ATP1000テニス マイアミ大会の準決勝 アルカラス 対 シナー
マイアミ大会の組み合わせの中で、このアルカラス 対 シナーが最も面白いのではないかと予想される。この若い二人のスーパープレーの連続、超スピードストローク合戦の熱戦を期待している。
カルロス・アルカラスは、スペイン出身で19歳、183cm、ATPのランキングは1位、この大会では第1シード。今季18勝1敗。フォアもバックもグランドストロークは、トップスピン系で安定していて、ボールは速く、重く、伸びがある。そのため、ドロップショットも得意でよく決まる。サーブもレシーブもフットワークも素晴らしいものがある。特に弱点は見当たらない。精神的にも安定している。
ヤニック・シナーは、イタリア出身で21歳、188cm、ATPのランキングは、11位、この大会では第10シードで、今季20勝4敗。。フォアもバックもグランドストロークは素晴らしい。ボールは、ライジングを打つたことが多く、非常に速い。サーブもレシーブもフットワークも良いが、左右に動く時に体のバランスが良くなくなる時があり、そのためにリターンが左右に外れる時がある。いずれアルカラスとチャンピオンを争うことになるだろう。
二人の対戦はこれまでアルカラスの3−2で、どちらも高速ストロークを得意とする若手のプレーヤーなので、スーパーショットの連続となり、この試合はとても面白くなるだろう。
第1セットの第1ゲームは、シナーのサーブではじまる。シナーのサーブは良いのだが、アルカラスのレシーブも良く、ジュースまでもつれる。アルカラスは、シナーとの試合の時は、第1ゲームからアタックをかけて、シナーの調子が出る前にブレークを取ろうとする戦略が見える。しかし、シナーはなんとかキープ。第2ゲームは、アルカラスの0−1のサーブだが、アルカラスのディフェンスが良く逃げ切る。
第3ゲームはシナーの1ー1でサーブが良く、キープした。アルカラスのサーブで第4ゲームとなる。シナーのリターンが良く、30−40からシナーがブレークする。ゲーム数は。シナーの3−1。第5ゲームは、シナーのサーブで、シナーは特に速いボールの処理がうまく、キープした。
第6ゲームは、アルカラスの1−4のサーブで、シナーのストロークが速く、アルカラスが苦戦する。アルカラスは、得意のドロップショットで対抗して、ジュースとなる。7分近くゲームはかかり、アルカラスがやっとキープした。ゲーム数は、シナーの4−2で、第7ゲームは、シナーのサーブとなる。シナーも調子はよく、25回も続く打ち合いを制していた。しかし、ブレークされてしまう。第8、9、10ゲームはそれぞれキープ。
第11ゲームはシナー5−5でのサーブだったが、ブレークされる。これで、勝負はあったかと思ったが、第12ゲームはアルカラスの6−5でサーブ。シナーは、セカンドサーブをアルカラスの足元に返し、ジュースに持ち込む。アルカラスは、珍しくファーストサーブが入らない。9分近い攻防は最後にシナーがブレークして、タイブレークに持ち込む。タイブレークは一進一退だったが、最後にシナーが、ミニブレークを許して4−7となり、第1セットはアルカラスが制した。
第1セットは、ほとんど互角で、とても面白い試合だった。アルカラスは、左右の速い動き、安定したフォアとバックのストローク、絶妙のドロップショットなど相変わらず素晴らしい。シナーは、同じように左右の速い動き、ライジングを打つ速いリターン、速いサーブとそれに続くボレーなどやはり素晴らしい。シナーは、アルカラスを破ることができる、ただ一人の若手なのかもしれない。
第2セットの第1ゲームは、アルカラスのサーブで始まったが、珍しく早々とブレークされる。第2、3ゲームは、両者のキープとなった。第4ゲームはシナーの2−1でサーブだった。ここでアルカラスにブレークされた。第5、6、7、8ゲームは、両者のキープが続いた。第9ゲームは、アルカラスの4−4でサーブとなる。アルカラスの絶妙なドロップショットをシナーが拾い、0−40でブレークした。第10ゲームは、シナーのサーブで、ゲーム数はシナーの5−4。シナーのバックハンドのストレートが効いて、キープ。第2セットは、シナーの6−4で終わった。
第2セットは、アルカラスの絶妙なドロップショットに対して、シナーの処理が良くなったのが目立った。また、たまに出すシナーのバックハンドのストレートがアルカラスの左右の動きを惑わしている。これが、シナーの第2セットの勝利の原因だろう。
第3セットの第1ゲームは、アルカラスのサーブから始まった。ここで、またしてもアルカラスは、15−40となり、ブレークされる。第2ゲームは、シナーのサーブで40−0でキープしたが、ここでアルカラスは、右足のひざあるいはももを痛めたらしい。第3、4、5、6ゲームはお互いキープで進み。ゲーム数はシナーの4−2となる。第7ゲームは、アルカラスのサーブで、ジュースまでもつれ込み、7分近くの試合となったが、シナーがブレークした。この時点では、アルカラスの怪我はっきりしていて、それでもあまり動かないショットで何とかして切り抜けようとするアルカラスの執念は素晴らしいものがあった。第8ゲームは、シナーのサーブでキープとなり、ゲーム数はシナーの6−2で終わった。結局、シナーが6−7、6−4、6−2でアルカラスを破った。
この試合は、面白い試合だったが、第3セットにアルカラスが怪我をしてからは少し、興醒めだった。それでもあまり動かないショットで何とかして切り抜けようとするアルカラスの執念は素晴らしいものがあったが、、、。第2セットの終わりの方から、すでに怪我は始まっていたのかもしれない。できれば、二人共に絶好調での試合を見たかったというのが、本音だろう。しかし、この二人の試合は信じられないくらい激しいもので、どちらかが負傷してしまうのは仕方がないのかもしれない。
これは、アルカラスにもシナーにも言えることだが、あまりに速い左右の動きは、足の故障につながる。もう少し、力を抜くことを考えるべきだ。かつてマレーは、拾いまくるテニスを展開して3強が全盛の時代に、ATPのトップに上り詰めた。4強になってから、おそらくマレーが一番早く脱落するだろうと思ったが、やはり股関節を痛めて選手生命を縮めてしまった。テニスプレーヤーにはその人の型があり、なかなかそれを変えることは難しいと思うが、若い二人にはマレーのことをよく考えてほしい。また、負傷したらすぐに試合はやめるべきだ。その時は、お客様のことを考える必要はない。客だって、負傷した選手の試合は痛々しくて見ていられない。
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