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はじめまして。マネージャー。#12

期間にして約2ヶ月
ようやくホームタウンに帰ることになった

○:やっとか…

変な緊張を覚える

○:忘れられてないよな流石に...

○○の気がかりは奈々未とメンバーの様子だった
多田稔を経由したみんながどうなってしまっているのか

○:多分大丈夫だと思うんだけどな...

今:○○〜!

○:今行く〜!

今日は親父の車で出勤
最近新しい車を買ったらしく乗りまくってるらしい

○:よろしくお願いしまーす

今:よし行こか


...


事務所までの道中話題はOGの話になっていた

○:そういえば生駒ちゃん元気?

今:この前遊びに来てたぞ?

○:え〜っ!ずるっ!呼んでよ!

今:生駒と桜井と若月で挨拶来てた笑

○:え!玲香と若もいたの!

あまりにも珍しいメンツに嫉妬が止まない

今:また来るって笑

○:くっそぉ...

今:ほら、着くから気持ち作っとけ笑

○:もぉ?

事務所の駐車場の入口まで車は進んでいた

○:めっちゃ緊張する...

今:大丈夫だって笑



橋:...

○:...

橋:...?💢

○:...💦

こわぁい

○:ななみん痛い...

橋:2ヶ月も空けといて何言ってんの💢

今抱きしめられてる...というか首締められてるというか...
とにかく命の危機です

○:それは仕方ないじゃんか

橋:それより体は大丈夫なの?

ようやく解放される

○:かなりリハビリもしたから多分大丈夫

橋:ほんっと心配かけるの得意ね

○:褒めてないでしょそれ

橋:あら、○○の唯一の長所でしょ?

○:あーあ、○○くん怒った!

橋:嘘嘘笑、無事で何よりだよ

○:ふんっ!

橋:拗ねた...笑

それはさておきメンバーに挨拶に行きます

○:みんな元気なの?

橋:元気過ぎるくらいよ...

...なかなか苦労してるみたい

ガチャッ

○:失礼します...

飛:...

さ:...

あれ?

○:めっちゃ静か...

賀:...

和:...

なんかあった...?

○:え、完全アウェーじゃん...

誰も目を合わせてくれない
こうなりゃ...

○:美月...?

山:...

顔を覗くもそっぽを向かれる

○:ねぇ、無視?

山:あっちいって...

かなり冷たく対応される

○:なんでそんな冷たいの...ウルウル

なかなか心にくるものがある
あれだけ仲がいいと思っていたのにこれまでされると泣きそうになる

山:あ、泣かないで💦

○:うぅ...

山:ちょっと飛鳥さん!

飛:え、なんで泣いてんの💦

○:またみんなと仕事出来ると思ったのに...グスッ...冷たいんだもん...グスッ

山・飛:(か、かわいぃぃ!!!!)

美月と飛鳥の騒ぎを聞き他のメンバーも急いで駆け寄る

さ:ちょっとやりすぎた...

賀:○○も可愛いとこあるじゃん笑

五:○○さんの新たな一面...

○:みんな酷い...ウルウル

飛:ごめん○○!ちょっと意地悪したくなっちゃったの💦

主犯は飛鳥で、みんなで無視しようドッキリを仕掛けていたらしい

○:...ななみんに言っちゃうもんね...

山:終わった

梅:早まるな○○!

久:まだ未来を捨てるには早い!

三文芝居すな

○:またみんなと仕事できるのほんとに嬉しいんだからね俺

和:○○さんおかえりなさい!

やっぱり天使や

○:和ただいま!

和:○○さん、急なんですけどぎゅーしてください!

○:いいよ!

桜:おっとっと...

和を引き剥がす桜
後々考えればナイスすぎる

○:あっぶね...勢いでハグするところだった

和:あとちょっとだったのに...!

悔しそうな和を横目に安堵のメンバー

桜:あっぶない...

桜は桜でかなり焦って止めたらしい

○:あ、てな訳で今日からまたよろしくね

飛:おかえり

さ:ちゃんと頼むよ?

賀:ようやくだ!


先生:はいみんなレッスン行くよー、あ、今野くん久しぶり!

○:お久しぶりです!

先生:みんな凄くなってるからびっくりしないでよ?笑

○:はい!

