私の考えるVR恋愛と距離感について(VRCで感じたこと④)
皆さんこんにちは。じむの朔です。
普段はいろいろ活動していますが、何者でもない自分のために、思っていることを書き残そうと、たまにこうした書き物をしています。
自分のためなので、明日にはもう違うことを言っているかもしれません。
読みにくいところ多々あれど、大目に見ていただきたいです。
昨年、「私がお砂糖できない理由」というnoteを書き、多くの方から共感の声をいただきました。ありがとうございます。
今回はVR恋愛について気づいたことを少しだけ書いてみたいと思います。
重ね重ねになりますが、この記事はあくまで個人的な意見を述べただけに過ぎないし、何なら私はお砂糖やパートナーがいた経験もないので、未経験者の妄言と掃き捨てていただければ幸いです。
むしろ「実際にはこんな感じだよ!」とうお話があればぜひコメントください。勉強させていただきたいです。
VR恋愛のコツは「距離感」?
まずはこちらの記事をご覧ください。
https://vr-lifemagazine.com/vr-partner/#i-5
これはVR恋愛についての匿名アンケートの結果です。
注目したのは「パートナーと仲良くするコツは?」に対する回答。
一見、恋人に毎日会えることが不都合をもたらすようには感じられないのですが、実際にはこのように感じている人が多いとのこと。
なぜVR恋愛は距離感が大切と言われるのか、それは「現実の恋愛」とのズレがもたらしているものなのではないかと考えました。
「現実の恋愛」には多くのカベが存在する
まずは現実の恋愛を考えてみます。
恋愛もコミュニケーション、人間関係の一部です。
人間関係に費やせる時間や気力などのリソースは有限で、平時は家族友人仕事などに分配しています。
恋愛関係においては、なるべくそのリソースを恋人に費やしたい気持ちが働きますが、リソースは有限で、さらには多くのカベが存在します。
もう少し具体的にすると、例えば付き合いだしたくらいの時期に「相手に直接的に想いを伝えたい」と思っても、以下ようなのカベが出てきます。
ハード面のカベ:仕事の時間、家事の時間、体力、経済的リソース
住まいの距離、移動手段、社会情勢(今なら感染症)など
ソフト面のカベ:家族や友人の視線、世間体、相手の短所
自分の容姿、話し方や声、自信や肯定感など
まるでロミオとジュリエットのごとくカベを並べました。
しかしこれは悲劇ではなく、むしろリソースのかけすぎで息切れしたり、逆に受けすぎてキャパオーバーになることを防ぐペースメーカーとしての働きを持っていると考えています。
時間をかけながら、よい距離感を探り、どちらかの気持ちが先行しすぎないように足並みをそろえ、ゆっくりと関係を構築することができます。
また、恋人にかけられなかったリソースを自分や他の人間関係に向け、自分磨きや心の整理、健康管理、精神衛生の向上、家族や友人への相談、経済的リソースの拡充などをすることができ、お互いを「よき理解者」とするための準備をすることができます。
私はこれを「恋愛のテンポ」と名付けています。
VR恋愛の気軽さ
さて、ではVRはいかがでしょうか。
先ほど挙げたカベのうち、いくつかの項目からある程度解放されています。
例えば、ハードのカベなら、会うための移動にかかるコストがほぼありません。アプリを起動するだけです。お金も時間もかかりません。とにかく気軽に会いに行けます。ソフトのカベなら、自分の容姿も声も好きなようにでき、ある程度のコンプレックスから解放されます。そしてこれは相手にも同様です。実際の性別すらもしばしば置いてきぼりです。
満点の星空の下、素敵なBGMと快適な空調、容姿はいつも通り可愛く、誰にも邪魔されない。疲れたら窓に雨打つ埃一つないホテルで一緒に眠る。
これがその時の思い付きで、いつでも、すぐに、毎日できるのです。
つまり、相手に対する自分の気持ちを抑えるカベは少なく、むしろ拍車をかけるような素敵な環境にあふれているのです。VR環境では、環境要因によって「恋愛のテンポ」は生まれにくいと言えるかもしれません。故に、自分の中の気持ちがどんどん膨れ上がり、ごく短期間で歯止めが利かなくなるまでになるのもなんとなく想像できます。
しばしば「VR恋愛と依存性」が話題に上がる背景には、こういった要因があるのかな、と考えています。
意図的にVR恋愛にテンポを作る
そこでVR恋愛のコツとして取り上げられたのが「距離をとる」ということでした。ここには「過度に会おうとしない」、「相手の気持ちとのバランスを考える」といった意味があるようです。
これは、「恋愛のテンポ」を意図的に作り出し、なるべく現実での恋愛感覚を適用できるようにする効果があるのではないかと考えています。(身もふたもない話ですが、そもそも現実での恋愛感覚が成熟していないと、VRでもうまくいかないということかもしれません……)
特に、VR恋愛は「関係をリアルに持ち込むかどうか」「リアルの彼氏彼女をどうとらえるか」「ほかのフレンドとの関りをどう考えるか」など、その関係の着地点についての認識のすり合わせが一つのポイントとなっていると思います。
例えば私はVR恋愛をするなら「友人、親友以上の特別なフレンド。恋人に近いが、メタバース内で完結する疑似恋愛の関係」でありたいと考えています。VRCをきっかけにリアルで何回か友人として会い、そこから始まる恋愛はあるかも、と思っていますが、基本的にVR恋愛をリアルには持ち出したくないと考えています。
そしてこのあたりの感覚は人によってさまざまでしょう。この恋愛感覚のズレを認識し、着地点を見定める機会を逸してしまうと、悲劇的な展開になりかねません。
相手の恋愛感覚はどの程度のものなのか、どれくらいのテンションの関係でいたいのか、着地点はどこか。低空飛行か衛星軌道か太陽系を飛び出しちゃうか。距離をとって「恋愛のテンポ」を作り、お互いの気持ちを探りながら関係の醸成を図ることが、VR恋愛のコツなのではないでしょうか。
追記:お互いの場所がわかっちゃう件
お砂糖経験のあるフレンドに話を伺ったところ、VRCの「お互いの居場所がわかる」仕様にも影響しているとコメントをいただきました。
分かりやすく例を出すと、「なんで私を差し置いて他のフレンドと遊んでるのよ!」となりやすいのだとか。ここまでの反応でなくても、相手がプライベートで自分より優先しているものがあるという事実が否応なく飛び込んでくるため、「寂しい」という気持ちが生まれやすくなっていると思います。
ここが結構難しいところかもしれません。実際はなんでもかんでも一緒にいるのは無理だろうし、誰でも頭では理解していると思います。頭ではわかっていてもなんとなくモヤモヤする、みたいなどうにもならない部分なんでしょう。
予め会う頻度を打ち合わせておけば、「会わない」と決めた日は他のフレンドと遊んでいるのを見てしまっても、少し心穏やかでいられるのかな、と思いました。
と、まあいろいろ書きましたが、やはり一回当事者になってみないとわからない部分が多いことも理解しています。今のところの考えはまとめましたが、いろいろ経験したのちにはまた考えが変わっていることでしょう。
VRに流れる時間はべらぼうに早いです。きっとこれからVR文化の研究も進み、いろんな論説が出て、新しい恋愛の形もどんどん出てくると思います。
それもまた、すごく楽しみなのです。
仮の恋 ひねもすのたり のたりかな