追加を表わす助詞〈も〉をどこに付けるのが正解?
両者をどう区別するか、あなたにはわかるだろうか?
字面では追加を表わす助詞「も」が前に付くか後ろに付くかのちがいがある。例によって両者で意味はおなじように思え、ボクたち書き手を困らせる。両者をどう書き分けるか。ここでも謎解きをしてみよう。
〈旅行でも北海道に行った〉は、「仕事で北海道に行った」といった状況があり、「旅行でも(行った)」と〈理由〉を強調する表現といえる。
一方、〈旅行で北海道にも行った〉は、「旅行で沖縄に行った」などの前提があり、「北海道にも(行った)」と〈場所〉に着目する言い回しになる。
「謎解き」なんて大袈裟なものではない、とあなたは感じたかもしれない。
問題は、先の例のように〈理由〉や〈場所〉を強調する必要がない場合だ。
たとえば「昨年の夏は仕事で本州を駆けずりまわり」のあとに、いずれかの文をつづけるとしたら? どちらに「も」を付けてもよさそうに思えないか?
ボクはそんなとき、「情報はなるべく早く出す」ことにしている。つまり、「も」を先に付けて〈旅行でも北海道に行った〉とするのだ。
*ライターが文章を書くときに悩んでしまうコトバを紹介しています。読み手にとってはどうでもいいことかもしれない。だからこそプロとしてはこだわりたい。絶対的な正解はなく、個人の言語感覚も千差万別だけど、よろしければお付き合いください。