『Little Cheese Works』こいつと一緒なら、どこまでもいける【受賞者ドキュメンタリー第5弾】後編
ネズミたちが力を合わせ、猫に見つからないようにチーズを運んでいく。「Little Cheese Works」はスリル溢れるマルチプレイゲームだ。フィールドには様々なギミックが施されており、プレイヤーどうしが相談しながら進めていくことが大事。しかし、猫はネズミが立てる物音だけでなく、ボイスチャットしている声にも反応してしまうのだ。
プレイヤーどうしの協力といじり合いを中心とした本作は、第1回GYAAR Studioインディーゲームコンテストでプラチナ賞を受賞。東京ゲームショウ2023への出展でも、初対面の人が即席チームを組み、盛り上がりつつ遊ぶなど、好評を博している。
本作を手がけるのはBUBBLE GUMの面々。ゲーム開発会社の同僚だった古川 貴大氏と畑中 朗人氏が独立、本コンテストに賭けて資金難の中で作品を完成させた。受賞者に開放されている制作スタジオGYAAR Studio Baseの近くに引っ越し、常駐して開発を続ける両氏に、これまでとこれからについて聞いた。
※こちらの記事は『後編』になります。
▼前編はこちら
■スマートフォンゲームという収入源を絶ち、コンテストに懸けた
――「Little Cheese Works」はネズミたちが協力し、猫にばれないようチーズを運んでいくというユニークなゲームシステムですが、目指すところは?
🔸古川:お友達やゲーム実況者どうしが遊んだ際にこうなると面白いよね、というビジョンからゲームの仕様を決めていきました。今の僕は世界観の設定を頑張り、朗人はゲームをいかに面白くするかにこだわっている状態です。例えば、ネズミたちはブラック企業で働かされていることにし、それなら社長はちょっと太っている方がいいだろうと。太っていないからといってユーザーさんから文句が出るような部分ではないんですが、予想をほんの少しずつ裏切り続けるような見た目になっていれば、全編を通してプレイした後でもCGが気になってくれるようなゲームになるはずなんです。
――お友達どうしが遊ぶゲームというコンセプトですが、東京ゲームショウ2023に出展した際、実際に遊んでもらってみてどうでしたか?
🔸古川:海外の方と日本の男女など思ってもいないマッチングが発生し、初対面のはずの皆さんが楽しそうに遊ばれるということがありました。ここからゲーム内にもフリーマッチングゾーンを作ることを思いつきましたし、いい刺激になりましたね。
🔹畑中:グループによってプレイの雰囲気が全く変わってくるところが面白かったですね。黙々とチーズの運搬をするグループがあれば、ふざけて仲間を猫に投げまくるグループもあるんです。普通のゲームは、強いボスを倒すなど、予め定められた目標を達成したときに盛り上がったり喜んだりします。でも「Little Cheese Works」は、ふざけてゲームの進行が止まったり、自分たちが不利になるほど盛り上がっていく。言い換えれば、ゲームのプレイングが上手くできない時が一番盛り上がる謎のゲームになっているわけで、ここは僕らのゲームにしか出せない面白さなんじゃないかと思います。
――実際、ブースでも盛り上がっていましたね。畑中さんがゲームを作るきっかけとなった「ソニックアドベンチャー2 バトル」は演出や体験をコントロールした上でのトータルな完成度に惚れ込まれたのに対し、「Little Cheese Works」ではその逆のハプニングだらけで予想不可能、コントロールできない種類の体験が盛り上がっているというのが面白いです。
🔹畑中:こういう形でもゲームって面白いんだという気付きがありました。「マリオパーティ」にはゲームの進行には関係ないけれど拍手できる機能があって場を盛りあげられるんですが、こうした感じの面白さに近いのかも知れません。
――ゲームの目的以外で盛り上がる、という部分はある程度計算されていたのでしょうか?
🔸古川:そうですね。お互いがツッコんだり、罵りあうような状況を作るには、不完全である必要性があるはずです。だから、作りすぎているのではなく、なぜここは足りなくて、ここは多いんだというアンバランスさが発生した時にこうした状況が起こるはずだろうということで、ノンリニアな進行にツッコミどころを散りばめているようなものを作っていくのが正解だという気がします。
――「Little Cheese Works」における意図的に作られたツッコミどころとはどういった部分でしょう?
