〈自然に〉と〈自然と〉はどっちでもいい?
〈自然に〉と〈自然と〉の使い分けもかなり厄介だ。辞書を引いても要領を得ない。じつは学者の間でも明確な答えは見つかっていないと邪推する。
「自然に生えてくる」は「自然と生えてくる」でもいいし、「自然に理解できる」は「自然と理解できる」でもいい気がする。実際、どちらも誤りではないのだろう。どちらを書いても、少なくともふつうの読者が違和感をおぼえることはなさそうだ。
「でも、それでは困るんだろう?」とキミは言いたくなったはずだ。ご明察。どちらでもいいからこそ、自分なりにどちらかに決めたい。そこで、次のように考えてみた。
複雑なことをゴチャゴチャ決めても用をなさないので、なるべく単純にいこう。〈自然に〉は主体的な動作、〈自然と〉は受動的な状態。そんなふうに使い分ける。
「生えてくる」は「主体的」と見なして「自然に生えてくる」。「理解できる」は「受動的」と考えて「自然と理解できる」とする。もちろん、人によっては逆に書くかもしれないし、誤りでもないのだが、ボクは自分の判断基準に従う。強引な理屈かもしれないけれど、じつは正鵠を射てもいるのではないかと思っている。
*ライターが文章を書くときに悩んでしまうコトバを紹介しています。読み手にとってはどうでもいいことかもしれない。だからこそプロとしてはこだわりたい。絶対的な正解はなく、個人の言語感覚も千差万別だけど、よろしければお付き合いください。