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あなたの隣に立つために #3



足が重たい

○:...

天:理子ちゃんいるかな〜!

麗:2人は妹さん会ったことあるの?

森:もちろん!めっっちゃ可愛いから!

天:○○の妹なんて思えないくらいね!

4分の3が大盛り上がりという異様な状況
実際、天もひかるも理子に会うのは久しぶりだ

麗:それで...愛季ちゃんっていうのは?

天、ひかる、○○にとっては愛季も妹のようなものだ
しかし、理子と愛季が揃った日には○○の命が危うい

天:近所に住んでる子なんだよね!

森:小さい頃から遊んでて幼馴染?ってやつ!

麗:○○くんは可愛い子に囲まれて育ったんだね...笑

そんなことを言わないでくれ
自覚はあるんだ
ちなみにあなたもこの先仲良くしてくれるから可愛い子の1人だよ?

『○○〜!』

○:来た...

森:愛季〜!

愛:え!るんちゃんだ〜!

ちっこい者同士のハグ
これ以上に心が休まる瞬間は無い

森:可愛いなぁ...愛季は...ナデナデ

愛:にひっ...るんちゃん好き〜 ギュゥ

麗:○○くん...///

○:ん?どした?

麗:麗奈新しい扉開き...

○:愛季、ひかる、今すぐ離れなさい

麗奈の開きかかった扉を強引に閉める
天も愛季を抱きしめていたが、力強すぎて愛季が少し可哀想になった

○:それで...愛季はなんで今日なの?

愛:○○そろそろ寂しいんだろうなって思ってさ

ちょこちょこ動いて○○の隣に来たと思えば、手を繋ぎ始める

○:寂しいのは愛季でしょ?笑

愛:うるさい...///

口をムッとさせて伏し目がちに拗ねる
こういうところはいつまでも子供だ

天:あ!紹介しないとね!こちら守屋麗奈ちゃんです!

麗:はじめまして!今日転校してきた守屋麗奈です!

愛:...

黙って麗奈を見つめ、ヤンキーのように詰寄る

○:お、おい愛季...

愛:ジーッ

天:もしかして合わなかったかな...

森:え?誰にでも懐く愛季が?

詰められた麗奈も怖くなってきたのか目が潤み始める
愛季も離れる気はなさそう

愛:...

麗:な、なんですか...?

愛:可愛いぃぃ!!!

天森○:え?

愛:麗奈ちゃん可愛い!

ゼロ距離から愛季のハグを受けよろける麗奈
そこまで大きくない麗奈が大きく見えたのは内緒だ

麗:えっ...///

愛:めっちゃ可愛い...天ちゃんとるんちゃんにも負けないくらい可愛い!

○:さすが愛季...

麗奈を褒めつつも、天、ひかるにも配慮した一言
1歳下とは思えない気遣い力
高校生の時には気づかなかった部分だ
...ん?今は高校生?もう分からなくなってきた...

愛:可愛いけど...

麗奈から離れる愛季
その位置は元に戻る

愛:○○は私と結婚するから!

大きくなってからは聞けなくなったこの言葉
いつの日からか壁ができてしまっていたのか、それとも愛季が大人になったのか

○:ふふっ...

懐かしい気持ちに笑みがこぼれる

天:え?なんか笑ってる...

森:いつもは『愛季それやめて?』って言うのに...

○:いや、今日はなんか嬉しいかも

らしくない○○に天もひかるも軽蔑の目
喜んでいるのは愛季だけ

愛:やった!やっぱり○○には私が付いていないとね!

麗:○○くん身長も大きいから犯罪疑われそう...

○:愛季それやめて?



合流して数十分後
○○の家が見えてくる

○:鍵鍵...

愛:もう...しっかりしてよ笑

天:そういえば夏鈴と玲ちゃんは?

森:委員会の仕事で遅れてくるってさ

麗:天ちゃんとひかるちゃんのお友達?

天:うん!夏鈴は幼馴染で、玲ちゃんは1年生の時に仲良くなった!

麗:へぇ...幼馴染多いんだね

天やひかるを含めても幼馴染は4人いる○○
小さい頃から家族ぐるみで仲が良かったので嫌でも遊ぶしかなかったのだ

○:お、あったあった...

ガチャ...
ドタドタドタ...

鍵が刺さった瞬間に家の中が騒がしくなる
足音の正体は妹

○:久しぶりのお出迎えか...

天:久しぶり?毎日じゃないの?

○:あ、あぁ!そう毎日だった!

ガチャン

理:にぃちゃ〜ん!おかえり!

うちの可愛い天使がお出迎えをしてくれる
リビングから飛び出してきたのかドアが開きっぱなしだ

○:おぉ〜理子、ただいま!

理:えへへ...待ってたよにぃちゃん ギュゥ

後ろの人達はまるで目に入ってないかのような抱擁
2人はいつもの光景だが、麗奈はキュンで悶えていた

麗:妹さん可愛すぎる...///

天:いつもの事だよ笑

愛:相変わらずだな〜りーは笑

満足したのか体を離す理子

理:げっ...愛季...

愛:どうしたのぉ?りー赤ちゃ〜ん?

理:なっ...赤ちゃん扱いしないでっ!///

犬猿の仲というやつだ
愛季が家に来ては○○を取り合っている

森:あの〜○○さん?そろそろ中に入れてもらっていいですか?

○:あ、ごめんごめん

麗:お邪魔します!





○:...

