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あなたの隣に立つために #16



1度校門に向かったものの、カバンを置き忘れたことに気づく
踵を返して教室に向かう

○:カバン忘れるとかありえないって…笑

既に生徒たちはおらず、がら空きの教室が並ぶ

○:…

こんな時に角から人が飛び出してきたらびっくり…

玲:わっ!

○:うわっ!びっくりした…

ほらね?こんな風に

○:マジでやめて…心臓止まるって…

玲:えへへっ…びっくりした○○面白すぎる笑

何故か1人、教室に残っていた玲
こちらを見て顔を押えながらケラケラと笑っている

○:どうしたの?みんな校門前にいるって言ってたよ?

玲:でも○○寂しがり屋だから誰かいてあげないとね?

どこをどう見たら寂しがり屋になるのか教えて欲しい

○:大丈夫だって笑

玲:とりあえず行くよ!天ちゃんがそろそろ怒りだすから笑

肩を並べて生徒玄関に向かう
玲と2人なんて滅多にないので変に緊張してしまう

○:それで…どこ行くの?

玲:今のところ瞳月ちゃん達が行きたいところ行こうって話になってるよ

○:遊園地とか…なんとかランドとか…

玲:理子ちゃんなら水族館とか言うかもね笑

○:理子はどこでもいいって言うと思うよ笑

玄関を抜け、校門が見えてくる
そこには天達の姿があった

天:お、来た来た!

麗:待ってたよ〜

ひ:暑くて夏鈴がキレそうだから早く○○の家行こ!笑

夏:…かき氷食べたい

夏本番前でここまでバテていたら夏が心配になる
気温が高い正午過ぎ、今年の最高気温を記録していた





愛:〜♪

理:…💢

瞳:ウルウル

○:…

なんでいつもこうなるんだ

帰宅して少しした後、理子が愛季と瞳月を引き連れて帰ってきた
ひかる達は近くのコンビニにアイスを買いに行っているため家には○○しかいない

○:あの…暑いです…

理:りーのにぃちゃんなのにっ!💢

愛:へへっ…○○のお嫁さんはこの私だから仕方ないんだよっ♪

瞳:○○くん…しーのこと嫌いなん…?ウルウル

テストが終わり、テンションが高いのか久々に物理的な拘束を受けている
瞳月に関しては抱きつく部分がなくただ目を潤ませている

○:頼むから離れて…

暑さもあるがもうそろそろ帰ってくる時間
こんな状態を見られようものなら…


────────────


ひ:うわ…満更でもない顔してるじゃん…


麗:う、うん!麗奈はたとえ○○くんがロリコンでも友達でいてあげるよ!


夏:…瞳月ちゃんこっちおいで


天:あっはっは笑 めちゃめちゃ暑そうなんだけど笑


玲:私たちに買い物行かせて自分は可愛い可愛い妹達とイチャイチャしてるんですね、へぇ〜


────────────

…修羅場になりかねない

○:どうしたら離してくれる?

愛:愛季と結婚してくれたら

理:一生独身って約束してくれたら

今選ぶには重すぎる選択肢しかない
こうなりゃ交渉しかない

○:わかった、今度遊びに行こう!ね!

愛:それって…

瞳:2人きり?

○:えっと…どっちがいいですかね…


『絶対2人きり!』


まぁ聞かずとも分かっていた
ともかくテスト終わりでウキウキのひかる達を怒らせないためにも今はこれで逃れるしかない

○:よし、じゃあ約束ね

理:にぃちゃんとデートなんて久々すぎるっ!

愛:どこ行こっかな…もうお家デートもあり!

瞳:…///

その顔はよからぬ事を考えていますね瞳月さん
そんなことは起きませんよ?

ひ:何が起きるって?

○:お、帰ってきた

麗:あ!理子ちゃん達帰ってきてたんだね!

夏:瞳月ちゃん、こっちおいで〜

理:…買いすぎじゃない?笑

大量のアイスが入った袋を携え帰ってきた
冷凍庫に入るかも怪しい量だ

玲:もしかしたら3人もいるかなって思って多めに買ってきた!

天:備えあれば憂いなしってやつだ!

○:よく知ってるねそんな言葉

天:へっへ〜ん!そのぐらい知ってるもんね!

