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『荒神』 宮部みゆき
「あれは、ここらのお山の悪気を集めたもののけだ」
【あらすじ】
時は元禄、徳川五代将軍家光の時代。
東北の山間の仁谷村が一夜にして壊滅状態となる。
隣村の永津野の朱音により
かろうじて命を取り留めた少年蓑吉。
実は、仁谷村を擁する香山藩と永津野藩は
関ケ原の戦い時からの因縁があり
互いに牽制しあっている。
奇異な風土病を巡る騒動…
不穏さをはらむこの香山藩に
「怪物」が現れた。
その後永津野藩の領地に現れる。
香山藩では病みついた小姓・小日向直弥や少年・蓑吉らが
香山と反目する永津野藩では
専横な藩主側近の曽谷弾正や
心優しきその妹・朱音らが
山での凶事に巻き込まれていく
![](https://assets.st-note.com/img/1652441421414-hhCiKpf0Wi.jpg)
【感想】★若干のネタバレあり★
私は宮部みゆきさんは「火車」「ソロモンの偽証」など
リアリティがある作品が好きなので
この作品を知ったときは「怪物か…」と遠ざけていました。
1か月ほど前にビデオで「シン・ゴジラ」を観て
そのあとにオタキングこと岡田斗司夫氏のYouTubeで
「シン・ゴジラ」の解説とともに、
この本を紹介をしていたので
読んでみようと思ったのです。
岡田氏は「庵野くんは、この本を読んでシン・ゴジラを作った」
と言っていたので読んでみると…
いや、その形態と進化は…「シン・ゴジラ」やん!!
なるほどと思いました。
小説に現れる怪物は人が作ったもの
人はいつの時代も自分の領土を守るために
怪物を作り出していきます。
荒神の世界…江戸時代では術による怪物であり
今の世では科学による核兵器や化学兵器です。
物語では人が作ったものが、人を襲い人の手に負えなくなります。
兵器もそうなっていくのではないでしょうか。
直弥はこう言います。
「こうしたことをみんな、誰も悪いと思って
しているのではない。よかれと思ってやっているのだ」
我が藩の領民のため、大事な家族のため、
この地に生きる民を守るため
と続きます。
これをエゴだな…と思ってしまうのは簡単。
よく考えてみると、私自身も「私が」「家族が」と
範囲の大小はあれども
エゴの塊やん!!
「私(だけ)が」から「私も(あなたも)」の発想が必要なんですよね。
内田有紀さん主演でドラマにもなっています。
![](https://assets.st-note.com/img/1652441895788-Yqy6DpdnYm.jpg)
560ページ
朝日新聞出版
2014/8/20初版
1034円(税込み)
文庫本あり
著者 宮部みゆき
1960(昭和35)年、東京生れ。
1987年「我らが隣人の犯罪」でオール讀物推理小説新人賞を受賞。
1989(平成元)年『魔術はささやく』で日本推理サスペンス大賞を受賞。1992年『龍は眠る』で日本推理作家協会賞、
『本所深川ふしぎ草紙』で吉川英治文学新人賞を受賞。
1993年『火車』で山本周五郎賞を受賞。
1997年『蒲生邸事件』で日本SF大賞を受賞。
1999年には『理由』で直木賞を受賞。
2001年『模倣犯』で毎日出版文化賞特別賞、
2002年には司馬遼太郎賞、芸術選奨文部科学大臣賞(文学部門)を受賞。2007年『名もなき毒』で吉川英治文学賞を受賞した。
著書
『ソロモンの偽証』
『英雄の書』
『悲嘆の門』
『小暮写眞館』
『この世の春』などがある。
最後まで読んで頂きありがとうございます。