2022年上半期自選短歌~『うたの日』より~
最近は泣くこともなくなってきた透過していく君の残像
2022年06月19日『泣』
やめてよと言うほどの仲じゃなかった靴を踏むのも歩き煙草も
2022年06月10日『自由詠』
やさしさがかなしいときもあるもので温水暖房便座のぬくさ
2022年05月31日『座』
学校に来れなくなった級友のおきっぱなしの柔道着がくさい
2022年05月28日『柔』
六月のシャルル・ド・ゴール空港で会う約束があるのと君は
2022年05月27日『月』
ままごとならお隣さんの役ぐらい私はいてもいなくてもいい
2022年05月20日『まま』
ざんねんないきもの事典に載るならば「無駄に声だけいい」と書かれる
2022年03月12日『残念』
転入学願書の写真は700円最後に一度制服を着た
2022年03月11日『願』
行き掛けにベンチに忘れたマフラーがいま裸婦像に巻かれています
2022年02月13日『像』
安いものばかりを選ぶ 本当にだいじなことが何か忘れて
2022年01月30日『忘』
(寿々多実果)