🔸古川:現時点ではまだ未実装ですが、ネズミたちがミスすると給料が少なくなっていくという要素でブラック企業勤めであることを表現しようと考えています。場合によっては給料が限りなくゼロに近くなる上、ショップに並ぶ服は敢えて高めの価格とする。そこに借金できるような場所を作っておけば、高金利でも借りるプレイヤーさんが出るでしょう。そして、借金が返せなくなると開放される返済用ステージを用意しておけば、誰かが服のためにした借金でみんなが巻き込まれて、さらにツッコミが起こることになるはずです。ゲーム内のアイテムをなかなか買えないような状況を意図的に作るのはゲームバランス的には正しくないんでしょうけれど。
――ゲームバランスとしては正しくないけれど、ツッコミが起こるから「Little Cheese Works」としては正しい。友達やゲームの実況者たちを盛りあげるゲームというビジョンがしっかりしているから、わざとセオリーから離れることもできる。
🔸古川:TVのバラエティ番組の企画を作っているようなイメージですね。マルチプレイヤー用のロビーにスロットマシンを置き、負けると借金を背負わされる要素も考えています。借金を返すためにゲーム本編を頑張ってくれるでしょうから。
――可愛い見た目からは考えられない要素ですね。
🔸古川:可愛らしい見た目に惹かれて遊ぶと、ちょっとブラックな側面が出てくる。そうした中で仲間どうし仲良く喧嘩するようなゲームになったらいいなとは思います。
🔹畑中:スロットの話が出たので、貴大に仕様を頼んだら、もの凄く詳しい仕様書を出してきたんです。スロットの目の揃え方の確率から、「目押しはできない」といったコンセプトまで凄く細かくて。ここまでガチなスロットを作るつもりはなかったから「他の部分の仕様書ももっと細かく書いてくれ」と思いました(笑)。
――パーティゲーム作りというと、どうしてもミニゲームの集合体であったり、ミニゲーム内でのゲームバランスや逆転性の扱いといったものを考えがちですが、「Little Cheese Works」ではバラエティ番組的な考え方で作られている。この発想の違いはどこから出てきたものなのでしょう?
🔸古川:僕がお笑い好きであることが理由だと思います。とはいえ、「Little Cheese Works」みたいな発想は僕一人では出てこない。ゲームのセオリーが分かっている上で、バラエティ番組的な所へどこまでズラせるかという部分は朗人がいないといけないんです。2人の意見がぶつかった場合、世界観に関するものだとバラエティ番組としての台本が僕の中にあるから譲れない。でも、ゲーム内に関する部分は朗人の方が知っているので、台本から外れない範囲で譲ることができる。僕の考え方だけで作れないものが作れているし、バランスも取れていると思います。
――こうした部分に関するやり取りの中で、印象に残っているものはありますか?
🔹畑中:ネズミたちのデザインを可愛い感じにするか、アホそうな感じにするかで結構揉めました。僕は可愛い感じがいい、貴大はアホそうな感じがいいということで6時間くらい話し合ってましたね。結果的に、可愛い感じにしたからこそ、プレイしながら徐々にブラックになっていくところが映えるようになったんじゃないかと思います。
🔸古川:逆に、アホそうな感じだと最初からブラックな感じが前面に出るので、バラエティ番組みたいなのにヘンであるという部分を見せていかないといけなくなる。どちらが得かと考えると、可愛い感じでプレイヤーさんを欺いた上でゲームに入ってもらう方がいいだろうなということですね。
🔹畑中:最近流行の「ちいかわ」(※)的なキュートアグレッション、可愛い生き物が可哀想な目に遭っていると楽しくなってくるという時代的にも合っているんじゃないかと。
🔸古川:そう考えると、アホそうな感じは時代に乗れなくて危なかったね(笑)。
――両者の言い分が平行線を辿りそうなテーマではありますが、上手く着地したなと思います。
🔹畑中:僕は理論派で、貴大は感覚派。お互いが納得する落とし所を見つけるためにはいつも苦労していますね。ネズミたちのデザインについては、どういった部分が気になるかを貴大が掘り下げてくれたので、平行線だった議論がまとまった感があります。時間を掛けて話していくと、お互いが本当に大事にしたいものがどこであるかに気付いて、なんとなく落とし所が見つかってきますね。
――マルチプレイが必要な「Little Cheese Works」ですが、テストプレイはどのようにしているのでしょう?
