カーボンニュートラルと新たな市場の創造に向けてGXリーグがキックオフ!
2022年6月10日(金)GXリーグ2022キックオフイベント
2050年のカーボンニュートラルと新たな市場創造を目指すGXリーグ。その第一歩となる発足式が2022年6月10日(金)に開催されました。
当日は、GXリーグの趣旨に賛同する企業440社がオンラインなどで参加する中、荻生田光一経済産業大臣、日本経済団体連合会の十倉雅和会長、全国銀行協会の髙島誠会長、環境省、金融庁の関係者に加え、賛同企業3社が登場し、それぞれの立場からGXリーグに対する期待や脱炭素に向けた決意を示しました。
GXリーグで世界の脱炭素をけん引する(萩生田経済産業大臣)
発足式は、萩生田経済産業大臣による開会あいさつからスタートしました。
萩生田光一経済産業大臣
「GXリーグは気候変動対策を成長の機会ととらえ、経済・社会システム全体を炭素中立型に変革させる、いわゆるグリーントランスフォーメーションへの挑戦に向け、産官学が未来像を共有し、あるべきルールを作り、ともに実践していく場です。
GXリーグは炭素中立型社会に向けた政府の重要戦略の大きな柱の一つとなるものです。賛同企業との対話や取り組みを通じて得た知見やノウハウを活用しながら、将来的には排出削減と投資の促進をより強力に促す仕組みへと発展させます。
特に、排出量取引の枠組みについては、各国とも時間をかけてトライアンドエラーを続けながら制度を発展してきました。日本も慎重かつ大胆に将来的な道筋の検討を行う必要があります。 脱炭素を巡る政策動向は世界各国で大競争時代に突入しています。GXリーグが世界のGXをけん引する大きな枠組みとなるよう、全力で取り組んでいきます」
経済界・金融界もカーボンニュートラルの取り組みを強化
萩生田大臣の開会あいさつに続いて、経済界から経団連の十倉会長、金融界から全銀協の髙島会長のビデオメッセージが紹介されました。
経団連・十倉雅和会長
「GXは、わが国成長戦略の柱であり、投資拡大を通じて持続可能な成長へとつなげていくことが求められます。こうした中、カーボンニュートラルにいち早く移行するための挑戦を行い、ビジネスの国際競争に勝てる企業群を生み出していくための仕組みがGXリーグです。
GXリーグには、経団連の会員企業の多くが賛同を表明しており、経済界全体としてGXに積極的に取り組む姿勢の表れです。経団連として、今後、GXリーグを巡るさまざまな議論、取り組みに積極的に参加していきます。そして、GXリーグの賛同企業が互いに切磋琢磨しながら、経済社会の変革に向けた行動変容や投資拡大といったうねりを起こしていくことを期待しています」
全銀協・髙島誠会長
「銀行界においては、自らの温室効果ガスの排出削減に取り組むとともに、パリ協定の1.5℃努力目標の達成に必要とされる、社会・経済全体のカーボンニュートラルの実現を金融面からしっかりと支えていくことが、喫緊かつ重要な課題であると認識しています。
GXリーグ設立には大きく2つの意義があると考えております。第一に、参画企業自らが1.5℃努力目標の実現に向けた目標を設定し、その実現に向けた取り組みを公表していくこと。第二に、民間が中心となって排出量取引を含むカーボンプライシングの議論が進む契機になることです。
2023年の本格稼働に向け、GXリーグが実効性を伴う仕組みとなるよう、ルール作りや実証に向けた議論が活発に行われることを期待しています」
関係省庁も一丸となってGXの推進を支援
関係省庁からのあいさつでは、環境省の和田篤也総合環境政策統括官、金融庁の井藤英樹政策立案総括審議官が登壇しました。
環境省・和田篤也総合環境政策統括官
「環境省は、地域の脱炭素化、ライフスタイルの変革について、主に、需要サイドに立った取り組みを推進してきました。とりわけ地域の脱炭素化については、2030年までに脱炭素先行地域を100カ所以上創出するという政策を立ち上げ、全国に脱炭素ドミノを広げていくことを考えています。こうした取り組みは、地域の暮らしにおける脱炭素に関連する設備・製品などの需要を大きく生み出し、産業分野・部門における脱炭素投資、供給の拡大につながります。
環境省としても、GXリーグとしての連携を密接にすることにより、企業・生活者が共同してカーボンニュートラルを実現していけるよう、貢献していきたいと考えています」
金融庁・井藤英樹政策立案総括審議官
「経済・社会で脱炭素に向けた大きな挑戦が始まる中、金融庁ではGXリーグに賛同する440社を含め、日本企業の取り組みや強みが適切に評価され、投資資金が円滑に供給されるための環境整備に取り組んでいます。
金融機関による顧客支援は、脱炭素に向けたトランジションファイナンスからサプライチェーンを支える地域の企業の支援まで、さまざまなものが考えられます。この点で、GXリーグが目指す企業の排出量にかかわる目標設定、進捗管理、削減に向けての取り組み、投資の開示、サプライチェーンへの働きかけ、さらに、目標を達成するための自主的な排出量取引の実施などは、金融サービス等を通じてさまざまな産業分野の顧客支援を考える上でも、有効な取り組みになるものと期待しています」
「GXリーグで実現したいこと」3社がプレゼンテーション
