ATP1000テニス モンテカルロ大会の準々決勝 メドベージェフ 対 ルーネ
モンテカルロ大会の準々決勝の組み合わせは、メドベージェフ対ルーネ、シナー対ムゼッティ、ルブレフ対ストルフ、チチパス対フリッツとなった。このうち、シナー対ムゼッティは、シナーが6−2、6ー3でムゼッティを退けた。ジョコビッチを破ったムゼッティもシナーには歯がたたなかったという感じだった。ルブレフ対ストルフは、ルブレフが、6−4、7−6で、ストルフを破った。また、チチパス対フリッツでは、フリッツが6−2、6ー4で、チチパスを破った。フリッツのバックストレートがチチパスを沈めた感じだった。ここではメドベージェフ対ルーネを扱う。
ダニエル・メドベージェフは、ロシア出身で27歳、198cm、ATPのランキングは4位、この大会では第3シード。今季は31勝3敗。フォアもバックもグランドストロークは、トップスピン系で安定していて、手が体に巻きつくような独特のスイングのためにボールに伸びがある。フットワークが良く、ディフェンスは特に優れている。サーブも速く、鋭く素晴らしいものがある。弱点は少ない。精神的にも安定している。
ホルガ・ルーネは、デンマーク出身で19歳、188cm、ATPのランキングは8位、この大会では第6シードで、今季は15勝7敗。フォアもバックもグランドストロークはスピンループ系で速くはなく、ベースラインぎりぎりに返すボールが多い。ただし、速いボールが打てないわけではない。サーブが特に強く、速く、大きな武器になっている。フットワークは良い。感じはフリッツに似ていて、もっと鋭い感じがする。強打だけでなく、ロブもボレーもドロップショットも上手い。名前は聞いていたが、見たのは初めてで、素晴らしいオールラウンダーだと思った。アルカラス、シナーと並んで驚異的な若手選手のひとりだろう。アルカラスが終始、力いっぱいなのに対して、若いくせに力が抜けているのが凄い。
第1セットの第1ゲームは、ルーネのサーブではじまる。40−30までいくがキープ。第2ゲームはメドベージェフのサーブでキープした。ルーネのレシーブも良かった。ルーネのサーブで第3ゲームとなる。ルーネは、サーブが良く、ストレートでキープする。特に、ルーネのフォアクロスの浅い角度をつけたショットがすごかった。トップスピンがかなり効いてないと入らないショットだ。
第4ゲームはメドベージェフのサーブだったが、メドベージェフのサーブは良かったが、ルーネのスライスが良くジュースとなる。ルーネのフットワークが軽く、ブレークした。第5ゲームはルーネの3−1でサーブだったが、キープした。
第6ゲームは、メドベージェフのサーブで、本気になって40−0でキープして、2−4となる。第7ゲームは、ルーネのサーブで、フォアのクロスの短いサーブが効き目絶大で、40−15でキープ。第8ゲームは、メドベージェフのサーブで、キープ。第9ゲームは、ルーネの5−3のサーブで、キープした。このゲームでは、30−15でメドベージェフがボールボーイからボールを受け取って壁に打ち付け、罰点を取られ40−15になるところがあった。結局、第1セットは、ルーネが6−3でとった。
第1セットは、ルーネの、ループ状のボールをメドベージェフがベースラインオーバーというのが多かった。ルーネのフットワークの良さが目立った。ルーネの予想外の健闘だった。
第2セットの第1ゲームは、メドベージェフのサーブで始まったが、キープ。第2は、ルーネのサーブで、40−15でキープした。ルーネのドロップショットは、拾われることを前提として、その後のショットで決めるというスタンスのようだ。第3ゲームは、メドベージェフのサーブ。ルーネは、ループ状のトップスピンボールを打ち、メドベージェフの強打を防いでいる。ルーネは、特にこのショットが得意らしく、しつこく繰り返す。メドベージェフは、たまらずベースラインアウトとなり、ブレークされる。第4ゲームは、ルーネの2−1でサーブだった。ここでは、メドベージェフの攻撃がすごく、ブレークとなった。第5、6ゲームは、どちらもキープする。
第7ゲームは、メドベージェフのサーブ。ルーネは、フォアハンドのループ状のトップスピンボール、バックはスライスボールを打ち、メドベージェフの強打を防いでいる。メドベージェフは、ジュースまで持ち込まれるが、何とかキープ。第8ゲームは、ルーネのキープ。第9ゲームは、メドベージェフの4−4でサーブ。メドベージェフのサーブは良いが、ルーネのロブが良く、ジュースに持ち込まれる。最後はトップスピンのループボール合戦となり、メドベージェフがブレークされる。第10ゲームは、ルーネの5−4でサーブだった。ルーネは、ループボール、サーブ&ボレーでキープ。第2セットも、ルーネの6−4で終わる。
結局、ルーネは、6−3、6−4で、メドベージェフを破った。これは、全く意外な結果であった。メドベージェフの完敗だった。それとともに、このルーネという19歳の若者の輝かしい将来を感じた。強いショットも弱いショットも、サーブもボレーもロブも、全てが素晴らしい。さらにフットワークも軽く、速く、力がいつも抜けていてすごい。とても19歳とは思えないショットが多い。ハートも強そうだ。
一方、メドベージェフは、2つ欠点が見つかった。一つは前からわかっていたスライスボールの処理である。特にコルダ戦ではそれがはっきり出た。スライスボールで強打を封じられると、メドベージェフの良さが消える。もう一つ、ループボールの処理だ。普通は、強打を打ち返せば終わりなのだが、ルーネのようによく拾う選手には、格好の餌食となる。さて、メドベージェフはこの欠点をどのように克服するのだろうか?
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