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幼馴染三姉妹に振り回されてます



何も無いはずだった土曜日
何故かリビングで外にも出ないで待っている

ピンポーン

○:はーい

”○○〜来たよ〜!”

”○ちゃんきた〜!”

インターホン越しに聞こえる元気な声
10分ほど前に来ていたLINE

そのためにリビングにいたのだ

○:早…笑

苦笑いしながら玄関を開ける
開けると同時に1番ちっこいのが飛びついてくる

和:○ちゃんきたよっ! ギュッ

○:うぉ…久しぶりだね和笑

さ:こら和はしゃぎすぎ笑

やってきたのは隣に住むさくらと和
幼馴染三姉妹のうちの次女と三女

さくらは同い年、和は8個下で小さい頃から『○ちゃん』と呼ばれるのでいつしか直すことなく『○ちゃん』呼びが定着した

○:いいよ別に笑

和:○ちゃんひさしぶり〜 スリスリ

小さいすべすべの頬でスリスリされる

さ:もう…笑

○:玄関ってのもなんだし、入って入って

和:おじゃまします!

和を抱き抱えてリビングに戻る
降ろそうにも抱きつかれて降ろせないので棚からお菓子を持って抱えたままソファに座る

○:これ、食べて

さ:やった!○○ママのお菓子大好きなの!

和:なーも!これだいすき!

○:試作品もあるから食べたら感想教えてあげてね笑

○○の母は洋菓子店を営んでおり、洋菓子好きで知らない人はいないくらいに有名だった

和:おいしそう…! ガサゴソ

○:あれ?遥香は?

さ:遥ちゃん今日大学!昼までって言ってたかな…

○:土曜日なのに大変だね…

長女の遥香は○○とは2つ違い
土曜日ではあるが部活もあるので学校にいるらしい

和:○ちゃんこれおいしい!

○:ほんと?母さん喜ぶよ!

和:えへへ…おいしい…モグモグ

○:ほんとに可愛いな笑 ナデナデ

さ:むぅ…さくも撫でろっ!

ソファでお菓子を頬張る和の頭を撫でているといつの間にか向かい側に座っていたさくらが超至近距離まで詰めていた

○:ちょっ!近いって!

さ:さっきから和ばっかりずるいもんっ!

○:嫉妬してんの?笑

さ:っ…///

○:さくも相変わらずだな〜笑 ナデナデ

天然女たらし○○、本領発揮
両手に花とはこのことだ

さ:…///

○:1番一緒にいる時間長いのにすぐ嫉妬するもんね笑

幼稚園からずっと一緒の2人
人生のほぼ全てを共にしてきた仲だ

さ:どんな時でも○○はさくのだから…///

和:んー!なーもなでて!

お菓子を食べ終えて○○の足をバンバンと叩く和

さ:ねぇ〜今さくの番だから!

そして反対側でもっと撫でろと言わんばかりに腕を掴むさくら

○:喧嘩しないでよ ナデナデ

和:へへ…○ちゃんのなでなですき!

さ:ん…もっと撫でて…///

○:ほんとに姉妹そっくりだな笑

撫でて喜んだ顔もよく似ている
さくらだけは年頃ということもあるので若干照れているが、和はニッコニコで喜んでいる

○:早く遥香来てくれ笑

和:はるちゃんいつくるかな?

さ:バスケ昼までって言ってたけど…

ピンポーン

和:きたっ!

○○より先に玄関に走っていく和
しかし靴を履いても鍵に手が届いていない

和:ん〜!…よいしょっ…!

○:和…笑

その姿がまた可愛い
懸命に背伸びするもあとちょっと届いていない

和:んしょ!…とどかないっ!…ん〜!

さ:さすがに可愛すぎる笑

○:開けてあげるから和はさくとお部屋行っててね

和:○ちゃんたのんだ!

和の代わりに鍵を開ける
外では部活終わりにそのまま来たのか運動着の遥香がいた

○:いらっしゃい

遥:ごめんね!部活あってさ!

○:ううん、お疲れ様!

遥:待って、やばい…部活後の○○は反則すぎる

今にも飛びついてきそうだったが、遥香の中の理性が保たれているのか何とか留まった

○:うぉ…飛びついてこないでよ?笑 入って入って!

遥:お邪魔します!



ということで遥香も到着し、全員集合
何をするかって?

○:…

遥:♪

さ:💢

和:ねぇ〜!なーも!

基本的に何もしない
この3人が家に来ると何もしないでイチャイチャするだけだ

○:くっつくな!

遥:部活終わりだもん、癒して?

さ:ねぇ!遥ちゃんばっかりずるい!

○:さくはさっき構ってあげたでしょうが

さ:足りない!○○不足っ!

和:なーも!なでなでして?

