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麗奈お嬢様の奮闘日記 〜みんなで祝う生誕祭〜 後編



明日は私の誕生日
お父様も小島さんも気合いが入っているのか学校から帰るなりお出かけをしようとのこと

麗:随分急だね笑

小:なんと言っても明日は麗奈お嬢様のお誕生日です。気合を入れていかないといけませんから!

父:そうだ!最高のものにしないと母さんが怖く…じゃなくて麗奈が可哀想だもんな!

豪勢にしないとお母さん怒るのね…笑

麗:でも本当に普通で大丈夫だよ?

小:何を言っておられますかお嬢様!必ずやお嬢様に満足していただけるお誕生日にします!

父:とりあえず欲しいものは何かあるのか?

麗:う〜ん…









『○○君と過ごせる権利!』











…なんて言える訳もないよね






麗:そういえば欲しい天体望遠鏡があって…

父:よし!じゃあ買いに行こう!いくぞ小島!

小:お任せ下さい!

麗:安全運転でね?笑

そんなこと言っても小島さんは安全運転してくれるはず!
…お父様気合い入りすぎて助手席座っちゃってるもん


とは言いつつも少し楽しみ
なんて言ったって誕生日だからそれを理由に○○君と距離を縮められるもんっ!

麗:気合い入ってるのは私かも…笑

小:お嬢様しっかりと捕まっていてくださいね!

父:レッツゴー!





やってきたのは近くの商業施設
ここにいつも買いに来る天文機器店舗があるんです

麗:うわぁ…✨️

父:ふふっ、好きな物選んでいいからな

麗:ほんとにいいの?

父:当たり前じゃないか笑

とっても心が踊る
好きなものがこんなにもあるお店ほど幸せな空間はないもの!

麗:どれにしようかな…

これだけ多いと目移りしちゃいそうだけど…

麗:あっ…これいいか…も…

その時だけは天体望遠鏡なんて目に入らなかった
○○君がいた




可愛い女性と一緒に




麗:…

父:ん?どうした麗奈?


不意に目が合った

合ってしまった


まさか彼女がいたなんて…
○○くんも悪い子だな〜…言ってくれればいいのに…

麗:…今日はお家でゆっくりしたいかな

父:そうか…無理やり連れてきてしまったもんな…

本当は違う
○○くんの幸せそうな顔を見ていたら辛くなっちゃうから

麗:ごめんなさい…

父:大丈夫だよ笑 今日はもう帰ろうか!また今度買いに来よう!

『お、小田倉さん!』

足早にお店を出た
それでも頭の中は○○くんでいっぱい




─────


○:今日がダメでも…また…一緒に出かければいいからさ…///

麗:また…いいの?

○:うん、小田倉さんともっと色んな場所行きたい


─────


あの言葉

嘘だったのかな

嫌だな、彼女でもないのに嫉妬なんかして




麗:私…遊ばれてたのかな…











○:よし!これでおっけい!

小田倉さんに渡す天体望遠鏡も買ったし!あとは帰るだけ!

愛:あとは愛季とデートだね〜!

○:あ、忘れてた…ボソッ

愛:何か言った?

○:な、何も言ってないです!

『ありがとうございました〜』

○:さてと…


振り向くとそこには小田倉さんがいた

いつもの優しい眼ではなく悲しげでどこか絶望したかのような視線が刺さってくる


愛:ねぇ、どこ行く?

○:あ、ちょ…

初めて抱きついてきた愛季を突き放そうとした
妹がいることは知っているが愛季と会ったことはない

故に勘違いされる可能性もある

麗:…っ!

○:愛季ここ外だから…

愛:いいの!


小田倉さんの方を見ると少し目が潤んでいる


違う


違うんだ


○:お、小田倉さんっ!


声に振り向くことなく行ってしまった
誕生日前日に僕は一番の失敗をしたかもしれません

○:はぁ…

愛:ん?お兄ちゃんため息ついてどうしたの?

