麗奈お嬢様の奮闘日記 〜みんなで祝う生誕祭〜 前編
○:…
優:…どうしよっか
どうも谷口○○です!
今日は学校が午前で終わったので妹がいない家で作戦会議してるんですけど…
○:何するか悩んでたら前日とか…
そうなんです
小田倉さんの誕生日が明日に控えている前日
何も準備してなかったんです
優:私もダンスで忙しくて何も準備できなかったから…ごめんっ!
○:ううん、何も村井さんが謝ることじゃないよ
大事なのは何をするか決めなきゃいけないこと
あと1日も無いのにどうしようか
○:小田倉さんって何が好きなんだろ…
優:うーん…お菓子作りとか…ラップとか…ゴルフ…とかかな?
○:ラ、ラップ?
まさかそんな趣味があったなんて
でも、あのゆったりとした口調でビートに乗る小田倉さんも見てみたいかも…
優:たまにおぉ〜!ってなる!
○:でもラップバトルなんて出来ないし…
優:シンプルにデートとかはどうなの?
○:デートって…まだ付き合ってもないのに…///
優:早く付き合っちゃいなよ!笑
ピンポーン
ガチャンッ
○:あ、やばい…
この時間に帰ってくるのは妹しかいない
この場を見られようものなら…今日絶対に寝かせて貰えない
優:何がやばいの?
○:と、とりあえず村井さんどっかに隠れて!
優:う、うん!
ガチャンッ
ドタドタッ
○:おかえり
愛:お兄ちゃんただいま〜!
玄関を開けると同時に飛び出してきたのが妹の愛季です!
もう夏真っ盛りなので抱きしめるのは勘弁して欲しいんですけどね…拗ねるんですよこの子
○:手洗ってアイス食べておいで
愛:スンスン
○:ん?
愛:なんか…お兄ちゃんから女の匂いする…
警察犬かな?嗅覚どうなってるの?
愛:まさか…この前の女じゃないよね!
そうなんです
小田倉さんとお出かけしたあの日
────────
○:ただいま〜
愛:お兄ちゃ〜ん!おかえり〜!
いつも通り、お出迎えのタックル
○:うぐっ…ただいま愛季…
愛:じゃあ愛季のお部屋行こっか!
○:え?なんで?
愛:お母さ〜ん!お兄ちゃん今日どこ行ったんだっけ〜!
○母:今日お兄ちゃんはデートよ〜
何言ってくれてるんだ母
どう変換したらデートになるんだよ!
確かに同じクラスの女の子と出かけるとは言ったけどさ…
愛:お兄ちゃんは愛季のものだよね?なのに他の女とデート?なに?浮気したってことだよね?愛季の愛が足りなかったのかな?い〜っぱい愛してあげるからお部屋行こ?ね?
もうお気づきかもしれないが愛季は重度のブラコンだ
しかもだいぶ重たい愛を向けてくれてる
○:うぅ…ごめんね…
愛:ううん、ちゃんと愛してあげられてなかっただけ
愛:お兄ちゃんは愛季だけ見てればいいの!お兄ちゃんは私のものだからっ!
────────
ってな感じで拘束されたんです
絶対に同じ目には遭いたくないんです
○:き、気の所為じゃないかな?
愛:…お兄ちゃん目が泳いでるね
○:そ、そう?
愛:違う柔軟剤の匂い、普段見ない靴、少し早くなってる脈拍
愛:嘘ついていいのかな〜…?
なんでそんなことまで分かるんだ
将来刑事とか目指してみたら?
○:嘘じゃないよ?
愛:…
○:信じてくれないの?
愛:…
頼む…ここでバレたら明日絶対小田倉さんの誕生日祝えない…!
騙されてくれっ…!
愛:だよねっ!お兄ちゃんが浮気するわけないもんね!疑っちゃってごめん!
耐えたぁぁぁ!
首の皮一枚つながったとはこの事ですね…
○:そうだよ笑
○:ほら手洗っておいで
愛:はーい!
○:あとお兄ちゃん勉強してるから部屋来る時はノックしてね?
愛:うん!アイス持ったらすぐお兄ちゃんの部屋行くね!
○:うん、わかっ…え?すぐ?
このままでは自分どころが村井さんの命も危うい
愛:ん、ダメだった…?
