あなたの隣に立つために #17
玲:もうそろそろかな…カレー完成!
ひ:やったぁ!カレーできた!
○:こっちもいけるよ!
天:めっちゃ熱波来る!
辺りも薄暗くなり、釜戸の火が足元を照らす
バーベキューの炭も準備万端だ
玲:じゃあ…お皿用意しよっか!
麗:もう用意してあるよ!お米もバッチリ!
麗奈の目の前にある純白のお米からは湯気が立っている
愛:ご飯分ける!
理:玲ちゃんルー入れるの手伝うね!
理子と愛季も変わらず手伝ってくれている
瞳:シュン…
夏:大丈夫だって笑 ナデナデ
バトミントンの結果は天&玲ペアが優勝
夏鈴の放ったシャトルは瞳月のガットに当たることなく芝生に落ちた
見事空振りをした瞳月はずっと肩を落としていた
○:まだ気にしてるの?笑
夏:うん…もう大丈夫なのに笑
瞳月を挟んで夏鈴の反対側に腰を下ろす
瞳:…
○:たかがアイスだよ?欲しかったなら買ってあげるって笑
瞳:でも…夏鈴さんに申し訳なくて…
夏:え、私?笑
瞳:私のせいでアイス食べれなくなっちゃったから…ウルウル
○:夏鈴食いしん坊だと思われてるよ笑
アイスを食べさせることが出来なくてよほど悔しかったようだ
目を潤ませ、必死にそこまでじゃないよと伝える2人
○:瞳月ほんとに大丈夫だよ?笑
そう言って買ってきたアイスを見せる○○
しっかり人数分買ってきた
○:母さんが2人だけなんて言わないで人数分買ってこいってうるさいから…笑
夏:さすが○○ママ
○:ね?だから泣かないで笑
瞳:うん…ウルウル
夏:瞳月ちゃん気にしないでね、せっかくなんだから楽しもう?
珍しく夏鈴が横から抱きしめている
普段よりも小さく見える瞳月を包み込む
○:まさか泣くとは…笑
夏:アイスぐらい大丈夫だよね笑
温かい空気が流れる中、準備組はと言うと…
麗:なんか瞳月ちゃんが二人の子供みたい笑
愛:なんかずるい…
天:でも瞳月ちゃんって負けず嫌いだっけ?
確かにそうだ
勝負事に負けたとしてもあまり泣くイメージがない
理:う〜ん…りーたちもちょっとびっくりしてるよね
愛:あのしーは見たことないかも…
玲:夏鈴ちゃんが好きすぎて申し訳ないって思ってるのかな?
ひ:…
ひかるの表情だけは何が起きているかを察しているようだった
特に深入りもせず準備を進めることに
麗:ほいっと…玲ちゃん!
玲:あとはルーをかけて…完成!
理:うわぁ…✨️
ひ:理子ちゃん目がキラキラしてるよ笑
愛:お腹すいてたんだもんね笑
白いお米にゴロゴロ食材の食欲を唆るカレーの匂い
空腹の理子には輝いて見えているはずだ
麗:ほんっとに理子ちゃんが赤ちゃんに見える…!
天:でしょ!マジで理子ちゃんは赤ちゃんなの!
ひ:ね!ほっぺもモチモチだもんね! フニフニ
理:ひかりゅちゃん…やめへっ…///
ひ麗天:きゃぁ!可愛いぃ!
玲:ほら、愛季ちゃんも!
愛:玲ちゃんありがと!
無事に2人はカレーをゲットし席に戻っていく
網の上ではお肉達が音色を奏でている
○:お!美味しそうじゃん!
夏:流石の玲ちゃんだね
理:ねぇにぃちゃん見て見て!美味しそうでしょ!
可愛い笑顔でカレーを見せつけてくる
○:美味しそうだね…にぃちゃんと夏鈴の分も持ってきてもらってもいい?
夏:今お肉焼いてて…火力強すぎて焦げるからさ笑
理:任せて!玲ちゃ〜ん!
素直に頼みを聞いてくれる
我ながらいい子な妹を持ったものだ
愛:しー?カレー貰いに行こ?