せっかくなので各々好きなアイスを選びクーラーの効いた部屋でアイスを頬張る

○:〜♪

理:〜♪

愛:最高…

天:あ、そういえば…

夏:みんなでお出かけどこ行く?

未だ全員の希望は聞けていない
案もそこまでないので早いうちに決めたいところだ

麗:でもせっかくなら年下組が行きたいところ行こうよ!

玲:そうだね!理子ちゃん達も頑張ってたもんね!

愛:う〜ん…どこだろ…

理:急に聞かれても困るよね…

流石に急に振られて困惑しているようだ
しかし瞳月だけは何か言いたげな様子

○:ん?瞳月は行きたいところある?



瞳:キ、キャンプ…とか…



天:キャンプ…!

ひ:それだぁぁ!

玲:私家にキャンプグッズある!

夏:私の家も毎年キャンプ行くからあるよ

○:うちも毎年森田家とか山﨑家と行くからあるかも…

話はトントン拍子で進んでいく
全く話に上がらなかったキャンプという案

瞳月の名案で今週末すぐさまキャンプを行うことになった





○:天そっち抑えて〜

天:よっと…おっけい!

夏:ひかる食材運ぶの手伝って欲しい

ひ:あいよっ

麗:愛季ちゃん達椅子とか運んでもらってもいい?

愛:うん!しー!りー!行くよ!

○○達一行は少し離れたところにあるキャンプ場に来ていた
両親達は両親達で親睦を深めるだかなんだかで個別でキャンプを行っているらしい

○:にしてもほんと仲良しだよな…

天:付き合いも長いからじゃない?

○:ちなみに元いた世界線でも仲良しだよ

天:そりゃこっちでも仲良しな訳だ笑

最近は未来の話を天に話すことが多くなってきた
知っていること全てではないが些細なことは気にすることも無く話してしまっていた

夏:にしてもカレーなんて無難だね

ひ:みんなで作るならカレーでしょ!

ここのキャンプ場は洗い場や釜戸などが併設されている
小学校とかでいう林間学校みたいな感覚だ

夏:でもまさかキャンプだなんてね

ひ:瞳月ちゃん天才かもね笑

夏:…瞳月ちゃん馴染めてるようで嬉しいな

ひ:山下くんの1件があってどうなるかと思ったよ…

2人が特に気にしていた瞳月
康希が捕まって以降も特に変わる様子は無い


夏:でも瞳月ちゃんは私に似てる気がする


ひ:…


夏:溜め込んで…入り切らなくなっちゃったら泣いて…周りを遠ざける…


夏:もう…そんなことで苦しむ人を私は見たくない


目の奥にある覚悟
遠い記憶がこちらを呼んでいる


ひ:あの時○○がいなかったらどうなってたんだろうね


夏:間違いなくここにいない、というかこの世にもいないかもね


ひ:笑えないって…笑


自虐っぽく鼻を鳴らした夏鈴に、ひかるは寂しげに乾いた笑い声を返した


玲:2人とも〜!みんなで遊ぼうよ〜!

バトミントンのラケットやらフリスビーやらを抱えた玲が大声で2人を誘う

夏:今行くね〜

ひ:…

持っていた野菜のダンボールを置いた夏鈴
駆けて行く背中から視線が外せなかった





理:よいしょっ…っはぁ!重たい…

瞳:たくさんいるからね、仕方ないよ笑

麗:ありがとう3人とも!すごく助かったよ!

○○と天が張ったテントの近くに椅子を運び、バーベキューの準備までしてくれた

愛:いつも○○達にはお世話になってるからね!

瞳:いつも構ってくれて感謝しかないから…こんなことしか出来ないけど…

ポンポン

麗:私達も3人にはすごく感謝してるよ?いつも癒してくれてありがとうね

瞳:…///

愛:しー照れてる笑

瞳:照れてへんもんっ…///

理:そう言いながらもほっぺ真っ赤だよ〜笑

瞳:もう揶揄わんといてっ!///

とは言いつつも麗奈の綺麗な瞳に見つめられ、ドキッとしたのはここだけの内緒だ

○:4人もこっちおいで〜!

麗:今行く〜!ほらっ、行こ!

瞳月の手を引いて○○の元に向かう
理子と愛季も追い抜かすぐらいのスピードで走った

○:それで…どれやるの?

