見出し画像

【MTG】Bazaagaについて~終章~

この記事はMagic : the Gathering(以下マジック)に関するものです。

2024年8月26日、禁止改定が発表されました。
(推奨BGM:森田童子『ぼくたちの失敗』)

ヴィンテージ
・《ウルザの物語》 制限
・《苛立たしいガラクタ》 制限

https://mtg-jp.com/reading/publicity/0038090/

そういうわけで、がんばって調整していたBazaagaはここまでとなりました(ヽ´ω`)
正直、WotCはサーガを制限するならモダホラ2直後の改定でするべきだった。
まあ、それはともかくBazaagaの思い出を残しておくことにした。


■発端

そもそもBazaagaというデッキがどういうデッキで、どういう経緯で生まれたのか、改めて触れておこうと思う。
大雑把には下記事にて書いた通り、『「《サーガ》強すぎてむかつくから自分でも使ってやろうと思う」という雑談』からなのだが、

これは正確ではなく、実際にはこれより以前から『WotCが「ヴィンテージ環境は健全」といつまでも言い続けるから、「バザーデッキがサーガ使いだしたらそんなこと言ってられんやろ!見とけよ!」』という意気込みがあり、雑談によってアウトプットされてついに動き出したのである。つまるところサーガを『制限』に追い込むためのデッキとして開発をスタートした。
制限に追い込むためには必然的に強力なデッキとして認知され、シェアを拡大しなければならない。
そこからの迷走は過去の記事につらつらと書いているが、それも触れておこう。

■迷走

最初は《サーガ》2枚と《太陽の指輪》《両替機》1枚を入れて、ピッチヴァインデッキのサブプランとして機能することを目指したものだった。しかし、《サーガ》の登場回数が少ないために構築物トークンが出ることもなく、《太陽の指輪》の2マナで《虚ろな者》をサイクリングするぐらいしか変化がなかったために、《サーガ》の有用性を評価できなかった。
サイド後の墓地対策に《両替機》が巻き込まれるのもあまりよろしくなかった。
ただ、《両替機》を設置したときには《バザー》とのシナジーが予想以上に良好であるという感触があった。特に強烈に印象的だったのが、ある大会での『相手のアタックに対して、《虚ろな者》サイクリング、《両替機》で追放して戻して2/2生成、《オークの弓使い》ブロック』という一連だった。
この挙動にさらなる可能性を見出したことで《両替機》を増量するようになり、それに連れて《サーガ》も増やし、《Mox Ruby》《探検の地図》も採用するようになった。こうしてバザーデッキだったピッチヴァインは、対戦相手にバザー対策とサーガ対策の2面を意識させられるようになった。

が、勝率は決して褒められたものではなかった(´・ω・`)
これは2024年5月頃だが、その時点でのBazaagaの勝率は37%ほどだった。
半年ほどかけて今一つデッキとして洗練できなかった筆者はいよいよ《バザー》と《サーガ》の両立は困難であると見切ろうとしていた。
それを供養しようとしたのはこの記事。

■転機

供養しようとしたデッキだったが、晴れる屋の第11期帝王戦の直前にこのデッキにいわゆるブレイクスルーがあった。
それは、『《復讐蔦》を抜くこと』だった。
もともとピッチヴァインの派生として始まったデッキだったので、この発想に至ったあとも実行するにはうしろめたさや躊躇いがあった。いくつかの対戦の結果からうすうすといずれ《復讐蔦》が抜けるのではないかという予感はあったが、デッキ名にその名を冠する《蔦/Vine(ヴァイン)》を抜くというのはまさにデッキが次の段階に進み、既知のデッキではなくなることを意味している。正直、わからなかったのだ、それが正しいのか。ネット上に数多存在するピッチヴァインというデッキのリストはそれぞれ何かしらの成果を残している。しかし、そこに《蔦》も《血清の粉末》もなく、《サーガ》と《両替機》が入ったデッキなど存在していない。もう自分が試すしかなかった。
そして《サーガ》入りのピッチヴァインは《蔦》が抜け、遂にBazaagaとして誕生した。同時にBazaagaは《蔦》による高速クリーチャーアグロから、《バザー》をエンジンに《サーガ》でコントロールしながら戦うクロックパーミッションだというスタイルに定着した。
開発開始から約8ヶ月、ようやく姿を見せたBazaagaは帝王戦で思いがけず花開いた。

※余談だが、筆者はマジックの戦略ではクロックパーミッションが一番好きであり、レガシーでは忍者を使い続けている(《超能力蛙》は許さない)。

■洗練

Bazaagaのスタイル、と言ってもまだまだ朧げな輪郭であることは否めなかった。
帝王戦後も大会で調整を続け、《森》の採用、対オース、対《超能力蛙》として《紅蓮破》《赤霊破》の採用、対ルールス、対ラヴィニアとして《双弾の狙撃手》、対アーティファクトとして《猛り狂うウォー・マンモス》、ロングゲームを制する《壌土からの生命》など、普段のヴィンテージでは見かけないようなカードも色々試した。8月に登場した新セット『ブルームバロウ』の《噴水港の鐘》も試した。
逆に「《活性の力》が要らない」と抜いてみて一瞬で過信だと気づいて次の大会では《活性の力》を戻している、という錯誤もあった。
《耐え抜くもの、母聖樹》は《探検の地図》からのサーチ先として、いい「発見」だったと思う。
そうして、最終的なリストはこうなった。

