ひとみみぼれ
最近、よく聞く曲がある。
日が少し登り、暖かくなったころに彼の声は耳によく馴染むのだ。
出勤時間が少しばかり遅いわたしは、その曲を聴いてぼうっとすることが日課になっている。
最近、彼はわたしのおきにいりなのだ。
年末、ためにためていた番組録画されているものをなんとなく見ていた。
すると、自動再生で録画したことすら忘れていた、彼のドキュメンタリーがテレビに浮かび上がった。
画面の中の人は、少し笑いながら恥ずかしそうに淡々と話していた。
「もう、苦しいとかいいわ。って思ったんですよね」
照れ笑いをする彼が、
その言葉が、なぜか
頭に残った。
それは、ただ単純に人の吹っ切れた顔を見たのが初めてだったからかも。
以前から気になっていた彼は、
以前とは全く雰囲気の違う曲を歌って、
楽しそうに笑っていた。
それを見ると、胸がきゅうっとする。
少し元気をもらえた気がして、いつもよりすこしだけ冷たい空気を肺に入れ込んだ。
今日は、
今日も、
いい日です。