〈おじさん〉が〈おやじ〉なら、〈おばさん〉は?
〈おじさん〉をくだけた表現にすると〈おやじ〉。では、〈おばさん〉は? 〈おやじ〉に相当するコトバは存在しないことに気がつく。
「〈おふくろ〉があるじゃないか」とキミは言うだろうが、残念ながら自分の親にしか使えない。〈おやじ〉は「飲み屋のおやじ」のように赤の他人でもいいのだ。
「飲み屋のおかみ」がキミの頭に浮かんだろうけど、〈おかみ〉は〈おやじ〉ほど広く用いることはできない。「おやじギャグ」とは言うが「おかみギャグ」は聞いたことがない。なぜ〈おやじ〉の女性版がないのか?
ボクはこんなふうに邪推している。この社会では、中年男性を〈おやじ〉と親しみをこめて呼ぶことはできるが、中年女性に対しておなじくらい親しく接することは許されていない。だから、中年女性をくだけて表現するコトバが存在していない。誤解を恐れずにいえば、一種の“性差別”なのだろう。
ただ、今後はもっとジェンダーレスが進んで、〈おふくろ〉が他人にも使われるようになったり、まったく別のコトバが発明されたりするかもしれない。中年女性をいまより親しみをこめて呼ぶ時代がやってきてもおかしくないわけだ。
巷で日常的に使われていて誤りというわけではない。でも、ボクがちょっと気になるコトバを挙げてみた。コトバ狩りをしたいんじゃない。コトバの不思議さや奥深さに迫りたいだけだ。キミも肩の力を抜いて読んでほしい。