🔹畑中:完全に自分たちでやっていますね。外部の方に遊んでもらう機会がなかなかないので、受賞者サポートとして定期的に行われている試遊会が役に立っています。
――受賞者どうしが集まって、お互いのゲームをプレイする試遊会自体が受賞者からの提案で作られたシステムですし、この賞の性格を現しているともいえそうですね。応募にはゲームと企画書が必要ですが、応募直前の段階で苦労されたところはありますか?
🔸古川:苦労したのはお金の部分ですね。「Little Cheese Works」を開発するためには脱出ゲームの開発をストップしなければならず、そうすると収入が途絶えてしまいます。このコンテストに賭けて脱出ゲームの開発を止めたわけですが、賞を取れなければ、倒産していたんじゃないでしょうか。それは周囲にいっても仕方がないので、自分の所だけで止めた状態で開発を進めていた。もう気が気じゃなかったですね。
🔹畑中:脱出ゲームを続けるとなると、1ヶ月に10日くらいは時間を取られてしまう。コンテストの締め切りまでに2ヶ月ありましたから、20日です。僕は1日でも多く「Little Cheese Works」の開発に時間を取りたいですし、1日とはいえ、その1日でできるようになることはもの凄く多い。だから脱出ゲームは止めた方がいいと貴大に進言したんです。
――時間を捻出するために、脱出ゲームは一旦止めようと。
🔹畑中:止めるのは嫌だったし、止めたからといって確実に入賞できるかは分からないけれど、落ちた時に「あそこで20日追い込んでいなかったから……」なんてことは絶対にいいたくなかった。だから、後悔しないように、全力でコミットできる状態を作ったんです。
――苦渋の決断をしたからこそ、入賞まで持ってくることができた。
🔹畑中:この20日がなかったら、きつかったと思いますね。実際、残り1ヶ月で仕上げなければならない追い込みの時期がありましたし。
――この20日でクオリティを上げられた部分はありましたか?
🔹畑中:タイトルの演出ですね。可愛らしいネズミたちが曲に合わせて踊るんですが、作り始めたのは応募2週間前のことでした。絵コンテを描き、モーションを作ってもらい、僕が組み上げる。フルスピードでやらないと絶対に間に合わないところを、なんとか間に合わせることができたんです。現実的な見方をすれば、この演出がなくても帳尻を合わせた仕上がりになっていたとは思いますが、今よりは確実にクオリティが低かっただろうと思います。
――外部への注文も含めてなんとか間に合わせたわけですしね。
🔸古川:僕らはCGやモーションを作れませんから、この時は多大なご迷惑をかけました。期日はギリギリだし、仕事量も多い。お金がないので、安い単価しか出せない。これをお願いするには、熱意や申し訳ない気持ちを伝えるしかなかったんです。「多分辛いお仕事になるけれど、このゲームが世に出た時には名前を売るチャンスになるし、後々に信頼してもらえる自信があるのでお願いします」と。応募までのラスト2週間は、1日の1/3が各所に頭を下げる時間でした。申し訳ないけれど、お金はない。気持ち的にはしんどかったですね。煙草の量も増えてましたし。
――非常に大変な時期だったと思いますが、乗り越えられたのはなぜだと思われますか?