続いて、GXリーグに賛同するパナソニックホールディングス、三菱ケミカル、ユーグレナの3社が、「GXリーグで実現したいこと」と題してプレゼンテーションを行いました。
パナソニック ホールディングス・小川立夫執行役員
「自社の事業活動に伴う二酸化炭素排出量は、計測・削減することができるのですが、事業を通じた削減貢献量(Avoided Emission)を図る統一基準が未確立であり、社会にもうまくお伝えできていません。この削減貢献は非常に大きいため、公平なルールを構築することで社会の理解を得て、企業の活動を促進させていくことができればと考えています。
パナソニックはカーボンニュートラルに向け、2022年4月に新しいビジョン『Panasonic GREEN IMPACT』を打ち出しました。2050年のカーボンニュートラル実現に向けて、現時点の全世界の二酸化炭素総排出量の約1%に当たる3億トン以上の削減を目指すことを表明しています。さらに、水素、その他の新しい技術、新しい事業を起こしていくことでさらなる社会へのインパクトを積み上げ、業界・経済・社会全体のカーボンニュートラルに向けた歩みを加速する一助となればと考えています」
三菱ケミカル・馬渡謙一郎グリーントランスフォーメーション推進本部長
「GXリーグでは、まず2050年カーボンニュートラル社会に向け、サステナブルかつ競争力のあるエネルギーが必要という観点から、エネルギー政策に向けた議論に参加させていただきたいと考えています。次に、バリューチェーンです。政府・自治体、そしてモノのサプライチェーンのすべてをバリューチェーンパートナーと考え、そこで循環型、環境対応型のソリューションを議論していくことです。最後に、企業の環境対応の取り組みを正当かつ適切に評価していただくために我々はどのようなアクションを起こすべきか、また、どのように評価されるべきかということについても、この場で議論をさせていただきたいと考えています。
GXリーグは、志のある企業が集まった民間中心の取り組みです。三菱ケミカルならびに三菱ケミカルホールディングスグループとして、本音で本気の議論を行ってまいりたいと考えています」
ユーグレナ・出雲充代表取締役社長
「ベンチャー企業、スタートアップの立場から、オープンイノベーションによるGXリーグの推進と、立ち上げの意義についてお話しします。
これからの新しい資本主義の実現の主たるドライバーは、大学の技術とそれを活用したアントレプレナーです。このアントレプレナーはミレニアル世代とZ世代が中心となりますが、その大きな特長は、『サステナブルネイティブ』『デジタルネイティブ』であるということです。2025年、日本の生産年齢人口のおよそ2人に1人がミレニアル世代とZ世代になり、サステナブル資本主義実現の動きが一気に加速します。ベンチャー企業の事業そのものがSDGs推進のドライバーとなります。
スタートアップと大企業の良いところを掛け算することによって、GXとDXが2025年から間違いなく加速します。大企業とスタートアップとの対話、そして好事例を作っていくことがGXリーグの重要な意義なのです」
炭素中立社会に向けて新たな政策形成にチャレンジ
最後に経済産業省の奈須野太産業技術環境局長が閉会のあいさつを行いました。
経済産業省・奈須野太産業技術環境局長
「日本企業が炭素中立社会への移行に取り組む中で、国際的なビジネスの競争に勝っていくためには、自ら世界に対してリーダーシップを発揮してカーボンニュートラルに向けたルール、イニシアチブ形成に向けてリードしていくことが重要です。GXリーグは、そうした企業のチャレンジを推奨していく場です。
これらのチャレンジを進めていく上では、長期的な見通し、世界観を持ち、将来の炭素中立社会に向けて温室効果ガスの排出削減、そして吸収にかかわるコストを経済社会活動の中に内部化していくカーボンプライシングを定着させていくことが不可欠です。
また、パリ協定では、今世紀後半に温室効果ガスの人為的排出と吸収をバランスさせていくことが決められており、排出と吸収をバランスさせるクレジット取引がグローバルに展開されることが予想されます。つまり、排出権のクレジットを取得しなければあらゆる経済活動ができない、温室効果ガスが新たな経営資源になるということです。
経済産業省は、こうした長期的な方向性を踏まえながら、GXに向けた取り組みを強力に推進していきます。これまでの伝統的な政策手法の範囲を超えて、先駆的な取り組みを行っている企業の皆さまと対話し、新たな政策形成を行うということにチャレンジしていきたいと思います」
キックオフイベント終了後には、会場にいる経済産業省の梶川文博産業技術環境局環境経済室長、キックオフイベントでプレゼンテーションを行った3社の担当者らと、約1000名のオンライン参加者とを結んだキックオフセッションが実施されました。「GXで感じる社会変化の兆し」「日本/日本企業の強み」「環境配慮と企業成長をどうすれば両立できるか」という3つのテーマで議論が行われ、オンライン参加者からは多数の意見が寄せられました。
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