先生:それじゃみんな頭からやっていくよ

レッスンが始まる

○:?頭から?

橋:あら、新人くん予定確認してないの?

○:なんかあったっけ?

橋:来週から全国ツアーだよ?

○:もうそんな時期かよ

そりゃ外も暑くなってくるわけだ

○:今年どこから?

橋:北海道

○:ほー...

北海道...

橋:ん?なにか?

○:いや、なんでもない

橋:まだ休み足りないんじゃない?

○:もうピンピンしてるわ!

レッスンが何事もなく進んでいく

先生:よーし休憩!

飛:ふぅ...

さ:かっきーここさ...

賀:ふんふん、いや、そこは...

ツアー前の雰囲気としてはベスト

和:与田さん!ここなんですけど...

与:もうちょっと大きくしてみたら?その方が...

先輩後輩垣根なくアドバイスを送れる間柄
もはや離れる前より良くなってる

○:雰囲気いいね

橋:今年はみんなやる気だからね〜

○:なんで?

橋:あれ👉

○:?

壁の貼り紙を見る

○:えーっと...『今回の夏の全国ツアーで最も輝いたTMVPはうちのバカ息子を自由にできる権利を贈呈する』

...

○:はぁ!?

橋:どんまい笑

横で引き笑いをする奈々未も気にならないほど
意識が張り紙に向いていた

○:これ、いつ!?

橋:昨日かな?今野さんがわざわざ印刷して貼ってた笑

○:てかTMVPってなんだよ!

今:tourmvpって意味だよ

橋:お疲れ様です

メン:お疲れ様です!

一斉に挨拶をする

○:親父やってくれたな...

今:やる気になるならなんでも使うさ笑

○:こんなの無くてもやる気出せよ...

飛:飛鳥ちゃんは毎回やる気だぞ

山:私もー!

○:はぁ...

今:ま、細かいことは気にするな

そう言ってヒラヒラと手を振り出ていく

○:とんでもねぇな

橋:でも確実にモチベーションは上がってるよ

周りを見てみる

和:♪

川:🔥

菅:よしっ...!

見るからにやる気だ...
こうなりゃもうどうにでもなれ

○:諦めます...

橋:はいはい、みんなレッスン戻るよ

メン:はい!

そこからはアンコール曲も含め
全タイトルが終了

○:よし帰ろ

橋:ちょいまち

○:なんか仕事残ってた?

橋:のんのん、これから復帰祝いだよ

○:復帰祝い?

橋:あの子がやりたいって👉

指さす先を見ると5期生が集まっていた

○:え、誰?

橋:だから...

すると奈々未は5期生の集団につっこみ
1人の腕を掴む

橋:この子!

○:え、和!?

和:あのぉ...奈々未さんなにか...?

橋:和がどうしてもって!

和:やめてください奈々未さん!///

顔も耳も真っ赤です
茹でダコよりも真っ赤です

○:可愛いとこあるじゃん笑

和:○○さんも揶揄わないでください!///

○:照れんなって笑

横に立ち、頭を撫でてみる

和:かぁぁ///

桜:あー!にゃぎずるい!

和:///

固まったまま動きません

○:ありゃ、やりすぎた?笑

橋:もう!早く行くよ!行ける人マイクロバスへごぉぉう!



急(?)だったのにも関わらずかなり集まった
少し遠い居酒屋を貸し切っての開催

飛:まぁ行かないわけないよね

山:○○の隣は私のなんで

○:さっきいじめられたから和の横で

和:えっ...///

飛・山:あぁー!ずるいぃ!

橋:店で騒ぐな

飛・山:はぁい...

親と子の構図が完成している

橋:よしっ、お酒も来たし○○音頭たのむ!

○:えぇ...

渋々立ち上がる

○:今日は本当にありがとうございます!また皆さんとお仕事できること楽しみで仕方なかったです!来週からの全ツも全力で頑張りましょう!乾杯!

『かんぱーい!』

橋:ぷはぁっ...生き返る...

○:ななみんおじさんみたい

橋:あんたも年取ったら分かるよ!

さ:おいしぃ...

飛:やっぱりこれだぁ...

