幸せとか生きる意味とか
離婚したときもそうだったけれど、元夫が亡くなってからも、何人もから言われた。
「あなたは幸せにならないといけないよ」
なぜみんな「幸せにならないといけないよ」と言うときに「いい人見つけて……」と再婚することをセットにして言ってくるのだろう。
離婚に至るまでつらかったりかなしかったりすることが長く続いて、心も身体も病気になった時期もあった。
別れたことは好きな人と一緒にいられなくなることだったけど、そのかわりに気持ちが軽くなったし、自分の行動が自由になった部分もある。
友人から、もう結婚はしなくてもいいと思えるのは、結婚、妊娠、出産、子育て……一度全部経験したからだよと言われて、まあそうかとは思ったけど、それにしても、幸せと結婚がセットになった考えかたをしている人の多いことよ。
そもそも、幸せってなんなのか。私は特にいいことがなくても日常の繰り返しで暮らしていくだけで不満はないのに。
人間誰もが、誰かのために献身的にとか、社会になにか大きく貢献するとかを生まれてきた意味にしないといけないとでもいうのだろうか。それを果たすことが幸せだと。
なにか成し遂げることもなく、迷惑をかけない程度に適当に生きて死んでいくだけでもいいじゃないか。
私は、時々面白いことを見つけたり美味しいものを食べたり、もうそれだけでも充分だ。人生のステージとしては多分もう「老後」に入っているのだろう。
(さみしくもかなしくもなく淡々と)