森:可愛いねぇ〜 ナデナデ

愛:るんちゃ〜ん... ギュゥ

天:理子ちゃんほんとに天使みたいっ!ギュゥゥゥ

理:ちょ...天ちゃん力強い笑

麗:やばい...開いちゃダメな扉が...///

早く夏鈴と玲来てくれないかな

○:(あれ?こんなにくっついてたっけ?)

もう4年も前の話
覚えていなくても無理はないだろう

○:(愛季とひかるはまだしも...天と理子...?)

確かに愛でてはいたが、ここまでではなかった
まるで天も性格が変わったように見える

○:(気の所為かな...)

愛:そろそろ○○とぎゅぅしたい...

森:ありゃ、○○に負けたか笑

愛:るんちゃんも大好きだけど...ね?笑

森:いいよ笑 いっておいで

ひかるから開放された愛季は真っ直ぐソファに座っていた○○の横に座る

愛:にひっ...やっと2人きりになれたね!

○:2人きりではないけどね笑

愛:いいの!今は2人の空間でしょ?

細い腕が○○の腕に絡みついてくる
体を寄せてちょこんと頭を肩に乗せる

理:あぁ〜!りーのにぃちゃんが!天ちゃんごめんっ!

天:うぉっ...笑

天の拘束を自ら抜け出し愛季とは逆側に座る
そして反対側の腕に抱きつく

理:ねぇ〜りーのにぃちゃんじゃないの?

○:理子のお兄ちゃんだけど理子のじゃないよ笑

愛:へへっ、○○は私のなんです〜

○:愛季のでもないわ笑

両側からグイグイと腕を引かれる
さぁ地獄の始まりです

○:痛いってば...笑

愛:りー離して!○○の腕取れる!

理:愛季が離してよ!

麗:止めた方がいいんじゃ...

天:麗奈、黙って見てて

森:この後の○○めっちゃおもしろいから

面白いなら真顔で言うな

○:(麗奈間違ってないよ!止めていいよ!)

麗:じゃあ見てみたいかも

なんでやねん
既に腕が抜けそうなくらいに引っ張られている

○:ちょっ!ストップ!

愛:むぅ...引いてダメなら押すしかない!

理:負けないからっ!

ギュゥッ

○:うぐっ...ちょ...まじで...

綱引きが終われば次は相撲みたいなものだ
理子と愛季に両側から挟まれるような状態

○:(これだけはずっと慣れなかった...!しかも止めてくれるの夏鈴しかいないんだよ...!)

何を隠そうこれをいつも止めてくれるのは夏鈴しかいないのだ
その夏鈴が不在、つまり終わりを意味する

天:○○の顔見てっ笑

森:あっはっは笑 ほんとに無理笑

麗:○○くんすごい顔してる笑

○:2人ともっ...引き分け...にしないか...?

愛:無理っ!○○は私のだからっ!

理:違う!りーのだから!

○:誰か助けてぇ〜!





夏:ん?鍵開いてる...

玲:珍しい...○○が1番防犯うるさかったのに...

怪しみながらも家に躊躇なく入っていく
リビングからは女子の声しか聞こえない

夏:あれ?○○いないのかな

玲:でもここ○○の家だよ?笑

恐る恐る開けてみるといつものメンバーに加えて、麗奈、愛季がいた

天:委員会お疲れ!

夏:お疲れ様...えっと...

麗:あ!今日転校してきた守屋麗奈です!

玲:麗奈ちゃんね、よろしく!大園玲です!

夏:藤吉夏鈴です

自己紹介も終えると愛季が夏鈴に駆け寄る

愛:夏鈴ちゃん久しぶり!

夏:お、愛季じゃん

愛:えへへ...夏鈴ちゃんいい匂い...

夏鈴に抱きつき目一杯空気を吸う
玲はキョロキョロと○○を探している

玲:ん?○○は?

夏:確かに...理子ちゃんもいないね

天:えっと...

森:それがね...

愛:私と取り合いしてたら○○気失っちゃってね笑

笑い事ではないぞ愛季

夏:はぁ...今日は止めに入れなかったからってことね

玲:理子ちゃんは看病ってところかな笑

結局○○がダウンまで追い込まれて完結
○○はその後、自室のベッドの上で休んでいた


○:...

理:今回はりーも愛季も悪かったかも...

○:理子...

理:あ!にぃちゃん起き...なんで...?

○○の頬には一筋の涙が流れる

○:ごめんな...理子...

理:にぃちゃん!りーはここにいるよ!にぃちゃん!

体を揺すり、無理やり○○を起こそうとする
理子は○○がうなされていると思っているのだ

○:ごめんな...お兄ちゃんのせいで...ごめんな...

理:にぃちゃん!起きて!起きてよ!

理子の願いが届いたのかゆっくりと目が開く

○:理子...

理:にぃちゃん...りーはここにいるよ...?ウルウル

○:え!どした!なんかされた?

理:だって...ウグッ...にぃちゃんがずっと理子ごめんねって...グスッ...言うから...

○:えっ...

理:りーなんかしてたら謝るから...ごめんね...グスンッ

寝ている時の記憶は無い
しかし、その”事実”を伝えるのは絶対にダメだと本能が言っている

○:ご、ごめんな!お兄ちゃん抱きしめられるだけで気絶しちゃって!あはは...

理:うぅ...にぃちゃん...グスンッ

○:理子...おいで

ポロポロと涙を流す理子
○○はただ抱きしめるしか無かった

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