各々好きなお酒を頼みつまみも頼んでいく

○:和は...まだ飲めないか笑

和:○○さんも飲めないじゃないですか笑

○:まぁね笑

和:○○さん、本当に戻ってきてくれたんですね

急に真剣な顔で話し始める

和:私達のMVに着いてきてくれた時からずっと好きで...憧れで...

○:酔ってる?笑

和:もぅ!真剣なお話です!

和:だから○○さん戻ってきてくれて本当に心から嬉しくて嬉しくて... ウルウル

ポンポン

○:はいしんみりするのなし、今は楽しも?ね?

あくまでも和の思いを尊重した上での訂正
和の顔を覗き込み優しくほほ笑みかける

和:かっこいい...!///

○:え?

和:あっ、いや!今のなしで!

○:まずい...!そんなこと大きい声で言ったら...

飛:おんどりゃぁ〜なぁぎぃ〜!

山:○○はあたしのなのぉ!

言わんこっちゃない
もう完成した先輩が後輩に絡んでくる

和:あ、いや...

ガシッ

飛:あたしの○○に手ぇ出すとはいい度胸だねぇ〜

ガシッ

山:どうお仕置しようかなぁ〜

和:あの...ご、ごめん...なさい...

先輩に脅されもう泣きそう

和:○○さぁん...助けてぇ...

そんな顔で頼まれたら断れません

○:そこら辺にしとけよ〜

そう言って2人の頭をつかみ持ち上げる

飛:イテテ...なにすんのぉ!

山:ちゅーするぞ!

○:それと和をいじめるのは関係ないぞ〜?

そのまま元の席に戻す

○:ふぅ...ごめんね酒はいるとめんどくさくて笑

和:怖かったぁ...

ギュゥ

瞬間、5期生が騒ぎ出す

桜:抜け駆け無しって言ったじゃん!

一:もう片方は私が!

五:いや!茉央が!

○:あはは...みんな落ち着いて...笑

まて、冷静になれ○○
5期生とご飯、ハグ、お酒...
嫌な思い出が蘇る

○:まずい...!

もう手遅れだった

池:○○さぁん!

ギュゥッギュゥ

○:うぐっ...瑛紗...

お酒を入れたら先輩に引けを取らないくらい面倒だ
前回は天の介入もあり何とか逃れられたが...

○:どうする...

和:ぱん!流石に力強すぎ...○○さん病み上がり!

池:♪

ギュゥッギュゥッ

○:うぐっ...まじやばい...

また病院送りにされる
そう思った時

?:はいストップ〜

○:助かったぁ...

ようやく解放され、息を大きく吸う

○:ありが...七瀬!?

目の前にいたのは西野七瀬だった

○:なんでここに...

七:なんでって...ねぇ?

?:私達も今回レッスンの手伝いしてるからねぇ?

?:久しぶりだなぁ!○○!

○:生駒ちゃんに、万理華!?

今回レッスン講師として忙しい中OGが参加していた

里:久しぶり!

○:いつぶりだろ...笑

里:全然会わなかったよね笑

○:この前来た時いなかったしなぁ

万:それにしても大きくなったなぁ〜

○:万理華この前のグッズ買ったよ

万:え!ほんと!?

○:万理華おしゃれ番長でセンスもピカイチだからね笑

万:褒めても私の描いた絵しかあげないぞ?笑

めちゃめちゃくれるじゃん

和:置いてかれてる...

○:ごめんごめん、つい久しぶりで...笑

ギュッ

七:ちょっとななのことは?

後ろから抱きつき肩に顎を乗せる
自然と耳元で囁かれる状態になる

○:ちょっ...七瀬///

七:ななも○○に会うの楽しみやってんで?

○:わかったから...離れて...///

七:冷たいなぁ...久々に○○に会えてドキドキ止まらんねん

もう限界が近い

○:もう降参...///

ヘロヘロと座り込む

七:ふふっ、今回もななの勝ちやな!

○:これは無理だって...

七:アイスご馳走様で〜す!笑

5期生はポカン顔

ア:仲良すぎ...ムゥ

奈:嫉妬...ムゥ

かつての同僚との再会に胸が高鳴る

○:今回講師?として来てるの?

七:そっ!しっかり教えてんで?

里:少しでも私達の技術を教えてあげて欲しいって

○:なるほどね

橋:お、ようやく対面だね

○:ななみんも言ってくれればいいのに

橋:言わない方が面白いじゃん?笑

こんな上司やだ

橋:ん?絞め落とされたいのかな?

