〈憶えてくれていた〉と〈憶えていてくれた〉の違いがわかりますか?
この2つをどう書き分ければいいか。あなたを含めてほとんどの人がまったく気にしない問題だろう。でも、ボクは〈書く〉ことが仕事。なんとか両者を区別したい。
〈憶えてくれていた〉は、「憶える」と「~くれる」(与える)と「~いる」(動作の進行)で組みたてられている。「(忘れられてしまいそうなほど些細な事柄にもかかわらず)憶えてくれている」と、相手の「憶える」行動そのものに焦点をあてている。
一方、〈憶えていてくれた〉は、「憶える」と「~いる」と「~くれる」の順で構成されている。「(かなり昔の出来事だったのに)憶えていてくれる」と、時間経過に重きを置く表現といえるだろう。
ところで、これらのコトバはアニメのセリフで、実際は
と発言している。書きコトバに直せば
となり、「いる」がひとつ多い。「憶えてくれてたんだ」もしくは「憶えててくれたんだ」のほうが自然だろう。
もっとも、こんなことに着目するのは、世界広しといえどもボクぐらいでしょうけど。
*ライターが文章を書くときに悩んでしまうコトバを紹介しています。読み手にとってはどうでもいいことかもしれない。だからこそプロとしてはこだわりたい。絶対的な正解はなく、個人の言語感覚も千差万別だけど、よろしければお付き合いください。