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私からの大好きは受け取ってくれない彼




「なんで○○ばっかり好き好き言うねん!保乃かて言いたい!」









遡ること数時間前…


ひ:なるほど…○○に禁止されてるんだ笑



保:ホンマにおかしいよな!なんで大好きな彼氏に向かって好きって言ったらあかんねん!



街のとあるカフェに綺麗な女性が2人
コーヒー2つに大きなサンドイッチが置かれている


ひ:でも最初の方は保乃ちゃんも言ってたんでしょ?


保:あたりまえやろ!やのに「今日から保乃は好きって言うの禁止ね」って始まってん!


ひ:はぁ…○○は変なところ頑固だからね笑


目の前の小さい女の子はひかるちゃん
ひぃちゃんは○○と幼馴染でウチらのキューピット


ひ:幸せなお悩みですこと笑


保:何とかしてやぁ〜ひぃちゃ〜ん


そもそも考えてもおかしい
普通なら好きって言われるの嬉しいはずなのに


ひ:というかなんで禁止なのかは聞いたことある?


保:…


ひ:聞いてないんかい笑


保:やって…それで別れるとか言い出されても嫌やろ…


ひ:大丈夫、とりあえず聞いてみな


保:うぅ…怖いて…


もちろん別れたくない
○○のことは大好きだし、ずっと一緒にいたい


ひ:絶対大丈夫!それでなんか言われたらまたひかのとこおいで?


保:んぅ…わかったぁ…





そうしてひぃちゃんとの女子会を終えて家に向かう
今日○○は全休だから家にいるはず


保:ただいま〜


○:あ、帰ってきた


そう言って玄関まで迎えに来てくれる
まるでご主人の帰りを待っていた犬みたい


○:おかえりっ


優しく抱きしめてくれる
でも今日こそは聞き出さなきゃひぃちゃんと作戦会議した意味が無い


保:愛しの保乃ちゃんが帰ってきたで〜笑 ナデナデ


○:寂しかった…


ホンマにこの子はずるい
そうやって素直に包み隠さず全部言ってくれるところがまた可愛い


保:…○○、ちょっとお話しよか


○:え…?うん…


そんな顔せんでよ
別に別れ話ちゃうって


○○の手を引いてリビングに向かう
勉強していたのか教科書やらパソコンが開かれている


○:話って…?


保:○○は保乃のこと好きやんな?



○:うんっ、大好き


微笑まんでくれ
ウチの心が持たん
今すぐにでも抱きしめたくなってまうやろ


保:保乃も○○のこと…


○:あ、ダメだよ好きって言ったら


やっぱりダメか…
そんなら作戦決行!


保:なんでダメなん?


○:え…いや…


保:一方的に伝えるんはずるない?ウチら付き合ってるわけやし


○:その…


やけに語尾を濁す
なんかやましい理由でもあるんかな


保:なんか言ってや


○:ごめん…


保:いやごめんとかやなくて…理由を教えて欲しいねん


あかん、なんかイライラしてきた…
別に怒りたい訳ではないけどなんでここまで頑なに言わんねん


保:なぁ


○:…


バンッ


あかん、机叩いてもうた


保:なぁ!


○:ビクッ




保:なんで○○だけ好き好き言うねん!保乃かて言いたい!





部屋に響き渡る声
目の前の○○も困り顔
というより今にも泣き出しそう


そんな顔されたら保乃が悪いみたいになるやん…
ウチかてこんなこと言いたないよ…


保:やましい事しとるんやろ


○:ち、違う!それは絶対に!


保:じゃあなんで言わせてくれへんねん


無意識に口が尖ってくる
ホンマに拗ねたろかな…


○:ゴニョゴニョ


保:ゴニョゴニョ言うとったら聞こえへん!言うんやったらハッキリしぃや!


今日こそは可愛い顔しても無駄やで?
絶対逃がさんから



○:保、保乃から好きって言われると…その…気絶しそうになるから…///



保:…へ?








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遡ること1週間前…


ひ:え〜…それで保乃ちゃんに禁止させてるんだ笑


○:だって保乃可愛いから…気絶しそうになっちゃうんだもん///


ひ:はぁ…惚気話なら他所でして欲しいところだけどね笑


とあるパンケーキ屋さんのボックス席
小さい女の子の前には山盛りのパンケーキがある


○:でもこのままじゃだめなのは分かってる


ひ:流石に保乃ちゃんも堪忍袋の緒があるからね


○:でもぉ〜


ひ:クヨクヨしないの男の子なのに!


ナイフで丁寧にパンケーキを切って小さな口に運ぶ
口の端についたクリームも可愛い


○:ん、クリーム付いてるよ フキフキ


ひ:ん…ありがと…モグモグ


ひ:それでだけど…ゴクンッ…大好きな人に大好きって言えないの結構辛いんだよ?


そんなこと分かってる
そしてこの状態が続けば関係も危うくなることを


○:はぁ…どうしよう…


ひ:私で練習する?


○:何言ってんのさ笑


ひ:むっ…ひかちゃんだって結構可愛いって言われるんだからねっ


次第に膨らんでいく頬
ここだけの話ひかるは拗ねるとだいぶ引き摺る


なので大人しく言うことを聞くことに


○:じゃあお願いします


ひ:じゃあ行くよ…?


改まって背筋を伸ばす
なんか緊張する…




ひ:○○、昔からずっと大好き




○:っ…ぐっ…


本気の目をしていた気がする
何度も見たはずのひかるの顔が凄く可愛く見えてくる
…まぁ元々可愛いんですけども


ひ:どう?


○:っ…まぁ…保乃程は威力なかったかな


嘘です
全然破壊力抜群です


ひ:まぁ保乃ちゃんには勝てないか〜笑 モグモグ


危ない危ない…
こんなの普通の男ならイチコロでしょ…


ひ:まぁ、最初はキツイかもしれないけど慣れるからちゃんとお互いに好きって言い合いな?