理想の上司過ぎる

橋:気のせいか

○:ほぼ脅しやん... ボソッ

七:それにしてもほんま、大きなったな〜

万:はじめ気づかなかった笑

○:そんなに?

里:なんか大人になったね

○:そりゃ歳もとるからね笑

一:はーい!

沈黙した5期生の中から
ひとり大きく手を上げる

○:ん?美空どうした?

一:やっぱり○○さんって昔から人気だったんですか?

里万七:もちろん

○:揃えて言うな...笑

七:でもなぁ...

里:一時期はね

万:誰かさんの彼氏だったんだよ?笑

5期:えぇ!?

4期:えぇ!?

3期:えぇ!?

驚愕の事実に後輩たちの驚きが収まらない
...そんな驚く?

○:万理華それ以上は...

絢:そんなこともあったね笑

飛:今でも飛鳥ちゃん許してないからな!

○:んな事言ったって...

秋:モテモテだったからね笑

梅:相手って...

山:誰なの!?○○!

○:いやそれは...

さ:私の○○がぁ...

賀:誰かの彼氏だったなんて...

○:...

今日一酒場が騒がしくなる

和:七瀬さん、相手って誰なんですか?

七:ふふっ、相手はねぇ...

『私よ』

七:あぁ!ななが言いたかったのに!

菅:えぇ!?

345期生:奈々未さん!?

橋:びっくり?

弓:な、奈々未さんだったなんて...!

久:びっくりどころの話じゃないですよ!

○:...

橋:結果的にカップルの時期があったって感じね

与:訳って言うのは...


○:聞くな

○○からは聞いたことがない太く低く強い声が響く

...

里:...与田ちゃんあんまり詮索しないの笑

与:ご、ごめんなさい!

飛:あの時期はほんと奈々未幸せそうだったもんね

七:ほんま、ななが初彼女になりたかったぁ〜

橋:ごめんね笑

初彼女が奈々未と知り場が少し荒れたが
少し落ち着きを取り戻すが

○:飛鳥貰うね

そう言って強引に飛鳥のお酒を取る
飛鳥のグラスにはかなりの量のお酒が残っていた

飛:お、落ち着けって...!

一滴残らずイッキ

○:もっともっと!

1期、2期の卓のお酒に手をかける
手当り次第お酒を飲む
何かを振り払うかのように

七:ちょっと○○やめとき...💦

秋:そんなに飲んだら倒れちゃう...💦

○:もっとぉ、もっとだぁ!

かなりの量を体に入れ込む
かなりフラフラする

梅:○○ストップ!

山:ほんとに倒れちゃう!

3期の卓にまで手を出したところで

○:もっと、もっと...

フラッ ダキッ

○:Zzz…

橋:ばか...

奈々未がギリギリで抱き抱える

秋:まず飲める年齢でもないからね...

岡:あの、○○さんと奈々未さんの過去って...

全員が1期生を見つめる

橋:...これには○○の家庭事情も関わるの

秋:実は両親が離婚してるの

梅:えっ...

さ:離婚...

橋:表上はね

裏があることが確定しているリスポンスにハテナが浮かぶ

彩:裏があるんですか...?

橋:それは今野さんにも関わる話だからあまり詳しく言えないんだけどね

『○○は一時期鬱病になってたの』

万:会話してても心ここに在らずって感じで、ずっと無口で...

七:見てて辛かった...

和:そんな過去があったんですね...

里:そんな時に○○を支えたのがななみんだったの

今も相棒感の強いふたりの間柄
その頃から始まっていたものだった

飛:誰も救えなかった○○を唯一救ったのが奈々未で、病院の先生と話し合ってカップルとして支え合うのがいいって

山:○○...

美月の目には奈々未の腕の中で眠る○○がいた

橋:まぁそのおかげで今ピンピンしてるんだけどね笑

店:お客様、ラストオーダーの時間ですが...

秋:そろそろ帰ろっか

橋:うん、明日もレッスンだしね

七:ご馳走様でした!

みんな荷物をまとめ退出の準備をする

橋:みんなマイクロバス乗ってて

七:経費で落ちんで?

橋:いや、いいよここは

秋:いやさすがに...

