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あなたの隣に立つために #8



というわけで…

○:なんで俺ん家なんだ

ひ:1番手っ取り早いからに決まってるじゃん

夏:広いから泊まりもできるし

麗:明日休みだからお泊まりも兼ねて勉強会だね!

何とか教室を片付け、どこに行くのかと思えば自宅
まさかのお泊まり確定の勉強会が始まった

玲:よしっ、やりますかっ!

人一倍やる気が入っている玲

○:天には後で連絡入れておくから明日来るかも

今日は金曜日、泊まりは日曜日まである

ひ:無理しないでいいけど…来て欲しいな

麗:最近会えてなかったからね…

かなり痩せ細っていたなんて口が裂けても言えない
幸い、あの後天のお母さんからLINEが来ていたがご飯も少しずつだが食べている模様

○:じゃあやるよ

ひ:頑張るぞ〜!

夏:いつまで持つかな笑

こうして机に向かって教科書を広げる
30分ぐらい経った頃

麗:う〜ん…どうやるんだろ…

○:ん?麗奈わかんない?

麗:ここの問題教科書みてもなくて…

○:ちょっと見せて

麗奈に教えるために隣に座る
どうやら教科書の本文ではなく追加書きの部分を見落としていたらしい

○:これはここだよ

麗:え!そこも出るのかっ!見落としてた…

○:意外とあの先生細かいところ出してくるから確認しといた方がいいかもね

これは高校3年間で得た情報
あの先生にどれだけ苦しめられたか…

麗:わかった!ありがと○○!

問題も解決し、自分の勉強に戻ろうとする

ひ:…わかんないよ〜○○〜

次はひかるが挙手する
なので今度はひかるの隣に腰を下ろす

ひ:ここ教えて

○:えっと…ここは…

丁寧に解説しているとノートが目に入る

○:ん?纏めてあるじゃん

ひ:いいから、まとめてるだけじゃ頭に入んないの

○:お、おう…

と言うので1から全て説明したが書いてあることとほぼ同じことしか話していない

ひ:おっけ〜ありがとう

○:またわかんなかったら呼んで

ひ:頼りになるね笑

少し変に思いながらも自分の勉強に戻ろうとする

ピンポーン

○:もう!全然進まん!

今度はインターホンが鳴り玄関に向かう
この時間帯だと理子が帰ってくる時間帯

ガチャン

理:にぃちゃんただいまっ!

瞳:○○くんただいま〜

愛:私もいるよ〜

まだ元気満々の理子とゆったりした口調のふわふわ組が帰宅したようだ

○:待て待てなんで愛季がいる笑

愛:だって私たちテスト期間だもん

瞳:○○くん頭いいから教えて欲しくて…ダメ…?

どうやら○○は瞳月に弱いらしい
甘えてくる瞳月が可愛すぎて反論さえできていない

理:にぃちゃん顔真っ赤

○:別に照れてないから!

愛:ダメだよ?好きになっていいのは私だけだからね!

○:いいから早く入れ笑

3人を招き入れてリビングに通す
既に靴が多い時点で誰かがいるのはバレている

愛:あれ!みんないるじゃん!

ひ:愛季じゃん!どしたの!

愛:お泊まりでお勉強会するんだ〜!ねっ!

理:うん!

○:え?

耳を疑った
ドンかぶりのお泊まりなんてあるだろうか

○:お泊まり…?

愛:うん!

夏:私達もお泊まりだよ?

理:やった〜!みんなでお泊まりとか楽しみ!

○:待て待て待て待て!

こんなの○○の負担がデカすぎて話にならない
愛季達はある程度頭はいいものの、勉強じゃない部分での負担が大きすぎる

○:そんなことあるかよ…

麗:頑張れ〜笑

ひ:えっと…そちらの子は?

ひかるは○○の後ろに隠れていた瞳月を指さす
○○以外の男性はもちろん、知らない人にかなり怯えてしまうのはまだ治らない

瞳:○○くん…

○:大丈夫だよ瞳月、この人達は俺の友達だから

瞳:友達なの…?

○:うん!理子も愛季も知り合いだよ

愛:みんな優しくて可愛いよね!

理:今日はいないけど天ちゃんもいるよ?

○:この子は康希の妹、瞳月だよ

夏:あなたが…

ある程度の話はさっきした
夏鈴だけは名前も馴染みあるだろう

ひ:瞳月ちゃ〜ん、こっち来て遊ぼ?

瞳:…

○:無理しなくてもいいよ?