🔸古川:一人だったら、止めていたと思うんです。でも、出世しそうな朗人を、独立させて貧乏なところに引っ張ってきた責任を感じていましたから、ここだけは裏切れない。だから踏みとどまれていただけです。一人だったら、とっくに止めて何もしていないと思います。本当に危なかった。
――その最後の一線で、責任を取らない人間はいくらでもいます。そうした中、古川さんは踏ん張り続けておられた。
🔸古川:実際、一人の時には何度か逃げたことはありますが、ここで逃げたら終わりだろうと。
――受賞後はGYAAR Studio Baseの近くに引っ越してこられ、ほぼ常駐されているそうですが、そうした気持ちの表れなわけですね。
🔸古川:前はテレワークで、気絶する寸前まで仕事をして、寝て起きたらまた仕事にかかるという状態でした。受賞後も同じように仕事をしたいし、GYAAR Studio Baseの方が環境は良さそうなので、歩いて帰れるところに引っ越そうということですね。生活のコストをできるだけ下げれば、お金を全部ゲームに突っ込めるじゃないですか。さらに、僕が朗人と一緒に住んで自炊をすれば、家賃や光熱費、食費も圧縮できる。
🔹畑中:シェアハウスするのは初めてだったので大変そうだなとは思いました。ただ、家とGYAAR Studio Baseが近いことは本当にいいことなので、受賞者はみんな近くに引っ越してくればいいのにと感じましたね。本当はGYAAR Studio Baseで寝起きしたかったんだけれど、さすがにそれはダメでした。ベッドを置いてもらえたらいいなと思って、ちょいちょい希望は出していこうと(笑)。
🔸古川:実際、最初はGYAAR Studio Baseに住み込む予定だったんですよ。東京の友達の家に籍だけを置かせてもらい、実際にはGYAAR Studio Baseで寝泊まりして近くの銭湯に入り、あとは自販機のコーラだけで月の生活費1万円を目指す。そうしたら、何もかもゲーム開発につぎ込めるじゃないですか。
――現在の生活サイクルはどのようになっているんでしょうか?
🔸古川:お互いに限界まで仕事をして、辛くなったら寝て……という感じですね。ここ数ヶ月、GYAAR Studio Baseと家を往復していた記憶しかないんですよ。両者の間にある中華料理屋とか、朝に掃除しているおばちゃんくらいしか覚えていない(笑)。
🔹畑中:深夜2時にGYAAR Studio Baseで作業を開始するようなこともありますからね。
――ハードワークの中で体力を維持する秘訣はありますか?
🔹畑中:僕はコーラやカフェインが原動力ですね。子どもの頃からコーラを飲まないと頭が回転しないし、これがルーチンになっている感じがあります。しばらくご飯を食べなくても活動できるので、貴大が作ってくれたものを食べてずっと仕事をしている。
🔸古川:僕は朗人にご飯を作るときは栄養に気を使っています。朗人は僕のご飯を少ししか食べずに、目を離したらスナック菓子とコーラとか、コンビニから買ってきた大盛りのペペロンチーノなんて食べてる。それだと栄養が偏るから、ゴボウとか食べて欲しいんですよ。
🔹畑中:いや、僕はもともと小食だから(笑)。
――ゲーム開発はマラソン的な側面もありますから、栄養に気を使うのは大事かもしれませんね。
🔸古川:僕はなるべく三食自炊するようにしていて、ぬか漬けを作ったりもしています。野菜も安い時に買ってきて、これを6種類くらい入れた豚汁を作ったりもしますね。朗人を残して家を空けなければならない時があり、豚汁を作り置きしていったことがあるんですが、全く手を付けてくれずにカビが生えてたこともありました。
🔹畑中:いや、コンロに食べ物が残ってることがなかったから、気付かなかっただけで。確かに変な匂いはしてたような気がするけど(笑)。
🔸古川:GYAAR Studio Baseで作業をする時は、家で作ったご飯をおか持ちに入れて持ってきますね。中古のおか持ちを2000円くらいで買ってきて(笑)。
――インディーゲーム支援においても、常設のスタジオが用意されているというのは非常に珍しいケースだと思います。電気も回線も引いて、24時間出入り可能な場として使えるようにしておくとなるとコストがかかりますから。
🔹畑中:最初は出入りの時間も平日8時~22時に制限されていたんですよね。そこで無理をいって365日24時間OKということにしてもらったんです。
🔸古川:担当の方が上層部と交渉してくださったおかげです。おかげさまで、週に100時間くらいはGYAAR Studio Baseにいられるようになりました。
――サポート体制も発展途上だし、受賞者とGYAAR Studioがともに作り上げていくということですね。GYAAR Studio Baseで他の受賞者たちと交流していていかがですか?