玲:とりあえず家にあったやつ全部持ってきた!

天:多すぎだって笑

愛:とりあえずバトミントンやってみよ!

ということでチームを適当に分けてラリー回数勝負をすることに

○:チームは?

夏:適当でいいんじゃない?○○審判で

○:なんでやねん

天:でた!シンプルなんでやねん!笑

愛:○○面白すぎっ笑

変なツボに入っている間にチームを分けてしまうことに
玲と天、愛季と理子、麗奈とひかる、瞳月と夏鈴というチームにした

○:審判は俺、一発勝負で回数に文句言うのなしだからね

愛:優勝者は?

天:○○からアイス!

途端に目の色が変わった気がする

○:はぁ…まぁそれでいいよ笑

ひ:ハー○ンダッツ買ってもらおうね!

麗:ついでにチョコも買ってもらお!

おまけが付く前に始めないと財布が危ない
最初は愛季と理子のペア

理:私たちの付き合い舐めてもらっちゃ困るよね!

愛:ねっ!絶対優勝してやるんだからっ!

天:すごい自信…笑

○:じゃあいくよ?よーい…はじめっ!







○:はい終わり、10回ね

理:待って待って!

愛:お願いもう1回!

○:一発勝負って言ったじゃん笑

意気込みに反して回数は10回
打ち返しが定まらず、理子が見事ホームランを打って終結

理:うぅ…まずいぃ…

○:まだ分からないから笑

愛:お願い手加減してぇ…

次はひかると麗奈のペア
ひかるに関しては問題なさそうだが…

麗:大丈夫!

ひ:でも体育受けててもそんなに…笑

麗:ほんとにいけるから!

ひ:まぁ…頑張ろ笑

不安が拭えないままラリーへ





○:おぉ〜、20回!

麗:やった!

ひ:え!すごいじゃん!

抜群の運動神経を持つひかるになんとか着いていった麗奈
記録は20回と現段階でトップに躍り出た

○:思ったよりだね

天:はいはい!次私たち!

夏:余韻浸らせてあげてよ笑

天:今すぐにでもこの記録超えるから!ね!玲ちゃん!

玲:私たちもアイス欲しいもんね!

20回という記録に浸る時間もなく天&玲のチャレンジが始まる
お互いに運動神経はいい方だ

○:じゃあ行くよ〜

天:ばっちこい!

玲:せいやー!…えへへっ…

○:笑ってるじゃん笑 じゃあよーい…スタート!





○:え…すご…

天:やった!玲ちゃんナイス!

玲:いやいや!天ちゃんが凄いからだよ!

ひ:5、54回ですって…?

理:…天ちゃんと玲ちゃん嫌い

愛:ね…嫌い

記録はまさかの54回
ぶっちぎりの1位に周りも戦意喪失

○:記録更新で2人が1位ね

麗:20回で喜んでたのが…恥ずかしい…

ひ:でも私たちも行こうと思えば54回行けたもんね?

○:ひかる、負け惜しみはやめよ笑

ひ:だって…アイス食べたかったんだもん…

○:…そんなに欲しいなら後で買ってあげるから笑

理:あ〜!にぃちゃん贔屓だ!

愛:ずるい!愛季も欲しい!

しかしまだ優勝は決まっていない
夏鈴&瞳月ペアが54回を超えたら優勝の可能性が残っている

○:できそう?

夏:なんとかする

○:なんとかって…笑

夏:瞳月ちゃん、好きにやって大丈夫だよ

瞳:緊張する…

○:じゃあ55回目指して頑張ってね、よーい…スタート!

瞳:ふぅ…ほっ!


カチャン


ポテッ





○:嘘でしょ笑

瞳:待って!○○くんもう1回!

夏:まだ始まってないよね?

愛:いやいや!しー完全にラケット当たってたよ!笑

肝心の1回目をフレームで打ち無惨にもシャトルは芝生一直線
夏鈴が触ることなく終わった

○:えっと…記録0ってことで

夏:…まだ始まってないよね?

これぞ眼圧
夏鈴からの覇気によって泣きの再チャレンジということになった

ひ:さすがに可哀想だもん笑

理:1回ぐらいなら再チャレンジしてもね笑

○:じゃあもう1回いきますか…よーい…スタート!

夏:じゃあ行くよ…?

瞳:はいっ!

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