○:なんでもないよ…

愛:…もしかしてさっきの女の人が小田倉さん?

○:…

愛:その感じは正解っぽいね

○:ちゃんと説明しないと…

愛:お兄ちゃん…

愛季もやらかした自覚があるのかいつものように『お兄ちゃんは私だけのものだからいいの!』とは言ってこなかった

デートというものが何を意味するものか分かっている年齢なので自然と気持ちを察してくれたんだろう

愛:ごめんなさい…久しぶりのお出かけで少しテンション上がっちゃって…

○:大丈夫だよ、愛季のせいじゃない

袖をキュッと掴んで俯いた愛季を撫でる

○:ほら、愛季の大好きな和菓子屋さん行こ?

愛:うん…






○:やらかした…これじゃ明日会えないよ…

家に帰ってきてからも悩みの種は消えません
どうしたらいいのかも分かりません

LINEは送ってみましたがもちろん既読さえ付きません

ピコンッ



優L:『ちょっと○○くん何しでかしたの!』



そのLINEと共に小田倉さんと村井さんのトーク履歴が送られてくる
そこにはだいぶ落ち込んだ小田倉さんの長文が来ていた


○L:『愛季と買いに行ったところをたまたま見られちゃって』

○L:『多分…勘違い?してると思う』


直ぐに既読が付く



優L:『なるほど…じゃあ妹さんと一緒にいた所を見られたんだね?』





○L:『村井さんは知ってると思うけど』


○L:『僕は本気で小田倉さんが好き』


○L:『だから今回の事で誤解してるならしっかり解きたい』







優:ふふっ…そのまま麗奈に送っちゃえばいいのに笑






優L:『そうだね』

優L:『私も○○くんと麗奈はお似合いだと思う』

優L:『○○くんなら麗奈を任せられる!笑』

○L:『どういう意味?笑』




優:ここまで言ってくれるなら私も少しお手伝いしてあげないとね…!






優L:『今お時間ありますか?』









帰ってきてからも落ち込みっぱなし
お父様にも心配かけて何やってるんだろう…

麗:でも…っ…

諦めたくない気持ちと一緒に涙が出てくる

麗:ちゃんとっ…好きだったのに…

確かに横にいた女性の方に私が勝てるところなんてない
可愛いし愛嬌もある
見たからに積極的に愛を伝えてくれるはず

麗:うぅ…


コンコン

「お嬢様…?」




麗:…今は一人にしてほしい




「…今だけは我儘をお許しください」


麗:っ…来ないでっ!


私の意思とは反して小島さんが入ってくる


麗:…出ていって


小:私に出来ることはひとつしかありません


麗:出ていって!


小:お嬢様の本当のお気持ちを知りたいです


麗:…


心にスっと言葉が刺さる
いつもの聞いている小島さんの声なのに違う人に聞こえる


小:私はお嬢様にお仕えして長いです


小:今抱えているお気持ちぐらい、すぐに分かります



麗:好きだったの…○○くんが…

麗:でも…○○くんにはっ…



隣にいるのが私だったら
そんなこと思ってしまう私は悪い子なんだ




小:もしそれがお嬢様の勘違いだとしたら?


麗:そんな訳ない…あの距離感…それで分かるもの…




小:いつも私が見てきたお嬢様は最後まで諦めることなく頑張る方でした

小:泣きながらでも進もうとする姿に何度感動させられたか分かりません

小:今回も同じだと私は思います

小:私の押し付けになってしまいますが○○さんを諦めて欲しくないのです

小:きっと、いえ、絶対にお嬢様を幸せにしてくれるお方です

小:それなのに、諦めてしまうのですか?



そんなの分かってる

○○くんが隣にいるだけで笑える未来は想像出来る

でも隣にいていいのは私じゃない






小:…そういえば優お嬢様が言っていましたが


小:○○さんは今日妹さんとお出かけを予定していたとかしないとか…





麗:妹…ま、まさか…


確かに妹がいると言っていた
でも見たことないし…妹だと断定は…!