○:和、○ちゃん腕2本しかないよ笑

左腕は遥香が抱きつき、右腕はさくらに引っ張られ、目の前でぴょんぴょんしながら太ももをバシバシ叩く和
○○もどうしようもない状態だ

遥:さくと和はずっと撫でてもらってたんでしょ?

さ:それとこれとは別!

和:はるちゃんおつかれさま!

遥:和ありがとね ナデナデ

和:へへ…○ちゃんのなでなでもすきだけど、はるちゃんのなでなでもすき!

和はとにかく撫でて欲しかったらしい
遥香に撫でられて満更でもない笑顔

○:遥香お風呂入る?

遥:ん、汗臭かった?

少し距離を置かれる

○:遥香のこと臭いとか思ったことないよ笑 汗気持ち悪くない?

遥:じゃあ浴びようかな、服借りてもいい?

○:部屋から勝手に持って行っていいよ

遥:ありがと!

○○の部屋に服を取りに行く
自然とリビングにはさくらと和、○○の空間ができる

さ:よし、やっと独り占めできる

○:油断も隙もないね笑

引っ張られていた右腕が緩んだかと思えば右半身に抱きついてきた
和の目も気にすることなく力いっぱいに抱きつかれる

○:うぐっ…力強っ…

和:さくちゃんちからすごい!

さ:んんっ…少しだけ我慢して…

○:さく…

こういう時のさくらは誰よりも嫉妬深い
○○の目には自分だけが映って欲しいのだ

さ:○○はさくの…遥ちゃんの方が可愛いかもしれないけど…気持ちは誰にも負けないもんっ…

○:ふふっ…大丈夫だよ

珍しく○○もさくらを抱き返す

○:気持ちに答えてられなくてごめん

○:遥香も可愛いけど、俺はさくが可愛いことも知ってるよ?

さ:○○…///

2人の距離感、雰囲気はカップル同然
和もチョロチョロするくらいに空気は察している

さ:…○○のくせに生意気///

○:何年の付き合いだと思ってるの?笑

さ:○○大好きっ!

チュッ

○:なっ…///

事故なのか、故意なのか
さくらの唇は○○の頬を捉えた

さ:ここから先は付き合ってからね!

○:付き合ってからって…///

さ:ちょっと暑くなってきちゃった笑 外行ってくるね!

逃げるようにリビングを出ていくさくら
心做しか照れ隠しのようにも見える

和:さくちゃんおそと?

さ:うん!少しお外行ってくるから和は○○といてね?

和:○ちゃん!なーといちゃいちゃ!

入れ替わりで和が飛び込んでくる
○○もほぼ放心状態
まだ感覚が残る頬を撫でるしかなかった


遥:お風呂♪お風呂♪ん?

2階から降りてきた遥香は外に出ようとしているさくらを見つけた

遥:さく帰るの?

さ:ううん…ちょっと外出てくる

どこか落ち着かない模様
遥香には全てお見通しだ

遥:何か隠してるでしょ

さ:隠してないよ…

遥:お姉ちゃん舐めてる?もうわかってるんだからね

さ:遥ちゃんには敵わないな〜…笑

遥香が居なくなってからいつもの嫉妬をしてしまったこと、勢いでキスしてしまったことを話した
リビングからは○○と和の楽しそうな声が聞こえている

遥:そっか…

さ:ねぇ遥ちゃん…さく嫌われちゃったかな…?

唇を噛み、目に涙をためる
勢いとはいえ後悔しているようだ

遥:大丈夫だよ、○○はそんなんで嫌いにならないから笑

遥:外で頭冷やしておいで

さ:うん…

遥:ほら泣かないのっ!可愛い顔が台無しだよ?

さ:へへっ…ありがと

溢れた涙を指で拭って頭をポンポンと叩く
姉としての振る舞いを見せた遥香
さくらも安心した様子で靴を履いて外に出た

遥:青春だね〜

ガチャッ

○:和チューしてこないで笑

和:さくちゃんもしてた!なーもちゅーする!

○:そんな簡単にしたらダメだよ笑

先程まで泣いていたさくらが可愛く思えてきた
口を尖らせて○○の唇を狙う和
それから何とか逃げる○○

遥:ダメだこりゃ笑






遥:○○ドライヤーサービスお願い

○:なんだそのサービス

お風呂上がりの遥香がドライヤー片手にやってくる
問答無用で両足の間に座りドライヤーを押し付けてくる

○:ちょっとほんとに…笑

遥:やってくれるでしょ?

○:お断りします

遥:はぁ〜…小さい頃、さくと一緒にドライヤーしてあげてたの誰だったかな〜

○:やらせていただきます

遥:やった!

お風呂上がりの生温かい体温を足で感じながら丁寧に乾かしていく

○:相変わらず髪綺麗だね

遥:そう?さくの方が綺麗だと思うけどな

和:なーもきれい!

