第二巻 巣立ち 7、親友との出会い
7、親友との出会い
※この小説は、すでにAmazonの電子版で出版しておりますが、より多くの人に読んでいただきたく、少しづつここに公開する事にしました。
新しい校舎ができて、本格的に授業が始まった。始まって直ぐに、伊山が声をかけてきた。彼も西高校を落ちて、練馬高校が近いのでここに来たらしい。話してみると、彼は優秀だった。いかにもエリートというタイプだった。両親ともに高校の先生で、今は親父さんだけが働いているという。
いろいろと話をしてみると、気が合いそうだった。入学式の後の出来事を散々言っていた。自分は意気消沈して入学式に行ったのに、元気がよくて担任にくってかかる奴がいたので驚いたとか。実は俺も意気消沈していたが、兄貴がいてハッパをかけられて元気になったことなどを話した。彼にはお姉さんと妹さんがいたが、男は一人なので、両親は期待しているみたいだった。
新校舎に移って早々、五十番くらいまでの成績順位が廊下に張り出された。中学までにはなかったことだった。まだ、学年での試験はなかったので、入試の結果を集計したものだと直ぐに分かった。俺は、例の国語の結果もあったのであまり見たくなかったが、しょうがなく見に行った。
ところが、結果を見て驚いた。俺が一番で、伊山が二番だった。俺は今まで、成績は上の方だったが、学年でのトップというのは初めてだった。さらに、俺と伊山で上を独占したのにも驚いた。伊山いわく、「俺たちがトップかよ、できねえんだなあ、この高校は」。伊山はそう言いながらも、まんざらでもない顔をしていた。俺は、気分は悪くなかったが、毎度こんなことをするのかよ、という気持ちの方が強かった。その後、何回かはこの種の成績掲示があった。以後は、多くのトップは伊山だった。俺は、それより下をウロチョロしていた。
高校で 初めて会ったおまえだが 今では共に 古希を越えたな
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