🔸古川:僕らはずっと暗い洞穴の中でゲームを作っていたようなもので、外の世界が全く分かっていなかったので、GYAAR Studio Baseで受賞者さんと会えることはありがたいですね。
🔹畑中:他のチームの制作物も間近で見えますし、危機感というか刺激になりますね。みんなが同じ志を持っていますから、情報交換できるのはすごく助かります。
――受賞者どうしの距離感というのは結構近いものなんですね。
🔹畑中:協力しつつもライバルであるという感じでしょうか。雑談をすることもありますし、試遊会の後にはお互いのゲームに対して熱心に感想を言い合ったりもします。ある試遊会では「Little Cheese Works」にバグが出てしまって、試遊会の間に突貫工事で直したことがあり、ちょっと楽しかったのを覚えています。
――GYAAR Studio Baseに独特の文化が生まれているのも面白いですね。例えば今日なんかは、自販機の横に置かれたホワイトボードに「飲み物を買う人は、待ち時間の間にニワトリの絵を描く」というルールが作られ、実際に何匹かのニワトリが描かれていますし。
🔹畑中:もともとはクリーンな空間でしたが、最近になって皆が色々やるようになりました。第2回目の後に受賞者が増えたら、もっとカオスな空間になっていくんじゃないかと楽しみです(笑)。
――皆にGYAAR Studio Baseを盛りあげていこうという意識がある?
🔹畑中:あるかも知れないですね。GYAAR Studio Baseにはバンダイナムコスタジオの方もおられて、「ゲームどうなの?」みたいな感じで雑談したりすることもありますから、相互作用でカオスに盛り上がっていけばいいなと思います。
――GYAAR Studio インディーゲームコンテストが提供する受賞者サポートの中で、どういった部分がありがたかったですか?
🔸古川:このGYAAR Studio Baseという場を与えてもらっていることがありがたいですね。これはGYAAR Studioさんとの意図とは違うかも知れないんですが、個人的にはもっと獣臭い場所になってくれると嬉しいです。居心地が良すぎる場所=良いゲームが生まれる場所であるかどうかは分からない。何とかして自分のゲームを売って下克上してやる、みたいなヤツらが集まって、熱いけれども居心地が良すぎるわけではない場所になると嬉しいです。我が強いクリエイターが集まるわけですし、馴れ合うよりは、実際に殴り合うわけではないけれど火花が散ってて喧嘩が起こる寸前の空気感があるような方が、いいゲームが出てくる可能性がありそうなんじゃないかと。隣の人が、確かに数パーセントの可能性で世の中をひっくり返せるゲームを作っているというのはワクワクしますね。それくらいに刺激的なら、自分が死ぬ時に「あの時は熱かったな……」と振り返れる2年間になるんじゃないでしょうか。
🔹畑中:僕も同じような意見ですね。GYAAR Studio Baseは施設的にこれ以上ないくらい充実していますので、もっと交流が増えるようなきっかけがあると嬉しいです。技術書やマンガが置いてあってもいいんじゃないでしょうか。
――では最後に、第2回GYAAR Studio インディーゲームコンテストに応募される方へメッセージをお願いできますか?
🔹畑中:僕らは会社を辞めて独立し、これしかないという覚悟で会社員として働いている以上の労働力を何とか生み出して受賞できたという感じです。とにかく死に物狂いでやるしかないんだということはこの2年で学び取った気がします。本当にやらなきゃいけないこと、やりたいことをとにかく全力で頑張るしかない。結果が出るかどうかは分からないけれど、時間は待ってくれないので決断しなきゃならないときは必ず来る。だから自分のできることをやるしかない。僕は一人だと逃げやすいタイプなので、退路を断った方が作りやすかった。自分を追い込まないといいものは作れないし、これがクリエイターとしていいものを作り出せるきっかけになるんじゃないかなとは思います。
🔸古川:自分がやりたいゲームを世に出すためにカッコ悪くなっている位の人が好きなので、その情熱をぶつけて欲しいです。空気が悪くなりながらでも、一緒にとんでもないものを作れるような人が近くに来ることを願っているので、そういう方と同じ場所で同じ時間を過ごせればと思います。
――なりふり構わず、全てを犠牲に出来る情熱が必要なわけですね。ありがとうございました。