる飛鳥

秋:なんかキスマみたい笑

飛:だとしたら誰に付けられたのさ笑

2人はケラケラと手を叩いて笑っている

橋:ちょっと昨日ね...笑

飛:そんなのいいよ!ほら早く!行こ!

秋:飛行機飛んじゃう!

橋:まだ着いてもいないよ真夏

呆れる奈々未の両手を2人が引っ張っていく


○:今何時だ...?

体全身が痛むのを耐えながら時計に目をやる
ぐちゃぐちゃに散らかったベットの上で1人目を覚ます○○

○:10時か...もうみんな空港だ...笑

○:どうしよう...とりあえず会わないとだよな...

ベットから起き上がりスマホを確認する
通知欄には1件のLINEが届いていた

『午後からの面会に行くから間に合うようにおいで』

○:よし...準備するか

ホテルの部屋のカーテンを開ける
既にかなり高い位置に太陽はいた



気づけばもう最終の便が迫っていた
移動時間もあるため移動を始める○○

○:今日はありがとうね!

祖母:なんもだよ笑

LINEの相手は○○の祖母だった
今は祖父と2人で北海道に住んでいるらしい

○:ばあちゃんのおかげで色々わかったよ

祖母:何しようとしてるかわからんけども...○○の手伝いできてよかったよ!

○:じいちゃんにも宜しく言っといて!

祖母:はいよ〜、気をつけるんだよ〜

○:ありがと!じゃあね!

近くのバス乗り場で中央バスを待つ
既にバス乗り場には杖をついたおじいちゃんおばあちゃんやマスクをつけた子供連れのお母さんなどで行列が出来ていた
何とか乗り込み待つこと10分

『次は...札幌駅北口...』

札幌駅に到着
すぐJRで空港に向かう

○:すっごい多いな笑

かなりのぎゅうぎゅうに詰め込まれてようやく到着

○:えっと...羽田行きは...

橋:こっちよ

○:え、?

橋:なによ

何知らぬ顔で○○の手を引く奈々未

○:いやいや!なんでこんな時間まで残ってるのさ!

橋:あんた1人でどうやって空港から帰るのさ

○:いやタクシーとか使えば...

橋:お金が勿体無いでしょぉ!

○:ひぃ!

何故かお金を使わせたくない奈々未
残ってしまったので一緒に帰るしかない

橋:ほら行くよ

出発の時間はすぐ近くまで迫っていた
かなりギリギリで乗り込みようやく一息つく

○:バッタバタやん笑

橋:誰のせいよ笑

○:そもそもどうやって残ったの?

メンバーが奈々未だけを残してはいさようなら、と帰るとは到底思えない
すると奈々未は急に深刻そうな顔をする

橋:あの...すっごい言いにくいんだけど...

○:...?

橋:昨日のことがバレまして...

○:...どこまで?

橋:全部です...

○:はぁ...

もう笑いも出てこない

橋:さすがに気まずくて...他のマネージャーさんに聞いたら○○この時間ので帰るって言うから...

橋:で、でも!飛鳥と真夏にしかバレてないから!

その2人なら大丈夫な気もするが内容が内容だ
すぐ広まるだろう

○:もういいや、諦めます

橋:私は全然いいけど...

○:なにさ

橋:これからはお部屋突撃しちゃうよ?

○:それはやめてくれ

この後飛行機が飛ぶまで奈々未はずっと許可取り粘ってました


その後乃木坂は全国ツアーを順調に進め、いよいよ最終公演神宮球場を控えていた

山:いや〜愛知のあのサウナもう1回行きたい!

梅:あそこは良かったよね〜

賀:せーらの家でタコパしたかった...

早:ごめんな〜、うちのお母さんがどうしても無理って笑

七:ほんならななの家でやれば良かったやん

賀:恐れ多いですって!笑

七:ななはいつでも大歓迎やで?笑

メンバー達も各地の思い出話に花を咲かせる
スタッフ側の○○も最終確認などで慌ただしくなる

スタ:○○くんこの時一番端のトロッコ間に合う?

○:行けますよ!

スタ:じゃあ任せるね!

橋:それじゃあこれを頭に入れて動き確認していこうか

すっかりスタッフと肩を並べて仕事をする○○

さ:...

