美人姉妹が取り合うのはまさかの俺!?
和:…
瑛:…
確実に今の状況を一言で表せます
”修羅場”
この言葉に限ります
○:えっと…離してくれないと教室入れないです
和:お姉ちゃんが離しなよ
瑛:和が離せばいいんじゃない?
腕に絡みつくそれぞれの腕が反対方向に引かれる
○:まず瑛紗さん学年違うじゃないですか
瑛:…今日から同じ学年になる
んな無茶な
すると横で勝ち誇った表情の和
和:ほら、○○くんも困ってるから早く自分の階戻りなよ
○:和さんもクラス違うじゃん
和:…先生に頼んでクラス替えてもらった
あなたも誤魔化すの下手すぎる
すると逆に瑛紗の表情に余裕が見える
瑛:和こそ○○くんの迷惑だよ
和:何が?別に思ってないよね?○○くん
○:え…そんな急に聞かれても…
3人の横を通っていく生徒たちは口々に言う
「あれが有名な池田姉妹か」と
この2人は学校どころがこの街1番の美人姉妹として有名だった
○:とりあえず教室入りたいです
その2人が取り合うのがこの僕
男子の視線がグサグサ刺さるなんて日常茶飯事
和:むぅ…仕方ないか
瑛:じゃあまたお昼遊びに来るね!
颯爽と去っていく
○:やっと帰ってくれた…っ!
和:お姉ちゃんが来ても話したらだめだよ?私が迎えに来るまで座ってて
いきなり視界に入り込む和
ドアップでもエグい可愛さを保つ無敵のお顔
○:あ、うん…
和:ふふっ、約束ね
イタズラな笑顔を置いて自分の教室に戻っていく
このやり取りが毎朝と来たもんだ
○:体持たないって…
教室に入っても刺さるのは視線だけ
どうやって2人から逃げようかと考えているうちに時間は過ぎていった
和:…
お姉ちゃんだけには譲らない
○○くんは私の恩人だから
あれはとある日の放課後
お姉ちゃんを待っていた私は1人、空き教室で待っていた
『なぁ、いいだろ?』
和:やめてください
そんな教室に強面の先輩が私目当てにやってくる
私が年下なことをいいことにデートを強要してくる先輩
断ればいいものの、見た目的に断ったら何をされるか分からなかった
和:(誰か助けて…)
『1回ぐらいいいだろ?笑』
『悪いようにはしないからよ』
詰め寄られてもう触られる瞬間だった
「あの…この教室使いたいんですけど…」
和:え…?
やってきたのは○○くんだった
『誰だお前』
○:誰だって…生徒ですよ
『そういう事じゃねえよ!』
苛立ったのか先輩は○○くんに標的を移した
私は未だに怖さで足が動かなかった
和:(逃げなきゃ…)
○:というか今から勉強するので退けてくれます?
『お前がどけろよ』
○:はぁ…もういいです僕ここで勉強するので好きにしてください
そうして○○くんは本当に机に座って勉強を始めた
萎えてしまった先輩は○○くんの隣の机を蹴ってどこかへ行ってしまった
○:直してけよな…
和:あ、あの!
○:ん?えっ!池田姉妹の妹の方だ!
和:言い方っ!
○:あ、ごめんごめん…
思わずツッコんでしまった
しかし○○くんの出す雰囲気がこの時から好きになってしまった
和:助けてくれてありがと…あなたがいて良かった
○:助ける?
私は一連の流れを話した
○:それ僕関係ないよ?
和:ううん!あなたは私の恩人!良ければ…連絡先交換したい!
○:えぇ…
渋々だが○○くんは交換してくれた
この時からだ、彼に会うだけでココロが弾むのは
和:○○!○○くんね!
○:池田さんが名前呼んでくれた…
和:むっ、池田さん嫌だ
○:へ?
和:和、私の名前和だから名前呼びで
○:え…いいの?
和:いいから!ほら、呼んでみて?
○:な、和さん…
ここだけは惜しかったポイント
ここで呼び捨てだったら本当に恋に落ちてた
というか今も落ちているけど…
和:さんいらない!
○:えぇ…そんな急には無理だよ
「和〜!帰るよ〜!」
そんな時廊下からお姉ちゃんの声がした
和:今行く〜!○○くん後で連絡するから返信してね!