橋:どうせ後で○○に請求するから笑

里:可哀想に笑

結局奈々未が会計を済ませバスに乗る

橋:よいしょ...

奈々未は○○をおんぶしてバスに乗り込む

橋:軽っ...ちゃんとご飯食べてるのかな...笑

七:腰痛持ちのななみんが言うねんから相当やんな笑

橋:みんな乗った?

『はい!』

橋:じゃあ運転手さん事務所までお願いします

マイクロバスは店を後にした


バスの中は意外と賑やかだった
あの雰囲気の後のため、少し心配していたが問題なさそう

橋:...

ほんとに無理ばっかりして...
あんなお酒一気に飲んだらそりゃそうなるよ

○:Zzz…

橋:ほんとに可愛い顔してるなぁ笑

里:ななみん○○大丈夫?

隣の席の里奈と万理華が心配そうに話しかける

橋:大丈夫、ぐっすりだよ

万:あんな○○初めて見たよ

橋:私は何回も見てるけどね笑

七:なぁ、ななみん

今度は前の席の七瀬がこちらを振り向く

七:ななみん隠し事してるやろ

橋:なんのこと?

七:○○の過去になにがあってん

橋:...

七:まいやんから聞いたんよ...

『○○この前入院した時に拒絶反応出たって...』

里:え?この前って日向坂ちゃんにいた時の?

万:なんの拒絶反応?

橋:...○○は絶対覚えてないんだけどまいやんと2人でお見舞いに行ったの


───────

橋:ごめんね急に

白:ぜーんぜん!

普段一人で来ているがたまたま休みだったため麻衣も一緒にお見舞いに来ていた

白:リハビリしてるの煽ってやろ!笑

「やめろぉ!」

橋:!?

廊下に響き渡る怒号

橋:○○の病室だ!

白:急ごう!

急いで病室に向かい、扉を乱雑に開ける

○:触るな...触るなぁ!

看:○○さん落ち着いてください!

○:来るな来るな...もう嫌だ...もう嫌なんだ!

病室内では暴れる○○を必死に抑える看護師さんと複数の医師がいた

橋:○○!

白:ななみん危ないよ!

奈々未はすぐに駆け寄る
暴れる○○の正面から抱きつき宥めるように背中を撫でる

橋:○○、私だよ、奈々未だよ

○:はぁ...はぁ...ななみん...

橋:大丈夫、私がついてる

○:ななみん...なな...み...

ガクッと力が抜け、体がダランとする

白:○○...ななみん...

橋:もう大丈夫

───────

橋:○○はただの鬱病と病名のない心の崩壊が同時に起きてたの

七:心の...崩壊...?

橋:そう、○○には”もう治ることのない”心の崩壊が起きたの

そういう奈々未の顔は重たく、暗い雰囲気を放っていた

里:ただ事じゃないことは確かだね

橋:今の○○の中には”2人”いるの

万:二重人格ってこと?

橋:それとはちょっと違うかな...笑

七:ほんなら!2人って!

橋:なーちゃん声大きい...!

七:大丈夫や、こんだけ賑やかやったら誰も聞こえへんって

バスは相も変わらず賑やかだった

橋:まいやんが言ってたのはもう1人の方の○○

七:荒れ狂う方?

橋:あの状態になると過度に感じる恐怖、不安からパニックになってしまうの

一般的な心が壊れている症状だった
他にも引きこもりや判断力の低下などの症状が出る

橋:しかもタチが悪いことに元の○○にはその記憶がないの

橋:つまり、○○が覚えてるのは自分が鬱で私と一緒に治そうとしていた記憶しかない

橋:本当は離婚とは別の原因で心の崩壊が起きていて、それがもう治らない。本人自体も知ることが不可能なの。だから拒絶反応が出てしまっていたの

七:っ...!

知らなかった一面に声が出ない
辛い時期があったのは知っているが想像以上であることに脳がほとんど働かなかった

里:そのほかの原因っていうのは...

橋:実は

○:うぅ...

撫でていた頭が少し動く

○:ななみん...

橋:おはよう、体調は大丈夫?

○:うん...

橋:それは良かった

かぼそい声にかなり無理していたことが分かる

○:ごめんねななみん...

橋:大丈夫、忘れたいのは○○だけじゃない

○:七瀬に...生駒ちゃんに万理華も...みんなごめんね...