麗:ってことは私が勘違いして…○○くんを無視してきちゃった…ってこと?




小:本人に確認してみてはいかがですか?



スマホの通知には○○くんからのLINEがずっと前に来ている

『ごめん小田倉さん』

『今日会ったのは小田倉さんだよね?』

『勘違いされたくないからちゃんと説明させてほしい』


そんな…一方的に勘違いして突き放したのは私…?


麗:私なんてことしちゃったんだろ…


小:お車の準備は出来ております



麗:でもこんな時間に行ったらお父様とお母様に…!



小:その時は私が怒られるだけの話です。お嬢様に非はありません。

小:もう一度言います

小:お嬢様、○○さんを諦めてしまっていいのですか?





そんなの決まってる





麗:我儘でごめんなさい!○○くんの家まで…届けて!


小:もちろんでございます。すぐにご用意ください。いつでも発車はできます。


小島さんに言われないと気づけないなんて

ちゃんと呼んでくれたのに無視してごめんって謝ろう

それで想いを伝えるんだ









小:優お嬢様に今度お礼をしておかなければなりませんね








ピコンッ



麗L:ごめん○○くん!私が勘違いしてた!


麗L:もし起きてたら○○くんの家の近くの公園で待ってます










小:まもなくですよ




本当に私っていい所がない


せっかく誕生日前日だと言うのに周りに迷惑ばかりかけて




麗:ありがとう…




小:…そのお顔のまま○○さんに会われるおつもりですか?

小:○○さんが見たいのはお嬢様の笑顔だと、私は思いますよ?

麗:小島さん…うん!わかった!

小:いい笑顔です。


やっぱり小島さんには敵わないや




小:それではここでお待ちしております

麗:ありがとう!私頑張る!

もう時刻は日を越しかけている
来てくれるかな…いや…流石に…


麗:来てるわけ…

公園に差しかかる


○:お!きたきた!


麗:○○くん…


○○くんは来てくれていた
見たからにお風呂も入ったあとだと思う

呼んだのは私だけど風邪引いちゃうよ…


○:本当にごめん!


麗:え、えぇ!?


近づくなりいきなり頭を下げられた


○:別に付き合ってるとかじゃないけど…小田倉さんの悲しげな表情見て…胸がキュって…勘違いされてたら嫌だなって思った


○:隣にいたのは愛季


○:妹なんだ



やっぱり私の早とちりだったみたい
隣にいたのは妹さんなのに勝手に嫉妬して、こんな時間に呼び出して



麗:うっ…うぅ…


○:えっ、えぇ!?どうしたの!?


申し訳なさから涙が込み上げてくる

こんなにも優しくて、私を思ってくれている彼がいるのに何を不安になっていたのだろう


○:ごめん!本当だよ!愛季は妹!なんか証拠…あ!写真とかあるから見る?見たら信じてくれる!?



必死に弁明している姿も可愛く思えてしまう

あぁ、私、○○くんのこと大好きなんだ




麗:好き…




○:へっ…?




麗:私っ…○○くんが大好きっ…





麗:だから勝手に嫉妬しちゃって…それなのに○○くんはこうして来てくれて…っ…

麗:こんなにも想ってくれてるなんてっ…知らなかった…ずっと私の片思いなのかなって…




不意に体温が上がった

○○くんの腕の中、こんなに温かいんだ




○:泣かないで?


○:恥ずかしがって言えない意気地無しでごめん


○:僕も小田倉さんが大好き


○:こんな出来事がなきゃ告白もできない僕だけど…


○:好きな気持ちは誰にも負けない


○:僕と付き合ってください



そっと夜風を感じて前を向くとそこには真剣な顔の○○くん

答えなんてひとつしかないよ





麗:よろしくっ…お願いしますっ!