どうだろうか。ヴィンテージの、あるいはMTGにおけるデッキ構築の自由さのようなものを感じてもらえるだろうか。
ちなみにBazaagaとしての勝率は22-17-1の55%で勝ち越しに成功している。もともとが37%だったことを考えると飛躍的な良化だと言えるだろう。Bazaaga後に試したカードが弱すぎることもよくあったので、体感的には6割ぐらい勝っていてもおかしくなかったと思う。実際に7月までの30戦時点では18-11-1で60%だった。

■愛着

正直に言ってこのデッキは自分で開発調整したという思い入れを含めてとても気に入っていた。知り合いがMOで帝王戦直後のリストを試してくれたあとに「このデッキ、勝てない」と言っていたのも自分専用機感を覚えて逆に嬉しかったりもした。
実際、「この初手は《バザー》なのか《サーガ》なのか」、「《バザー》は起動するのか」、「《バザー》を起動したなら何を捨てるのか」、「《探検の地図》は何を持ってくるのか」、「《両替機》で《スクイー》を追放するのか」、「《両替機》で生成するトークンはクリーチャーなのか」、「相手の《アンリコ》は打ち消すのか」、とにかく難しいデッキだったと思う。

一人、帝王戦でのリストに感銘を受けて同じようにデッキを使ってくれた人がいたのは嬉しかった。その人のリストを見せてもらったときに、自分のリストと大きく違っていることは驚きつつもデッキの可能性を改めて感じさせられた。
Bazaagaは《バザー》4《サーガ》4《両替機》3.5が固定で、残りの49枚が自由枠だった。
そして、当初はその強さを恨み、制限に追い込むべく使い始めた《サーガ》は、もはやBazaagaになくてはならない唯一無二のカードとなっていた。筆者は《サーガ》へ歩み寄り和解に成功したのだ。

■短命

冒頭の通り、《ウルザの物語》はヴィンテージで制限になった。
デッキを定義するパーツを制限されたBazaagaは、戦略のほとんどを失ったと言ってもいい。
1枚差しの《探検の地図》はどうするのか。墓地対策をかわせる構築物トークンによるビートプランは、《不毛の大地》を《バザー》と《サーガ》のどちらかにしか使わせない強制は、《両替機》は、メイン・サイドに散りばめた0マナ1マナのアーティファクトは。

9/1に《サーガ》制限後の大会に参加してみた。
5Rで1-4(byeのみ)となった。
《Taiga》では《サーガ》の代わりにならなかった。
終わった。
Bazaagaは6月の帝王戦で花開き、8月の禁止改定で摘まれた。

■回帰

《バザー》デッキと言えばもとはドレッジだった。
筆者のレガシーはドレッジから始まったし、ヴィンテージのほとんどではドレッジを使っている。ヴァイン系デッキはせいぜいこの1年弱しか使っていない。
《サーガ》制限後、まずはと思いドレッジの一人回しを繰り返してみたが、《バザー》が無いとキープができない、キープできても何も落ちない、何も帰ってこない、ということが頻繁に発生し、ゆるいキープが可能だったBazaagaに慣れてしまった筆者には耐えられない弱さだった。
(※Bazaagaでは開発初期からトリマリ以上をほとんどしたことがない)
そもそもバザー系のデッキはMH2の《悲嘆》以降ほとんど得たものが無いのに、他のデッキは《一つの指輪》《偉大なる統一者、アトラクサ》《超能力蛙》《オークの弓使い》などとにかく強化を得ている。
一人回しの感触だけだが、とにかくブン回り以外の勝ち目を感じなかった。
弱点に対して、「打ち消す」「ハンデス」というのは事実上、「対策不能」と言ってるのに等しい。バザーデッキを後出しで対処できる致命的なカードは多数存在するが、バザーデッキが他デッキを致命的に対策できるものが存在しない。それだけで今更ドレッジやヴァイン系のデッキを回すというのはあまりにも気が進まない。

■今後

恨みから始まった《サーガ》との付き合いだったが、話してみるとそんなに悪いやつじゃなかったと思う(欺瞞)。結果的に望まぬ形でBazaagaは終わってしまったが、《バザー》自体は使っていく。

前段で「気が進まない」などと言ったが、2R固定の店舗大会で久しぶりにドレッジを回した。
結果を簡単に書くと、対オースのサイド戦で6マリして《バザー》がなかった時、そこで投了した。メインは《悲嘆》《チャリス》《虚ろな者》《バザー》の7枚キープだったが後手だったために1t目の《ギタ調》《クリプト》《果樹園》《オース》で投了することになった。
対ジュエルショップでは上振れを2回引いて勝てたが、あの回り方であれば相手のデッキはほとんど関係なかったと思う。
2戦だけだが、今のドレッジはブン回りでないと勝てない、という感触は正しい気がする。
(というか、オースとジュエルとルールスが多い環境というだけですでに不利が過ぎる気がする(・ω´・;))

エターナルウィークエンド、どうしよっかな(ヽ´ω`)
リアル添削杯も(´・ω・`)

それではここまで。
よい《ウルザの物語》ライフを。
ぎゃり粉(ヽ‘ω`)σ


いいなと思ったら応援しよう!