だいぶ頑張ろうとしているが中々踏み出せない瞳月
変に怯えてしまわないように優しく頭を撫でる

夏:大丈夫、さっき山下くんに瞳月ちゃんの分までビンタしてきたから

玲:あれは痛かったよ…絶対

麗:いい音してたもん笑

愛:夏鈴ちゃん殴っても良かったのに!

ひ:殴るのは私が全力で止めた笑

笑いながら○○を視界に捕える
○○もらしくないことをした自覚があるのか少し恥ずかしそうにそっぽを向く

○:だって…瞳月と天のこと考えたら手が出そうになって…

瞳:○○くん…

理:さすがにぃちゃん!

愛:でも暴力はだめ!それだと康希と一緒になっちゃうからね!

○:ごめん…

ふわりと隣から柔軟剤の香りがする
後ろにいた瞳月は○○を抱きしめていた

瞳:ありがとう…私を思って怒ってくれたんでしょ…?

○:あのままにしておくのが納得いかなかった

瞳:○○くんがいなきゃ私今、こんなに幸せじゃない

瞳:ほんとにありがとう

短い文に込められた想い
それだけで○○は学校に突撃したかいがあったと思える

○:お礼はいいよ…結局夏鈴が片付けたし…

夏:いつまで女々しいこと言うの?

ひ:早く勉強しないとテストやばいんだけど?

麗:これで赤点だったら○○のせいだね

なんでそっちが偉そうなん?

○:え?今いいとこだったじゃん!

愛:さすがに長いかも

理:愛季空いてるとこ座ろ!

完全にスルーされ始めた○○
既に他のメンツは勉強を始めようとしている

○:くぅ…いいとこだったのに

瞳:でも、さっき言ったことは本気だよ

○:瞳月…

瞳:ずっと優しいままの○○くんでいてね

○:ありがとな

猫背で尚更小さく見える瞳月を撫でて勉強に戻ることにした




日も暮れてカラスもいなくなったころ
ようやくひと段階着いた

○母:そろそろご飯にする?

既に母も帰宅していた

○:俺はどっちでもいいよ?

ひ:○○ママ今日ご飯なに〜?

○母:今日はひーちゃんの大好物のおでんよ!

ひ:やったぁ!勉強頑張ったかいがあった!

子供のように跳ねて喜ぶひかる
ほかのメンバーもおでんは好きなのか小さく喜んでいる

玲:○○ママのご飯世界一だからね!

麗:そうなの?

○母:あら、玲ちゃんのお母さんに怒られちゃうわね笑

夏:いやほんとに○○ママ自信もっていいよ笑

○母:そんなに褒めちゃって…明日は豪華にしちゃおうかしら!

ご機嫌な○○母
キッチンの方に今日の晩御飯を温めに戻る

○:じゃあ今日はこの辺にしよっか!

愛:ふぁ〜…疲れたぁ

理:だいぶ集中してたもんね

瞳:○○くんのメモ凄いわかりやすいからあとで見る?

愛:え!?いつの間に!

理:え!見たい見たい!

中学生組は仲良く部屋に勉強道具を置きに行く

○:てかひかる達どこで寝るの?

ひ:あとで決めない?

夏:それがもはや楽しみだからね

○:父さん出張中だから俺父さんのベッド使うよ

麗:いやいや○○、後で決めよ?

謎の圧により寝床は後で決めることに
久々の大人数で食卓を囲む

『いただきます!』

○:温かいし美味い…モグモグ

ひ:美味しいっ!○○ママまた料理上手くなったでしょ!モグモグ

○母:今日ひーちゃんどうしたの?笑

瞳:…

理:しー遠慮しなくていいよ?

瞳:うん…

この家に来てからの食卓も遠慮してあまり食べなかった
今日は尚更人数もいるのでさらに遠慮しているようだ

○:食べないと大きくなれないよ?

夏:はいセクハラ予備軍〜

玲:今のはアウトだね

○:なんで!?

理:でもほんとに大丈夫だよ?体重落ちてるのも知ってるからね?

○:え、そうな

バッチィィンッ

体感時間にして10秒ほど記憶が飛んだ
横からの強力ビンタが○○に炸裂

ひ:女の子の体重事情聞いていいと思ってるの?

夏:答え次第では反対側の頬も真っ赤になるかもね

○:すいません…記憶から抹消します…

ひ:よろしい

夏:さ、食べよ

多分どこの誰よりも女の子を大事にしているのはこの2人だろう
お陰様で女性の扱いについて結構勉強できている

○:でも瞳月、本当にいっぱい食べていいんだぞ?