瞳:うんっ…ありがと…
○:瞳月大丈夫?
瞳:ごめんね○○くん…
○:いや俺は大丈夫だけど…
思ったよりダメージは大きいらしい
このまま暗い気分で終わらせる訳にはいかない
○:…夏鈴
夏:何かあるのは確かだよ
○:親か…
夏:ノータッチだった分一緒にいた瞳月ちゃんに何か言ってる可能性はあるよね
○:何とかしてやらないとな…
夏:…私が何とかする
○:何とかって1人でどうやっ…
夏:いいから、見てて
何故か言い返せなかった
夏鈴しか分からない何かがある
そう脳内が認識した
理:はいっ!お腹すいてると思って多めに盛ってもらったよ!
○:理子ありがとね!
楽しいのかテンションが上がっている理子
何をするにも楽しそうで3歳児に見えてしまう
夏:ひかる達もカレー盛れたらおいで、お肉焼けてるよ
ひ:やったお肉!
天:肉だ肉だぁ!
玲:麗奈ちゃんも早くいくよ!
麗:ちょっ!まだルー入れてない!ごめん瞳月ちゃん!
瞳:あ…大丈夫ですよ…
愛:…しー、ちょっとこっちおいで
愛季が瞳月を連れて少し離れたところに向かう
その他のメンバーはこっちに猛ダッシュし、しっかりと焼けたお肉にメロメロだ
○:愛季あんまり遠く行くなよ〜!
愛:大丈夫〜!
ひ:えっ!めっちゃ美味しそう!
手にはみんなで作ったカレー
目の前には肉汁が流れ出し、網の上で踊るお肉
この上ない最高だ
麗:もう最高過ぎる…!
天:早速食べよ!
『いただきます!』
愛:ここまで来たら大丈夫かな…
瞳:…
愛:何があったか教えて?
黙りを貫く瞳月
口を結び開こうとしない
愛:夏鈴ちゃんの件もあるけどそれ以前にあるんでしょ
瞳:…
愛:ねぇ瞳月、黙ってたら分からないよ
愛:助けて欲しい時は助けてって言わないと
瞳:…何も無いよ…私が悪いの…
ようやく開いた口が発した言葉
待ち望んでいた回答は得られなかった
愛:誰が悪いとかを聞きたいんじゃない
愛:何があったか教えてって聞いてるの
愛:また1人で飛び込もうとしてるの…?嫌だよ…またしーが苦しんでる姿なんてっ…見たくないよっ…!
友を想い出てきた感情
それでも一点を見つめ何も答えてくれない
瞳:私が…私が悪い…だからお兄ちゃんは…
愛:嫌だっ!ねぇ瞳月!もういいよ!なんで私たちを頼ってくれないのさっ!
瞳:これはっ!
愛:っ…
瞳:これは私たち家族の問題なの…だから愛季を巻き込めない…
悲痛な心の内は見せてくれない
突き放されたように感じてしまった
愛:…
瞳:ごめんね…私がもっと強ければ…愛季にだって…グスンッ…○○くんにだって頼れた…グスッ
愛:頼ってよ…瞳月は十分頑張ったよっ…グスンッ…
『なるほど、そんなことがあったんだね』
「そりゃテンション低いわけだ笑」
愛:グスンッ…○○…夏鈴ちゃん…
声の元に目を向けるとこれまで数え切れないくらい助けられてきた心強い味方がいた
○:全く…瞳月はもう家族みたいなものなんだから素直に言えばいいのに…笑
夏:にしても瞳月ちゃんのご両親も勝手だね
夏:一方的に瞳月ちゃんを山下くんに任せておいてその山下くんが捕まった瞬間に一緒にいた瞳月ちゃんを責めるなんて
あれだけ冷静沈着な夏鈴が怒っている
それだけでどれほど瞳月を心配しているかが分かる
瞳:ごめんなさいっ…グスンッ…
○:ここ1週間だけで瞳月の両親と兄貴に振り回されっぱなしだね笑
夏:私達以上に振り回されてきた瞳月ちゃんはもっと大変だよ
○:だから俺たちがいる
愛:お願いっ…○○なんとかしてっ…グスンッ…このままだと…しーが…グスッ
ポンポン
○:大丈夫、頼まれなくても絶対になんとかするから
夏:どれだけお節介だと思われても私が瞳月ちゃんを守るって約束する
愛:○○っ…グスッ…夏鈴ちゃん…グスンッ
大きな瞳に涙をいっぱい溜めた愛季
そんな妹分を優しく抱きしめる
夏:瞳月ちゃん
瞳:…グスンッ
夏:私たちはみんな家族も同然
夏:だから隠し事はなし、ね?