七:ななはなんにも問題ないで?

万:今はただ○○が心配だよ

里:ゆっくり休みな

○:ありがと...

ギュ

力なく奈々未に抱きつき再び目を閉じる
若干体が震えている
その幼さが残る顔に手を添える奈々未

橋:どんな理由があっても私はこの子を守る

橋:たとえ、付き合っていなくても、世界を敵に回してもね

その目は力強く、意志の強さを物語っていた

七:もちろんななも

里:私達にとっては大事な弟みたいなもんだからね

万:みんなで守ろう

運:もうすぐ着きますよ〜

話しているうちにもう事務所の近くまで来ていた

橋:ありがとうございます!みんな降りる準備してよ〜

『はい!』


橋:本日はありがとうございました

運:こちらこそです!また運転手が必要な時は声掛けてくださいね!

事務所からバスが出ていく

橋:みんな解散だから気をつけて帰ってね

『お疲れ様でした!』

各々が帰路につくなか1人だけ残っていた

橋:ん?どした美月

山:あの...

モジモジとして何か言いたそうな様子

山:○○の事なんですけど...

橋:うん

山:○○の中の2人って...共存できないんですか...?

橋:(聞こえてたか...)

七瀬の予想と反し、あの状態でも美月は聞き取っていた

橋:聞いてたのね

山:すみません...どうしても気になってしまって...

橋:じゃあ最後のところが気になってるってことね

最後、それはもう1つの原因について

山:教えて貰えませんか...

奈々未は頭を抱えかなり悩み込む
数分後、答えが出たのかゆっくり顔を上げる

橋:聞く覚悟はある?

山:あります!

橋:これを聞いても○○を大切にするって約束できる?

山:できます!

奈々未は深くため息を吐き
前を向き直す

『○○は養子なの』

山:養子って...!

橋:今の家族は血の繋がりの無い家族なの

淡々と話す奈々未が怖くなるほど一言一言の重みが違った

山:そんなこと...

橋:本当よ、○○が初めにパニック症状が出た時...

─────

橋:落ち着いて!

○:離せ!離せぇ!

突如として病室で暴れ出す○○

今:橋本!取り押さえておけ!

私と今野さん2人がかりで押さえつけて
睡眠薬を投与してもらったの

○:Zzz...

橋:なんで急に...

医:恐らく何らかのパニック障害だと思われます

今:何らかのパニック障害?

今野さん自体ピンと来てないことに違和感を覚えた
大抵は原因があっての症状、生まれてからずっと見てきた今野さんが知らないわけがない

医:はい、断定は出来ませんが過去に強いストレスが掛かってしまいそれが後遺症になっている可能性が高いかと...

橋:今野さんは知らないんですか?

今:○○の過去か...

医:今野さん、もう潮時では?

一瞬医師が何を言っているのか理解できなかった

橋:潮時ってなんですか

今:橋本...お前にだけは言っておく

『○○は本当の息子ではないんだ』

今:○○は施設から引き取ったんだ

理解できなかった
理解に苦しんだ

橋:えっと...

いや、正しくは私が理解しようとしていなかった

橋:つまり○○との血縁関係は...

今:ない

──────

橋:本当の家族に何があったかは分からない

橋:ただ施設出身なのは本当よ

山:それがもう1人の○○がいる原因...

橋:仮説だけどね

山:...

聞いたことを後悔しているのか
何も言わずに美月はただ黙ってしまった

橋:このことは今野さんと私、そして美月しか知らない

山:...

橋:脅すわけじゃないけど、この話が広まるようなら”今度こそ”○○は自ら...

山:私は何があっても○○の味方です。それだけは確かです

二人の間を風が吹き抜けていく
どちらの間合いでもないフィールドはまだ無色だった

橋:まっ、明日からもしっかり仲良くしてあげてね

山:もちろんです!

橋:明日もレッスンだし、もう帰りな

山:はい!お疲れ様です!

ある意味スッキリしたのか颯爽と帰って行く
その足音は軽快で大きく聞こえた

橋:帰るか...○○も連れて帰ろ...

