ATP1000テニス マイアミ大会の準々決勝 アルカラス 対 フリッツ
マイアミ大会の準々決勝の組み合わせの中で、アルカラス対フリッツはあまり見た記憶がない組み合わせだが、どのようなテニスをお互いがするのかとても興味深い。
カルロス・アルカラスは、スペイン出身で19歳、183cm、ATPのランキングは1位、この大会では第1シード。フォアもバックもグランドストロークは、トップスピン系で安定していて、ボールは速く、重く、伸びがある。そのため、ドロップショットも得意でよく決まる。サーブもレシーブもフットワークも素晴らしいものがある。特に弱点は見当たらない。精神的にも安定している。
テイラー・フリッツは、米国出身で25歳、196cm、ATPのランキングは10位、この大会では第9シードで、ATP1000の優勝経験は1度。フォアもバックもグランドストロークはフラット系で速く、重く、安定している。サーブが特に強く、大きな武器になっている。長身にしては、フットワークは良い。
二人の対戦はこれまでなく、初対戦となる。どちらのストロークが勝っているか、どちらのフットワークが優れているか等、この試合はとても面白くなるだろう。
第1セットの第1ゲームは、フリッツのサーブではじまる。フリッツのサーブが良くない。30−40でブレークされる。第2ゲームは、アルカラスのサーブだがフリッツのレシーブもよく、40−30まで粘るが、アルカラスが逃げ切る。
第3ゲームはフリッツのサーブが良かったが、アルカラスはしつこくレシーブをして、ジュースとなる。フリッツは、前に出てきたアルカラスに対して絶妙のロブを上げ、やっとキープした。このゲームは8分以上かかっている。アルカラスのサーブで第4ゲームとなる。フリッツは、30−40と追い詰めるが、アルカラスがドロップショットを何回も繰り返し、キープする。
第5、6、7、8ゲームはそれぞれキープ。第9ゲームはフリッツ3−5のサーブだったが、フリッツがキープ。第10ゲームはアルカラスの5−4でサーブだったが、40−15でキープ。
第1セットは、アルカラスの6−4で終わる。フリッツの完敗だったが、内容はスコアほどではなく、ブレークチャンスを何回かつかみながらモノにできなかったのは、残念だった。また、ベースライン近くを狙ったフリッツのボールが外れていたことも多かったが、これはフラット系のショットの宿命なのかは不明だった。フリッツは、もう少しトップスピンをかけたショットを多用した方が良いような気がするが、、、。
第2セットの第1ゲームは、フリッツのサーブで始まったが、第1セットと同様にここでも早々とブレークされる。アルカラスのリターンのボールが素晴らしかったのだが、、、。第2、3、4、5、6ゲームは、両者のキープとなった。第7ゲームはフリッツの2−4でサーブだった。ここで再びアルカラスにブレークされた。この時点で、フリッツの負けは決定的になった。第8ゲームは、アルカラスの5−2でサーブだった。ここでは、フリッツは勝負を諦めたようで、ベースラインオーバーのショットが多く、40−0でアルカラスのキープとなった。
結局、第2セットも、アルカラスの6−2で、フリッツは、4−6、2−6のストレートで敗れた。第1セットはそれなりに面白かったが、第2セットは全く面白くなく、アルカラスの良さだけが目立った。
フリッツは、もう少しトップスピンをかけたショットにして、ベースライン近辺のストロークを安定して欲しい。もちろん、今でも十分に安定感はあるが、さらに上を目指すには必須だろう。また、どこか勝負に対して執着心が少なくあっさりしているところも気になる。何本かの頭上を超えるロブはとても見事だったが、、、。
一方、アルカラスは、特に言うことは見当たらない。強打の持ち主なのに、それに頼らず、ドロップショットを絶妙のタイミングで放つのも心にくい。フットワークもサーブも素晴らしいの一言の尽きる。当分の間、誰であれアルカラスを破るのは難しいだろう。
他にもATP500,1000の面白い試合の観戦記を載せています。