○:う、うん…
これが私たちの出会い
こんなの誰でも惚れちゃうよね?
瑛:早くお昼にならないかな〜…
込み上げる笑みが隠せない
○○くんがいるだけでこんなにも世界が楽しいなんて
初めは和のお友達としてしか認識していなかった
和:…!…ははっ…えぇ〜…
隣の部屋から聞こえる楽しそうな話し声
かなり声も大きいので思い切って聞いてみることにした
コンコンッ
瑛:和〜
和:へっ!お姉ちゃん!?///
顔を真っ赤にして振り返る和
瑛:どうしたのそんな顔赤くして笑
和:ちょっ…出てって!///
いつもなら「お姉ちゃんどうしたの?」が第一声なのに今日は追い出されかけている
瑛:(怪しい…)和誰とお話してるの?
和:ち、違うから!///
「和さん?誰かいるの?」
まさかの男の人の声
瑛:もしかして彼氏!?
和:っ…///
顔を押えながらゆっくり膝から崩れていく和
この反応は当たりだと思った
瑛:彼氏くん?
「あ、いや彼氏とかじゃなくて…」
瑛:ん?彼氏じゃないの?
和:お姉ちゃんほんとに…///
よくよく話を聞くと最近仲良くなったらしい○○くんだった
私は彼の優しい声に少し胸がときめいてしまった
瑛:あ!この前和迎えに行った時にいた子?
和:うん、名前は○○くん
瑛:あ〜!○○くんこの前はありがとね!
和からも助けてもらった話は聞いていた
チラッとしか見ていないが、和が惚れるだけはあった
○:全然です!お姉さんはお名前なんて言うんですか?
瑛:私は池田瑛紗、いつも和がお世話になってます
○:いえいえ…こちらこそ和さんには世話になってばっかりで…
和:ねぇその彼氏と彼女のお母さんの会話みたいなのやめて!///
この日初めて○○くんと話したのにどこか初めてではない気がした
この時から私は○○くんに振り向いてもらいたくて仕方なくなったんだ
瑛:和
和:どうしたの?
瑛:私、○○くんに振り向いて貰えるように頑張る
和:は…はぁ!?
瑛:ふふっ、勝負だよ
和:ぐっ…私が先に○○くん好きになったのに…
キーンコーンカーンコーン
○:さて…どうしようかな…
迷っていると既に瑛紗がこちらに向かっていた
瑛:○○くん、ちょっと…
やけに落ち着いている様子
朝との様子の違いに少し心配になる
○:どうしたんですか?
瑛:お昼は和に譲る、だから一緒に帰らない?
その作戦で来たか
○:僕はいいですけど…和さんがなんて言うか
瑛:大丈夫!お昼は和に占領されて笑
その作戦今すぐ中止にしましょう
○:え…
瑛:じゃあそういうことだから!じゃあね!
どうやら作戦は強行突破されるようだ
廊下に取り残されていると隣のクラスから和が来る
和:○○くん!
○:和さん…
和:もう…約束って言ったのに教室見てもいないから…
○:ごめんごめん…ちょっとね…
和:ほら、行こ!
手を握って走り出す
お弁当を持って向かった先は例の空き教室
○:ここ好きだね…笑
和:だって初めて○○くんと会った場所だもんっ!
机をくっつけてお弁当を広げる
しっかりいただきますをして、箸を付ける
和:あ、待って
急に腕を掴まれる
和:私の作った卵焼き食べて欲しいな…
上目遣いでそんなこと頼まれたら断れるわけない
相当自信作なのだろう
○:いいの?
和:うんっ!はい、あ〜ん…
まさかのあ〜ん
校内男子が夢に見る和さんからのあ〜ん
○:…
和:ん?卵好きじゃなかった…?
これ程頭を撫でて「そんなことないよ!」と言いたくなる顔は見た事ない
○:ううん、いただきます
和:はい、あ〜ん…
○:パクッ…モグモグ…
和:どうかな…?
○:うん!めちゃめちゃ美味しい!和さん凄い!
和:良かった…今日早起きして作ったの!
可愛くガッツポーズをして喜ぶ
相当不安だったらしい
和:○○くんに食べて欲しくてさ
○:和さん…
和:…な〜んて、ちょっと早起きしたから作ってみたの!笑
○:ありがとね、すごい美味しかった
和:嬉しい…!また作ってきてあげるね!