その目は反則だよ…
小さい頃から見てきたけど愛季のこの潤んだ瞳に勝てたことなんて1回も無い
○:ううん、ダメじゃないよ?
愛:やった…すぐ行くから先行ってて〜
○:うん、待ってるね〜…
まずいまずいまずい
とにかく村井さんを安全なところに避難させないとっ!
ガチャンッ
○:村井さんっ!
優:ひゃっ…!
○:いや…そこは隠れられてないのよ…
ドアを開けると小さく蹲って布団の中に隠れていた
それじゃダメよ、バレバレよ
優:ど、どうしよう…
○:クローゼットか…いやこの暑さでクローゼットは危険すぎる…
『お兄ちゃ〜ん?アイスどれ食べていいの〜?』
○:好きなの選びな〜!お兄ちゃんの分も持ってきて〜!
『わかった〜!』
刻一刻と愛季は迫ってくる…
どうしよう…このまま正直に言えば…あ!そうだ!
○:村井さん、愛季の部屋に居て
優:へっ!?それなら尚更バレちゃうんじゃ…
○:小田倉さんの誕生日の件はLINEで何とか連絡取ろう
○:愛季にも何かいい案がないか聞いてみる
これならバレない
とにかく愛季を僕の部屋から出さなければいいだけの話だ
愛:急げ〜!アイス溶ける〜!
○:ほら!早く!
優:うぅ…お邪魔します!
愛:ふぃ〜…はいお兄ちゃんの分ね!
○:ありがと!助かるよ
仲良く隣り合わせでアイスを頬張る
ピコンッ
○:…
優L:『そういえばバイオリンも得意だったはずだよ!』
優L:『星も大好きって言ってた!』
なるほど、星が好きなのか
ロマンチックな趣味持ってるんだね
愛:むぅ…愛季と2人の時はスマホ禁止っ!
愛:せっかくなんだからお話しようよ
○:ごめん…今授業の発表内容で友達と連絡取ってて…
愛:じゃあ…仕方ないか…
ごめんな愛季
今日は嘘つきお兄ちゃんだからいっぱい嘘ついちゃうかも
○L:『いいね!』
○L:『星が好きなら天体望遠鏡とかにする?天気によってはみんなで星見よう!』
ピコンッ!!
優L:『それいい!』
優L:『みんなで星みたいな…とか言ってたから喜ぶと思う!』
○L:『じゃあ2人からのプレゼントってことで天体望遠鏡にしよう!』
よし!これで作戦は決まり!
あとはこの後望遠鏡を買いに行くだけ!
愛:どんな発表にするの?
○:へ…?
愛:お兄ちゃんの考え気になる!ちょっとだけ見せて!
ここに来て大ピンチです
村井さんとのLINEを見られようものなら即徹夜コースだ
○:え〜恥ずかしいよ…笑
愛:もう…恥ずかしがるお兄ちゃんも可愛いけどねっ💕
○:だから完成したら見せてあげるね
愛:うんっ!約束だよ?
何とか誤魔化せた…
愛:あ、そうだ!お兄ちゃんに見せたいものあるの!
そう言って立ち上がる愛季
向かう先なんてひとつしかない
○:ちょっと待って
すぐさま愛季の腕を掴む
愛:ん?どうしたの?
○:…今日はずっと一緒にいたいな
愛:ふぇ…///
驚くのも無理はない
普段こんなことは絶対に言わないもん
○:だから…ね?
愛:もう無理っ…💕ドサッ
両肩を押され馬乗りになる
顔の距離は数cmだ
○:いや…ちょっと…愛季?
愛:お兄ちゃんが悪いんだよ…?愛季のこと誘うから…💕
○:あ、いやその…えっと…
愛:今日は…お母さん達帰ってくるまでいっぱい中に出していいからね…💕
○:いや…流石に妹に手は…
ピンポーン
愛:チッ…
○:…インタホーン鳴ったね
インタホーンを鳴らした人を抱きしめたいくらい助かった
とにかく村井さんをバレないように外に連れ出そう
○:ちょっと出てくるね
愛:早く戻ってきてね?
足早に玄関に向かうも人はいない
いたのは村井さんだけ
○:あれ…いつの間に…コソッ
優:えっと…なんか…愛季ちゃんと…その…///コソッ
○:見てたのね…笑コソッ
優:もぅ…兄妹でそういうことはダメだよ…///
○:でも助かった、このまま買いに行っちゃお
でも…愛季抜け出すの許してくれるんだろうか
微塵も希望がない気がする
○:愛季〜!ちょっとお兄ちゃん出かけてくる〜!
