カヴーをめぐる冒険
Gwendlynと申します。限築杯お疲れ様でした。
Twitterで旧枠加工カードを使ってせっせと与太デッキばかり組んでました。調子に乗ってすみません。
駄文をお見せするのも恥ずかしく、文章を書くのを躊躇っておりましたが、不完全な部品を組み合わせて、完全な機械を作ることも可能かと思い直し、書き残しておこうと思います。
1 デッキ選択
参加を決め、思い悩むのは、何のデッキを使うか。
自分の性格を考えれば、最も向いているのはドロマーコントロール。しかし、これは伊万里勢2人が先に選択していたので、やや面白くない。
そこで次に考えたのが、何のカードを使いたいか。
私にはインベイジョンブロック構築の経験はないが、長年の自作ヴィンテキューブの経験がある。経験則として、インベイジョン最強のカードは《嘘か真か/Fact or Fiction》《火炎舌のカヴー/Flametongue Kavu》の2枚である。
インベイジョン最強カード
この2枚を両方使うという手もあるだろう。その場合のデッキとしてはSSSか。しかし、一見してSSSは攻守のバランスが良い…というより器用貧乏という印象を受けた。トリコロールとして比べた場合、トレンチの方がコントロールとしての一貫性がある。
更に、SSSは2マナ2/2を大量に積まなければならないが、この環境の特殊地形はレガシー環境とは比べ物にはならない。色拘束の強い熊をちゃんと2ターン目に出せるのだろうか、という疑問が浮かんだ。
その後、マナ基盤への懸念は、私に2色デッキへの道を模索させた。しかし、インベイジョンブロックの特徴として、極めて2マナ域が薄い、というものがある。特に青単色の2マナにはプレイアブルなものがほぼないため、青絡みの2色デッキはまず不可能なのだ。
そこで私の目に止まったのが、マシーンヘッドである。2色と堅いマナベースを持ちながら、カヴーに加え、《終止/Terminate》、《燃え立つ死霊/Blazing Specter》、《スキジック/Skizzik》といったパワフルなカード群を使うことができる。
インベイジョン界のソープロ
加えて、インベイジョンブロックは極めて青が強い環境である。《撹乱/Disrupt》+《反論/Gainsay》でサイドボード7~8枚用意されることも珍しくなく、メインに入ることもありうる。青が最強と言われるインベイジョンにおいて、あえて青を選択しないことはメタゲーム上でも十分合理的な選択であるように思えた。
2 調整
最初に組んだのはMTG wikiのマシーンヘッドの完コピ。
回してみて気になったのは、《夜景学院の使い魔/Nightscape Familiar》と《スキジック/Skizzik》の存在だった。私は《墓所の天使/Crypt Angel》が好きすぎるため、どんどん枚数が増えていく。そうすると、5マナに有力なカードが多すぎる(墓所天、スキジック、キッカーバトルメイジ)。その上、夜景学院のマナ軽減が有効に使えない。
そこで、思い切って速攻を捨て、完全な除去&ハンデスコントロールデッキに舵を切った。
結果としてできたのが、以下のデッキ。
【クリーチャー 】 23
4《シヴのゾンビ/Shivan Zombie》
4《ファイレクシアの憤怒鬼/Phyrexian Rager》
4《雷景学院の戦闘魔道士/Thunderscape Battlemage》
4《燃え立つ死霊/Blazing Specter》
3《火炎舌のカヴー/Flametongue Kavu》
4《墓所の天使/Crypt Angel》
【呪文】12
4《暴行+殴打/Assault+Battery》
2《終止/Terminate》
4《頭の混乱/Addle》
2《 ファイレクシアの闘技場/Phyrexian Arena 》
【土地】25
9《山/Mountain》
8《沼/Swamp》
4《 アーボーグの火山/Urborg Volcano》
4《 ラノワールの荒原/Llanowar Wastes》
【サイド】15
2《生+死/Life+Death》
2《終止/Terminate》
3《不寛容の仮面/Mask of Intolerance》
2《殺戮/Slay》
1《火炎舌のカヴー/Flametongue Kavu》
3《十二足獣/Dodecapod》
2《スキジック/Skizzik》
アドバンテージ型マシーンヘッド
カヴーが最強ならばカヴーを相手よりたくさん使えば良い。単純な理屈だが、このデッキは練習では実に気持ち良く勝てた。4ターン目のカヴーや死霊、5ターン目の墓所天はイージーウィンを多発させたのである。練習でのスコアは9勝2敗。負けたのはドメインとトレンチだが、この2つはノンクリの不利マッチだから致し方ない。
キレイなマナカーブ、デッキパワーも十分、メタられてもいない。これは本番にも相当期待できるのでは…これまでの大会は10位、ベスト8と惜しいところが続いていただけに、大会前日、私は期待に胸を膨らませていた。
しかしながら、実のところ、私はこの時点で、インベイジョンブロック構築環境を全く理解できていなかったのであった。
3 圧敗
1R Belさん(ドロマービート) ✕✕
光栄なことに、初戦を配信卓にて戦うことになった。
残念だったのは全くゲームにならなかった点。1Gは2マリ→《頭の混乱/Addle》を外して実質トリマリ。2Gは2マリ→《ジェラードの評決/Gerrard's Verdict》を打たれてGG。
2R Kimaichiさん(クローシスコントロール) ○○
順調に土地が伸びて、アドバンテージ差をつけて勝ち。
3R Karausaさん(SSS) ○○
無限にカヴーがクリーチャーを焼きまくって勝ち。
4R Basyeさん(ドロマーコントロール) ✕✕
頭の混乱を打ったら、相手のハンドが「嘘真、嘘真、嘘真、ドデカ、ドデカ」!