そこからも楽しくお弁当を食べ進め、食べ終わってもしばらく話に花を咲かせた
そして午後の授業が始まる予鈴がなる
○:そろそろ行こっか
和:…
キュッと力なく制服の袖を握られる
○:和さん?遅れちゃうよ?
和:…今日なんでお姉ちゃんいなかったの?
いつもは争いの末、結局3人で食べるお昼ご飯
和も不思議だったようだ
和:まさか…
○:(バレたか…)
和:お姉ちゃん諦めたから私一人のものってこと?
違う、そうじゃないんだ
○:え、いやちが…
和:とうとう私の彼氏になってくれるんだね!○○くん大好きっ!
抱きつかれて無理に離せない
勘違いをとりあえず正そうとしていると2回目のチャイム
○:ちょっ…!和さん授業!
和:大好きだよ〜○○くん!
何とか和に教室前で離れてもらい、授業に参加した○○
遅れてきた○○を見てまたこいつ…の視線が止まらない
○:はぁ…今日も疲れた…
美人姉妹だけでなくクラスの男子からも無言の圧をかけられ、もうクタクタ
瑛:○○くんっ!
チラホラ生徒たちが帰路に着く中で瑛紗が迎えに来る
瑛:帰ろ?
○:はい、今準備しますね…
教室を出た瞬間から手を繋ぎ始める瑛紗
○○は私のものだと言わんばかりに見せつけている
○:流石に学校はまずいんじゃ…
瑛:だめ、○○くんは私のってことをみんなに教えてあげないと
結局手を離すことなく校門まで来た
瑛:にしても疲れたね…
○:そうですね笑
瑛:私が学校来る理由なんて○○くんしかないよ…笑
自然とこんなことを言ってくるから本当にずるい
○:ちゃんと勉強しないとダメですよ?
瑛:いつもテスト勉強教えてるの誰かな?
○:すいません…冗談です…
瑛紗は校内1位の頭脳を持っている
全国でも偏差値が上位に食い込むこの学校の1番ともなればとてつもない頭脳だ
瑛:えへへ…冗談だよ〜笑
○:びっくりした…瑛紗さんたまに怖いから…
瑛:え?私はただ○○くんと一緒にいたいだけだよ?
一瞬目のハイライトが消えた気がしたのは気のせいだろう
瑛:それで…○○くんって好きな人いるの?
○:…
正直この2人に求められているのは嬉しいが、自分自身に好きな人がいるかと言われるとスっと答えられない
瑛:いないなら…私立候補していい?
瑛:私元々結構暗い性格だったの
瑛:でも○○くんと出会って、話すようになってからは世界が変わったように毎日が楽しくて…!
瑛:私を変えてくれたのが○○くん…あなたなの
○:瑛紗さん…
やけに真面目な顔で話す瑛紗
背筋が自然と伸びてしまう
瑛:私、本気で○○くんが好き
○:…
瑛:答えは今じゃなくてもいいよ
瑛:でもいつか答え、ほしいな
○:ごめんなさい…
瑛:あ〜!ごめんごめん!謝って欲しい訳じゃなくて!
瑛紗がアワアワとしていると後ろから猛スピードで接近する人物がいた
和:独り占めするなぁ〜!
瑛:げっ…和…!
追いかけていたのは和だった
友達から○○が瑛紗と帰ったのを聞いたらしい
和:もう!お姉ちゃん諦めたんじゃないの!
瑛:諦める?なんの話し?
和:お昼私が独り占めしてたよ?○○くんから手を引いたんでしょ?
瑛:まっさか〜!そういう和こそここに来るまで○○くんが居ないこと気づかなかったの?
和:ぐっ…
瑛:私だったら○○くんがどこにいるかなんてすぐわかるよ?
それは話が変わってくるよ瑛紗さん
○:…ソロソロ…
ガシッ
和:まさか帰るなんて
瑛:言わないよね?
両肩を捕まれ逃げられない
○:ご、ご一緒します…
未来の自分のために無条件で白旗を上げた
和:今度こそ私のものってお姉ちゃんに見せつけるんだから!
瑛:できるならやってみたら?笑
○:誰か助けて…
どうやら美人姉妹から解放されるのはまだ先の話らしい
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