瞳:夏鈴さん…グスンッ
夏:おいで
優しい笑顔が心を溶かした
溜め込んでいたものがゆっくりと流れ出していく
夏:絶対に1人にしない、1人にさせるもんか
恐らく今回の件で1番気がたっているのは夏鈴だろう
言葉一つ一つに少し刺がある
オブラートに包むことが多い夏鈴がストレートにものを言う時はだいたい機嫌が良くない
○:あとは夏鈴に任せようかな…ナデナデ
愛:グスンッ…○○…ぎゅぅして…
○:はいはい笑
少し震える背中を撫でられながら2人は一通り泣き終えた
○:よし、じゃあここからは楽しむこと
○:すぐには無理でも今日、明日はみんなで楽しむ日だからね!
夏:じゃあ○○面白いことしてよ
それはいくらなんでも振りが雑です
○:へ…?
夏:うわぁ…面白くない、行こ2人とも
愛:いっぱい泣いたらお腹すいちゃったね笑
瞳:沢山食べるっ…!
横をルンルンで通り過ぎていく3人
どれだけ雑に扱われても今回だけは安心してしまう○○はお人好しなのかもしれない
山ほどあったお肉も多めに作ったカレーも美味しすぎて見事完食した
ご飯も食べ終え辺りは真っ暗
こんな時にやることなんてひとつしかない
○:はぁ…?
天:だから!ここら辺に心霊スポットあるからそこに行こって話!
ひ:えぇ…怖いの嫌だ…
麗:怖いの無理かも…
何故か前向きに検討する天とその他の構図が完成する
どうやっても行かない流れになるのは確定だ
理:でもちょっと行ってみたいかも…
え?ちょっと理子さん?
愛:私もちょっと興味あるかもしれない…
愛季さんまで何を言ってるんですか?
絶対に泣き付かれるのは確定している
なぜって?
────────
ひ:嫌だぁ!
グイッ
○:ちょっ!首締まっ…
ひ:こわいぃ…ギュウウウウッ
○:息っ…でき…ガクッ
────────
────────
ウ”ァァァ!
愛:ねぇほんとに!嫌だ!
ドンッ
○:嘘でしょっ…!ドサッ
愛:ビビりなので驚かさないでくださいぃ…!
────────
────────
理:にぃちゃん…やっぱ…りー怖い…
○:そ、そうなの?(か、可愛い…!)
ウォォアァァ!!
理:こわぃ…!ギュッッ
○:いててててっ!
────────
既に前の世界線で経験済みだ
もう二度と一緒にお化け屋敷は入らないと神に誓ったんだ
お化け屋敷であれなのに心霊スポットなんて…考えるだけで恐ろしい
玲:ほんとに行くの?
○:暗くなったら危ないよ?
天:ふっふーん!甘いね2人とも!
そう言ってカバンをガサゴソと漁る天
出てきたのは番号の着いた割り箸
天:一人で行くわけないでしょ!2人ずつペアを決めて行きましょうや!
何故ここまで行きたいのかが分からない
確かに天は割と大丈夫な方だが他が壊滅的に苦手だ
理:2人なら…
愛:大丈夫かも…
そして何故か苦手組も乗り気なのだ
ひ:…こわぃのやだ
天:ほら、引くよ〜
麗:有無を言わせないね…笑
夏:こうなったら行くしかない
○:はぁ!?
もう逃れるのは無理そうだ
天:よし!せーのっ…!
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