○:頑張ります…





-----------





○:っていうわけで…


保:えっと…ん?


何回理解しようとしてもわからん
まずなんでひぃちゃんとパンケーキ行ってるん?


○:ごめんなさいっ!


保:いや、あのな…それならそれで言うてくれたら良かったんに…


○:いや情けない彼氏だと幻滅されるから…


保:それは情けないとは言わへんやろ


○:すいません…


なんか心配して損した気分
…でも理由聞けてよかったかも


保:でも良かった…グスンッ


あれ、泣いてる?
ダメダメ、○○を困らせちゃう
あかんあかん…泣いたらあかん…


保:なんかな…?○○のこと考えるだけで…保乃な…?胸が苦しくなるくらい想いが溢れそうになるんよ…


保:自分でも分からんくらいに…○○のことが好きやねん…


保:この想いに蓋なんてできひん…


保:こんなにも大好きな人に好きって伝えられへんなんて…辛すぎるよ…


保:好き…大好き…○○のことが好きでたまらんねん…


頬を伝っていった涙
それは鏡のように映し出された


○:ごめんね…っ…そんな思いさせてたなんて…グスンッ


保:もうっ…なんで○○まで泣いてんねんっ…笑 グスンッ


○:自分でもっ…いい加減辞めないと保乃が辛くなるってわかってたけど…


○:言い出せなくてっ…グスンッ


ホンマにこの子は素直やな
でもそんなところがウチは大好きやねん


普通やったら泣かへんやろ笑
抱きしめてくれてもえかったんやで?


保:○○が泣いたらどっちが辛かったかわからんやろ笑 ギュッ


○:うぅ…ごめん…


も〜可愛い子犬みたいや
そんな潤んだ目で見つめられたら保乃が拾ってまうで?
あ、もう保乃のもんやった


保:理由も聞けたし!今日から好き解禁でどや!


○:うんっ!少しずつ慣れていかないと…


保:うんうん!○○は偉いな〜 ナデナデ


○:むぅ…子供扱いしないでよ…///


あ”ぁ”〜…あっかん…か”わぃ”ぃ”…
喰ってまいそうや
そんな潤んだ目で見たっていじめたくなるだけやで?

めちゃくちゃにしてやりたい…この笑顔が歪むまで…
○○の全てを保乃のモノにせな気が済まへん


保:… ナデナデ


○:へへ…///


保:そういえば…


ガシッ


○:いてて…!


保:なんで保乃がおるのにひぃちゃんとパンケーキ行ってるん?


○:ひかるは相談相手で…痛い痛い!


保:浮気する彼氏にはお仕置せなあかんよな〜♡


○:ごめんなさい…何とか解決したくてっ…ウルウル


そんな瞳で見つめても逆効果やで?
ふっふっふ…よしっ!これで○○を襲える理由ができた!
骨抜きにしたるからな〜っ♡


保:今日は寝かせへんよ〜?♡


○:ゴクリッ…///


保:ほら、ベッド行くで♡



好きって言ったらあかんかったからな〜
毎回言われへんかった分とことん言ってやらな!
それで気絶しても…ぐへへ…♡











ひ:ブルブル


ひ:なんか悪寒が…


ひ:そういえば保乃ちゃんと○○仲良くやってるのかな〜…


まぁ好きな人に頼られたら助けるしかないよね
あの練習、本気にしてくれてたりしないかな〜…


ピコンッ


ひ:ほよ?保乃ちゃんからだ


『保:無事に許可出ました!ありがとうひぃちゃん!』


ひ:お、これでようやく仲良く…


ピコンッ


『保乃ちゃんが写真を送信しました』


『保:ちゃんと気絶させたった♡』



ひ:なっ…///


絶対事後じゃんこの写真…///
○○も見る限り裸だしベッドの上だし…///
保乃ちゃんもちょっと火照ってる…///


ひ:というか!なんで好きな人の事後見ないといけないのさ!


私森田、保乃ちゃんをお仕置することに決めました









○:保乃早く!遅刻しちゃう!


保:しかもあの教授遅刻したらめっちゃ怒るやんな!急がな!


○:課題やった?


保:…おわったぁぁぁ!やってへん!


○:何やってんのさ!


ひ:朝から元気だね〜笑


○:あ!ひかるも時間やばいよ!


ひ:今日その授業先生の都合で休講だよ?





保:耐えたぁ…


○:じゃあ今日午後からじゃん


ひ:それはそうと…



ギロッ


保:ひっ…


ひ:あの写真はどういう意図で送ったのかな〜?


保:あかん…○○助けてっ


○:写真?何送ったの?笑


ひ:○○ちょっと保乃ちゃん借りてくね?すぐ終わらせるから


保:いやや〜!


保乃の悲鳴は暫くやまなかった
ひかるどんな拷問してるの…怖すぎ…


保:うぅ…○○〜…グスンッ


○:泣いちゃってるよ笑


ひ:もうやらないよね?


保:グスンッ…もうしません…


○:ひかる怒りすぎもやめてよ?仲良しの2人見てるのが好きなんだから ナデナデ


保:ん…もっと撫でて…/// ウルウル


ひ:(ぐぬぬ…羨ましい…)


保:○○大好き…///


○:僕も大好きだよ


あれ?なんか自然に受け答えできた


ひ:むぅ〜!保乃ちゃんもう1回おいで!!


保:嫌や!○○助けてっ!ギュゥ


○:苦しい苦しい…!首絞まってるからっ…うぐっ…


色々あったけど…
可愛い彼女からの『好き』にもちょっぴり慣れてきたのか



end.

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