さすがにバトルメイジをキックするわけにもいかず。ライフを1点まで削った最終盤に余った土地をセットしなかったことで、評決で3点ゲインされて負け。難しいがプレミか。
5R SS Kaihatuさん(BBB) ○✕✕
BBBというか、ステロイドに嘘真と《予言の稲妻/Prophetic Bolt》をタッチしたような構成。《疾風のマングース/Blurred Mongoose》が対象に取れず、火力とマングースで走り抜けられて負け。
6R Kichiさん(ドメイン) ✕○✕
かなりいい勝負だったが、《草茂る屋敷/Overgrown Estate》のライフ回復で粘られて負け。
7R Maruさん(SSS) ✕✕
《ガリーナの騎士/Galina's Knight》が一生止まらず。騎士と《予言の稲妻/Prophetic Bolt》で駆け抜けられて負け。
ということで特に良いところなく2-5。
4.反省
「デメリットとしては、能力が強制であるため、戦場に相手のクリーチャーが1体もいないとき(またはすべてが被覆や呪禁を持っているとき)に戦場に出すと、自分のクリーチャー(最悪自分自身)を犠牲にせざるを得ない点が挙げられる。もっとも、当時はビートダウンデッキが主流であり、また中盤以降に自分の小粒クリーチャーを犠牲にしても元を取れる程度にはなるので、完全に腐るということはそうそうなく、強力さに比べれば些細なデメリット、という認識の方が強かった。」(MTG Wiki)
前に述べたとおり、インベイジョンブロックは青が強い環境であり、反論や攪乱など、明確な青対策がサイドに取られる。一方で、カヴーには対策がないのだろうか?
もちろんそうではなかった。カヴーの本質は「《炎の斬りつけ/Flame Slash》内蔵クリーチャー」ではなく、「豪華なおまけ付きの《炎の斬りつけ/Flame Slash》」なのである。カヴーは相手がノンクリであったり、全員が被覆やプロテクション持ちであったら場に出せない。それは確かに極めて例外的な状況なのだが、その例外的な状況を意図的に生み出す環境こそがインベイジョンブロック構築なのだ。
思えば、カヴーは15年間、常に私のキューブの優等生であった。クリーチャーの質が年々上がっていく中で、カヴーに似たクリーチャーはカヴーの後にもたくさん作られたが、カヴーに匹敵するクリーチャーは一つもいなかった。カヴーこそは「唯一抜きんでて、並ぶもの無し」なのだった。そのカヴーが活躍できないとは・・・
カヴーの後継者たち
さらに、もう一つの問題こそがこのデッキの真の欠陥であった。それが《十二足獣/Dodecapod》問題である。
こいつさえいなければ…
あまり練習では《十二足獣/Dodecapod》をガッツリ取ったデッキと戦わなかった。それが私に油断を生んでいた。
「相手のハンドにドデカがあることで、私はスペクターを走らせることも、バトルメイジをキックすることもできない。しかし、相手もドデカをキャストすると、ハンデスを食らうし、カヴーの餌になるので、場に出すことはできない。つまり、お互いに見合いの状態になるのだから、それはそれでいいのではないか?」
そう思っていた。だがそれは致命的な思い違いであることがやっていくうちに分かった。確かにハンデスと《十二足獣/Dodecapod》は一見見合いである。しかし、ハンデスは私のメインプランであり、アドバンデージの中核であるのに対し、《十二足獣/Dodecapod》は単なる対策カードであって、相手のメインプランでは全くない。相手のメインプランが《嘘か真か/Fact or Fiction》や《予言の稲妻/Prophetic Bolt》である以上、マナが伸びて追加のカードを引くことで不利になるのはこちらである。
もちろん、サイドボードでハンデスを抜くことはできるだろうが、スペクターとバトルメイジを完全に抜くことはできない。そもそもこのデッキはハンデスとカヴーでコツコツアドバンテージを稼ぐデッキなのだから、両方使えないならばただの遅いビートダウンである。
インベイジョンブロック構築のグランプリでは、アポカリプス登場後、ほとんど赤黒系のデッキは姿を消してしまうが、思うに、アポカリプスの他のいかなる強力なカードにも増して、《十二足獣/Dodecapod》は致命的だったのだ。私は20年の時を経て、インベイジョンブロック構築のメタゲームを確かに追体験していた。
5 終わりに
つらつらと書いてきて、見直すと、やはり「駄文・・・」という感想を拭えませんが、4000字ほど書きましたし、一応供養のために投稿しておきます。
最後になりますが、主催の添削様、運営の皆様方、参加者の皆様方、誠にありがとうございました!毎回楽しく参加させて頂いて感謝の念に耐えません
それでは、次回添削杯にてお会いしましょう!
以上