忙しそうな○○を遠くから眺めるさくら

生:さーくちゃん!

飛:何黄昏てんだ〜

さ:わっ!生駒さんに飛鳥さん!

気づけば両脇に乃木坂の生ける伝説達がいた

生:どうせ○○のこと見てたんだろー?笑

飛:いくらさくらでも○○は譲れないよ

さ:違いますよ!

茶化されて顔を真っ赤にするさくら
でも本音は全く違った
途端に暗くなる表情

さ:すっごい頑張ってるのは分かるんですけど...なんか遠くに行っちゃいそうで...

飛:日向ちゃん達行ったし、もうないんじゃない?

さ:そういう意味じゃなくて...なんか...○○私達に言えない何かを抱えてる気がして...

生:そうだね...間違ってないと思うよ

さ:え?

そう言ってさくらの目の前に立つ里奈

生:絶対○○は私達に隠し事をしてる、それは確定

飛:それを知ってるのは...

生:そう、ななみんだね

さ:奈々未さんだけなんですか?

さくらの頭の上にはハテナが沢山出てくる
以前の話は聞いているがあの話で行けば1期生など先輩メンバーは全員知っているものだと思っていた

生:私達の手伝いに来れなくなった時の○○を知ってるのはななみんだけ

飛:あの時期は誰も近づくことが許されてなかった、ただ唯一奈々未だけは許されてた

さ:支えてあげないと...!

そう言って今にも○○に飛びついて行きそうなさくらを里奈と飛鳥で止める

飛:落ち着きなって笑

さ:でも...!

生:それは私達に任せて、だいたい予想はついてる

何か知っているかのように話す里奈
里奈と言うよりも1期生は手がかりを持っているようだ

飛:と言うよりさくらは○○に構って貰えなくて拗ねてるんでしょ?

さ:違います!やめてください!///

七:ほんならななが貰うな?

山:七瀬さん私も参戦します!

いつの間にか話していたメンバーも近くにいた
またもや○○争奪戦勃発か!
...と思いきや

橋:あんたら神宮近いのに何やってんの!早くレッスンに戻りなさい!

鬼神ナナミ・ハシモトによって鎮圧
メンバー達は大人しくレッスンに戻っていった



稔:ふぅ...こんなもんか...

とある部屋に1人佇む稔
その手には複数枚の資料が握られている

稔:えっと...この子か!

稔:はぁ〜楽しみだなぁ〜笑

ニヤニヤしながら複数の顔写真の中から1人の写真を切り抜く

稔:これだけじゃ面白くないしなぁ...あいつも上手くやってくれるか分からないし...

そう言ってもう1枚切り抜き、切り抜いた2枚の顔写真を的に貼り付ける
的には既に1枚貼られている

稔:投げれるダートは3本... よっ

1本目は1番右の写真を貫く

稔:より芸術点狙うなら...

2本目は1番左を

稔:真ん中はしっかり射止めないとね〜...ふんっ

3本目は真ん中の写真を強く射抜いた

稔:高得点なんて出しても意味無いし

床に散らばった資料を拾い上げシュレッダーにかける

稔:どんな悲鳴あげるのかなぁ〜...笑

稔:ちゃんと苦しんでもらわないとね...今野○○く〜ん

そう言い残し部屋を出ていく稔
怪しげな笑みは暗闇に消えた

ダーツが命中した3枚の写真にはそれぞれ
『さくら』 『○○』 『和』
の顔が写っていた



さぁ〜て、次回のはじマネは?

どうも!次回予告初登場の井上和です!
やっぱり北海道と言えばジンギスカンでしたね...ちなみに2日目は5期生で同じお店に行きました!
他にもたこ焼きとか広島焼きとか...そうそう!恒例の牛タンとか!もう色々あったんですよ!
なのに省略されて...許しません!絶対に書かせます!
すっごい美味しかったんですからね!
あ、それはそうと神宮頑張ります!


次回!
いよいよ決定!TMVP!
○○さん大好き軍団、作戦決行!
動き出す歯車

の3本です!

もう1回宮城の牛タン食べたいです...
誰か連れていってください!...え?あ!忘れてた!
次回もまた見てくださいね〜!

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