車の後部座席に○○を乗せ
奈々未も帰路についた


翌日何事も無かったかのような雰囲気でレッスンが始まる
○○にとってもそっちの方が嬉しかった
そして全ツスタート3日前

橋:はい、それぞれチケット渡すから席把握しといてよ

いよいよリハーサルのため北海道に行くことに
全ツはもう目の前

飛:奈々未〜

橋:ん?忘れ物?

飛:そんなわけ、飛行機○○の隣誰

恐らくこの全国ツアー名物になるであろう
飛行機の座席○○の横争奪戦が始まりそうだ

橋:適当に渡したから誰かは把握してないよ

○:静かな人がいいな

橋:それは無理だね

即刻否定され、未来がないことを告げられる

○:えぇ...

飛:喜べ○○、私が隣に座ってやる

山:おっとぉ!抜け駆けは許しませんよ飛鳥さん!

横からスライディングかのごとくつっこんでくる

飛:邪魔すんな山!

橋:あんたら...

○:あーあ...

飛・山:ひぃ!

橋:空港で騒ぐな!

そんな2人を横目にチケットを確認する

○:えっと...5B...真ん中だ

まぁさすがにこれだけの人数がいればどちらかが静かなメンバーになるはず
ちらっと腕時計を確認し、まだ時間があることを確認する

○:お菓子買ってこうかな...

空港内のショップに立ち寄る

○:んー、朝食べてないし...どうしよ

適当にお菓子と飲み物を選ぶ

○:ご飯は北海道着いてからでいいや

さ:○○〜

○:あれ?さくもこのお店いたんだね

さ:○○何買ったの?

○:お菓子と飲み物

さ:あ!さくも同じお菓子!

○:これ美味しいよね!

さ:そうそう!家で食べてたらすぐ無くなっちゃう!

買ったものを片手に飛行機に乗り込む

○:俺1番先に着いたか...

飛行機あるある、座席窓側の人より前に手前に座るのなんか気が引けるってやつ

○:どうか静かな人でありますように...

神様頼むで、ここは1発願い叶えてくれ


弓:○○さん!みて!人がゴ○クズに見える!

アイドルの言葉遣いじゃねぇのよ笑
あと、それビルとかの屋上で言うやつだから飛行機ではあんまり言わないのよ
まず、この高度で人見えんの?笑

○:そ、そうだね笑

反対側を見る

筒:ふぁ〜...ん?どうしたの?

反対側は反対側でゆったりし過ぎ
朝早いし、欠伸も分かる
にしてもゆるふわすぎる

○:あ、いや

ある意味カオスだ

弓:○○さんあやめんに見惚れてたんだ!

○:声でかいっつうの

筒:えぇ〜、言ってくれればいいのに〜笑

ニヤニヤしながら言わないで
それめちゃくちゃ可愛いから

弓:飛鳥さん!○○さん浮気してます!

浮気って...別に飛鳥の彼氏じゃない笑

飛:なに!?

橋:奈於〜静かにね〜

なんで奈於には優しいんだ...!

弓:はーい!


空の旅は2時間程度で終わりいよいよ北海道
まず先に今回の拠点となるホテルに荷物を持っていく

橋:今日はこのあとすぐリハーサルだからね、遅れないようにバスに乗るように

『はい!』

橋:よし、部屋に荷物置いておいで

全員速やかに置き、すぐに戻ってくる

○:早すぎでしょ笑

先にバスに乗っていたため、メンバーの早さに驚きを隠せない
脅威の準備時間10分

バスの運転手さんもびっくりの時間で
バスはホテルを後にする

会場に着くなりリハーサルが始める
セットはある程度完成しており、形はできていた

秋:これからリハーサルとライブ含め5日間よろしくお願いします!

『よろしくお願いします!』

毎年恒例、真夏の全国ツアーが始まった


さぁ〜て、次回のはじマネは?

はーい、山下美月でーす!

今回途中すっごい話重かったんですけども〜
お酒美味しかったっすね〜家帰ってからも梅と飲み直して...
あ、この話は絶対奈々未さんには内緒で
ともかく!○○との初めてのライブ始まるので気合い入りまくってます!
TMVP取るぞー!

次回!
待望の真夏の全国ツアースタート!
巡れ!全国の名物グルメ!
TMVPは誰の手に!?

の3本でお送りします!
多分次回私食べてるかサウナかライブなんで
注目して見てね〜笑

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