愛:えぇ〜!愛季も行きたい!
まぁそうなるよね
○:どうしよう…村井さんだってバレたら村井さんにも危害が加わっちゃうかもだし…
優:私1人で行くよ?
○:でも天体望遠鏡なんて1人で買える額じゃ…
優:そ、そこは大丈夫!任せて!
○:…いやダメ、流石に村井さんに無理はさせられないよ
高校生にとって1、2万円は大金
この金額があれば愛季と何回かお出かけできる
優:でも後でお金は分けるし…大丈夫じゃない?
○:今手持ちある?
優:それは…急だったから…
そりゃそうだ
急に集まって決まったかと思えばかなり高額品だもん
○:この場を丸く収めるには僕が買いに行くしかないよね
優:絶対お金は払うから!ちゃんと金額教えてね?
○:覚えてたらね笑
優:教えてくれるまで言い続けるからね?笑
よし!あとはバレないように村井さんに帰ってもらって買いに行けば…
愛:お兄ちゃ〜…ん…
○:あ、愛季!?
優:こ、こんにちは!
愛:…こんにちは!お兄ちゃんの友達?
まずい
この顔を見るだけでわかる
今愛季はとてつもなく怒ってる
○:そ、そう!今学校の忘れ物届けに来てくれてさ!
優:そ、そうなの!
愛:それで一緒にお出かけしようって?
○:まさか〜…あはは…チラッ
優:コクンッ じゃあそれだけだからまたね○○くん
そう言って村井さんは足早に帰って行った
残された愛季をどうしようか必死に頭を動かすもなんにも思い浮かばない
愛:…
○:愛季…
愛:出かけたらいいじゃん…
○:一緒に行こうよ
愛:どうせお兄ちゃんあの子と行きたかったんでしょ…?
あれ?
いつもと調子が違うような…
愛:どうせ愛季の事なんて…ウルウル
○:そうじゃないって
ここに来て初めて全部説明した
誕生日の準備ができなかったから家で作戦会議してたこと
そして決まったので買いに行こうとしたこと
○:ごめん隠してて…
愛:なんだ〜…言ってくれればよかったのに笑
○:いや…愛季怒るかなって思って…
愛:怒るわけないじゃん笑
愛:だって誕生日プレゼントを用意する作戦ってことはお兄ちゃんはあの子に好意はないんでしょ?
愛:まぁ私以外の女にプレゼントなんてあげなくていいと思うけどお兄ちゃんの意思は尊重したいからさ!
○:お、おぅ…
重たい…
丸く収まったけど…重たい…とてつもなく重たい愛だ
愛:ってことはあの女のプレゼントを今から買いに行くの?
○:あの女って…小田倉さんね?
愛:いつもなら絶対行かないけど…お兄ちゃんとのお出かけは行きたいから一緒に行く
○:急に素直…
こうやって素直に一緒にどこか行きたいとか言ってくれたら可愛いんだけどね
まぁ、そんな事しなくても最高に可愛い妹ですけど
○:じゃあ行くから準備しよっか
愛:はーい!
これで何とかやっと買いに行くことが出来ます!
ここからやっと動きだせる…笑
ということで…
○:どれにしよっかな〜…
愛:これとかは?
○:う〜ん…小田倉さんどんなのが好きなのかな…
愛:好きな色とか聞いたりしてないの?
○:そこまで気が回らなかった…笑
愛:もぅ!しっかりしてよお兄ちゃん!
愛季もあんな事を言っていたのに1番率先して探してくれてます
本当にこの子はいい子なんです
○:これとかどうだろ…
愛:おぉ!いいじゃん!
選んだのは白を基調として所々にピンクのラインが入っている天体望遠鏡
あくまでもホワイトカラーなのでこれなら悪目立ちすることなく空間に馴染む
○:よし!じゃあこれにする!
愛:そうと決まればお会計だ〜!
○:お〜!
楽しく愛季と買い物
そう言われても違和感がないくらいスっと決まった
○:じゃあ買ってくるから店の外で待っててくれる?
愛:うんっ!その後は愛季とデートね!
○:はいはい笑
そう、本人に見られてるとも気づかずに
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?