再び腕に包まれる

私も負けじと○○くんの背中に腕を回す

勢いには任せたくないけど…





○:っ…///



麗:私の初めて、あげちゃった…///







誕生日だから許されるよね








小:お嬢様も成長なさって…グスンッ


ピコンッ


小:おや?優お嬢様からですね…


優L:『あの2人…どうでした?』


小:心配など優お嬢様が一番していないでしょうに…笑


カシャッ


小L:『あのお2人なら心配いらないですよ』


小:この写真は…一生大切にしないとですね


写真には抱き合いながら顔を真っ赤にした2人が映っていた






日付は越し…
放課後の小田倉家


○:というわけで…


『お誕生日おめでとう!』


麗:うわぁ…ありがとう!


無事麗奈の誕生日を祝うことが出来た
少し家が大きすぎてびっくりしたけどね…笑


優:ほんとに最後までヒヤヒヤさせて!


○:ごめんって…笑


麗:でも○○が想い伝えてくれた時はすごく嬉しかったよ!


○:麗奈に好きって言われた後だから肩身が狭いよ…笑


あの後は小島さんが家まで送ってくれた
少し目が赤かったのは見ないふりしたけどね

ちなみに家まで来てくれた時にたまたま愛季も起きていた
責任を感じていたのか泣きながら麗奈に謝っていた


小:お嬢様!誕生日おめでとうございます!


『おめでとうございます!』


麗:みんなありがとう!


○:凄いな…笑


執事さん達全員からのおめでとうは家全体に響いた
…さすがお嬢様だ


○:あ、そうだ!小島さんお願いします!


小:かしこまりました!


麗:?


小:お待たせいたしました!


○:これ僕と優から


麗:これ…私が気になってたやつ!


優:さっすが○○くん!麗奈の好みわかってるね〜!


直感で選んだがどうやら喜んでくれてるみたい
自信はなかったけどね


○:それと…これ


麗:これも2人から…?


優:ううん、私は知らないよ?


このプレゼントに込めた意味


麗:開けてもいい?


○:もちろん


麗:これは…イヤリングと髪飾り?


○:ほら、校則でピアスダメだし…麗奈髪長いから似合うかなって


隣で村井さんがニヤニヤしているのは見えてる
多分意味も全部お見通しなんだろうな


優:良かったじゃん!


麗:ありがとう!大切にするね!


○:うん!あの…御手洗ってどこですか?


小:ご案内いたしますね


席を外したのを確認した優が一気に距離を詰めてくる


優:○○くんからのプレゼントの意味、調べてみて


麗:プレゼントの意味…?


優:いいからいいから!


何をそんなに興奮して…
まぁ気になるし調べてみよっと


麗:どれどれ…






○:すいません!ありがとうございます!


小:いえいえ、○○さんは末永くお嬢様を支えていただく方なので


○:きゅ、急にプレッシャーが…


小:冗談です笑 できることはお手伝いさせていただきます


小:何卒、よろしくお願いいたします


○:こちらこそです!絶対に麗奈を幸せにしてみせます!


ドタドタ


ん?なんかすごい足音が…


麗:○○〜!


○:え?そんな走ってどうしっ…ぐふっ…


勢いよく走ってきた麗奈を何とか受け止める
柔らかい柔軟剤の匂いがする


小:私は邪魔ですね…ではごゆっくり


小島さんもどっか行っちゃった…


○:どうしたの?


麗:私もっ!そばにいたいし一緒にいたい!


○:意味調べたの?笑


麗:うんっ!私からの愛も伝えないと気が済まなくて…!


ニコニコしながら言う麗奈
この笑顔をずっと守りたい


○:あははっ、なんか恥ずかしいね笑


麗:もう大好きっ!愛してるっ!


○:わかったから戻ろう?笑 村井さんが1人だよ笑


麗:戻るから…その前にちょっとだけ…っ


○:っ…///


麗奈はキスが好きなのかな?


麗:ありがとう、2人のおかげで最高の誕生日になった

麗:これからもよろしくね?


○:こちらこそだよ、麗奈を絶対幸せにしてみせる


麗:ふふっ、頼もしい限りだねっ!


大広間に戻っていく2人の手は
しっかりと結ばれていた



end.

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