遥:そうだね!和もサラサラだもんね!

走り回って崩れた和の髪の毛を手櫛で整える
遥香が言うだけあり、指通りもよくサラサラなことが伺える

○:おっけい!いい感じ!

遥:ありがと!戻してくるね

和:○ちゃん…つかれた…

遥香が居なくなった足の間はすぐ埋まる
正面からコテンと倒れ込み、コアラの赤ちゃんが休んでいるように見える

○:だいぶ走り回ったからね笑

和:ねむくなってきた…

○:寝てもいいよ?帰りは送っていくから

和:でも○ちゃんとまだあそぶ…

○:顔が起きてないよ笑 ナデナデ

既に寝ているんじゃないかと思うくらい目が開いていない
静かにしていたら本当に寝るんじゃないかと思う程だ

和:○ちゃん…あしょ…ぶ…Zzz...

○:疲れてるもんね…笑

背中を撫でていると静かになり、呼吸が一定になる
可愛い寝息だけが聞こえる

○:ふふっ…和は俺達の癒しだからな笑

天使の寝顔をカメラに収める

遥:それ私にもちょうだい

○:了解、これは待ち受けにしないと

遥:よしっ!また和の寝顔フォルダ増えた笑

○:妹大好きじゃん笑

眠った和を撫でながら寝顔フォルダを見せてもらう
しかし○○の懸念点はまだあった

○:さく遅いな…

もう既に40分ほど経過している
何かあってもおかしくない時間帯

遥:家戻ったのかな?

○:それならそれでいいんだけどさ…

遥:キス、されたの?

○:っ…なんでそれを…///

なんの前触れもなくぶっ込まれる

遥:さくから聞いた笑

遥:それで?どう思ってるの?

○:正直…ドキッとしたって言うか…

幼馴染だからこそ持つことが少なかった感情
それを全面に出されるとどうしても意識してしまう

○:さくのことは好きだけど…なんかいつもの好きとは違うんだよね

遥:そっか

○:変に考えちゃうとさくとの接し方分からなくなるし、でもさくとはずっと一緒にいたいんだよね…

○:どうしたらいいんだろ…

遥:もう答え出てるじゃん

○:…

遥:一緒にいたい、それが気持ちなんじゃないの?

○○はハッキリとずっと一緒にいたいと言った
その言葉に全てが組み込まれている

遥:まぁ今すぐにとは言わないけどさくと向き合う時間もつくってあげてね

遥:あの子考えすぎると爆発しちゃって「私なんか…私なんか」ってなっちゃうからさ

○:うん…

遥:大丈夫!2人なら結局仲直りできるんだから当たって砕けろだよ!

○:喧嘩はしてないけどね笑

ガチャン

遥:噂をすれば笑

玄関が開く音
さくらが戻ってきた

○:ふぅ…いつも通りいつも通り…

さ:ただいま〜

ギュッ

○:へ…?

遥:おかえりっ!さくがいない間○○は独り占めさせてもらったよ!

遥香さん、なんで火に油を注ぐんですか?
もちろんさくらの顔も一瞬で変わる

さ:なっ!遥ちゃん!

遥:いやぁ〜○○とあんなことやこんなこと…楽しかったね///

○:ちょっ…///

さ:何してんの!///

遥:え?そんなの…言えないよ///

高校生達を良くない弄り方をする大学生・遥香
刺激がちょっと強い

さ:っ…○○のバカ!遥ちゃんに襲われても逃げてよ!///

○:待て待て!襲われてないから!ただ話してただけだ!///

遥:呼ばれたら…いつでも来るからね…///

○:っ…///

遥:…(いつまでも気まずいとこっちも嫌だからさ)笑

○:遥香…

遥香なりの配慮だったらしい
そのせいで○○の命さえも危ういというのに

○:もっと他になかったの!?

さ:○○!覚悟!

○:ちょっ!和寝てるから!

遥:和は任せて

ひょいと和を抱き上げて抱っこする
おかげでさくらは遠慮なく○○に突っ込んでくる

さ:とりゃあ!

○:なんでこんなことになるんだ!

リビングで開催される追いかけっこ
ドタバタ走り回る2人が遥香には兄妹喧嘩にしか見えなかった

遥:多分○○の方がお兄ちゃんかな笑

遥:さくは妹感強いもん笑

遥:ね〜和〜 ナデナデ

和:○ちゃん…Zzz...

遥香の腕の中で眠る天使はどれだけ騒がしくても起きることはなかったとさ














和:○ちゃんにちゅーするの!

○:だからダメだって笑

遥:じゃあ私と大人のキスしちゃおっか

○:それも違うから!

さ:まだ懲りてないみたいだね…○○!

○:もう嫌だこの姉妹…

和が起きたあと、「ちゅーしたい!」の一言からround2のゴングは鳴ったらしい

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