○:うちの母さん誰かにお腹空かせるのが大っ嫌いだからそろそろ素直に食べないと怒るよ笑

○母:でも無理強いは出来ないからね…笑

もどかしかったのは○○母もだったらしい

瞳:じゃあ…おかわりください…

○母:よしきたっ!茶碗たくさんに盛ってあげるからね!

愛:言っておくけどしーはめっちゃ大食いだからね?笑

理:びっくりするぐらい食べるもんね笑

○母:全然食べてもいいのよ?なんならかかってきなさい!

○:かかってきなさいって誰に言ってるのさ笑

ようやく全員が美味しく、楽しく食卓を囲むことが出来た
愛季の言うように瞳月もかなり食べた

麗:美味しかった〜!ごちそうさまでした!

○:てかなんでこんなに食べてるのに減らないの…

ひ:さすがにお腹いっぱいだぁ…

○母:人数多いからたくさん作ったのよ?笑

瞳:美味しいっ!モグモグ

夏:というか瞳月ちゃんめっちゃ食べる笑

みんなお腹いっぱいで箸を置き始めているのに瞳月だけは未だ元気に箸が動いていた

○母:うんうん!いっぱい食べる子好きよ!もっと食べて食べて!

瞳:ありがとうございますっ!

愛:なんでこんなに食べるのに…

理:一切太らないんだろ…

世界七不思議に登録されてもおかしくないくらいの謎
ようやく瞳月もお腹いっぱいになり片付けをする

○:じゃあ寝床決める?

ひ:ふふっ…ようやく来たぁ!この時が!

夏:私は負けない

麗:負けられない戦いとはこのことだね

玲:そんなにやる気だしても負ける時は負けるからね?

○:なんでそんなにバチバチなん?

愛:ちょっと待ったぁ!

ここで年下組も参戦してくる

理:私たちも素直にはいはいと言って受け入れはしないです!

瞳:可能性は平等じゃないと

寝床決めるだけだよね?
なぜこんなにバトルロワイヤルみたいになってるんだ

○:えっと…じゃあ何で決める?

麗:そんなの!

夏:もちろん!

ひ:マ○オカートだぁ!










ひ:よし…出来た!これトーナメント表で、順位高い人から好きなところに寝ていこう!

夏:了解

玲:さて、本気出しますか

麗:待って…理子ちゃん絶対強いじゃん!

理:麗奈ちゃん、相手は私じゃなくて愛季だよ

愛:得意だからね〜勝っちゃうよ!

どこから持ってきたのか分からない模造紙に書かれたトーナメント表
4人1組のペアが書かれている
何故か○○の名前はない

○:え?俺は?

瞳:○○くんは固定だよ?

ひ:○○が決めてくれないと私達も決められないからね

理不尽すぎる
どうせなら参加させて欲しいのに

○:あ、そうなの…じゃあ俺観戦?

麗:うん!誰か応援してて笑

ひ:じゃあ早速第1戦目!

ピンポーン

○:え?こんな時間に誰?

少し不審に思いながらも玄関先に向かう

○:はい…

天:○○来たよ〜!

○:え!天!?

すっかり元気になった天がリュックを背負ってやって来た
まだ目のクマは目立っているもののご飯もしっかり食べたようで元気いっぱい

天:あれ?面白そうなことやってるじゃん!

ひ:天!?大丈夫なの!?

ゲームの雰囲気もどこかへ消えて天に会えた嬉しさから抱きしめる一同

夏:心配かけて…

麗:もう会えないかと思ったっ…!

玲:おかえり…!

天:これも全部○○のおかげ、だからお礼は○○に言ってね笑

今回の1件のせいなのか、前よりも大人になった天に笑みがこぼれてしまう

○:おかえり、天

天:へへっ…ただいま○○!

リビングは一気に感動した空気になる

○:じゃあ天も寝床決めないとね

ひ:くっ…ライバル増えた!

夏:今から帰ってもいいんだよ?

さっきの感動を返してくれ

○:仲良くしなよ笑

理:じゃあ夏鈴ちゃん達の方に天ちゃん入れてあげよ?

愛:そしたら合計8人で4人ずつになるね

ひ:こうなったら絶対に負けない…!

最初の組は愛季、理子、麗奈、ひかるの4人
それぞれテレビ画面に向かって気合い満々

愛:絶対負けないから!

理:りーだって!

麗:うわぁ…できるかなっ…!

ひ:じゃあ…スタートだ!

テレビ画面では雲に乗った眼鏡くんがカウントダウンを始めていた

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