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スイート・ホーム 原田マハ
家は、人が住んで、家庭になる。「ハウス」は、人が人と暮して、時を経て「ホーム」になる。
【あらすじ】
舞台は阪急沿線のとある駅から
バスに乗って2つ目の停留所を降りて
少し歩いたところにある
小さな洋菓子店「スイート・ホーム」
主人公の陽皆(ひな)は、パティシエの父
看板娘の母、明るい妹との4人暮らし。
引っ込み思案な陽皆は、会社勤めが合わず
退職し、小さな雑貨店の店員として働く。
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毎週金曜日の夜にお店に来る男性に
心を奪われた陽皆。
丁寧にラッピングし、見えなくなるまで
お見送り。
これはどのお客様にもしていること。
パティシエの父もお店の外に出てきて
お客様を見えなくなるまでお見送りする。
親子なんだなぁ。
ある金曜日、男性は可愛いモフモフの靴下を
「これ似合うかな」と呟きながらご購入。
きっと彼女へのプレゼントなんだ…。
と気持ちが萎む陽皆。
男性への気持ちが諦めきれなくて
母に相談すると、
「受け入れられるかどうかと、
気持ちを伝えるかどうかは、
全く別なもんなんやで」
と後押しされ、父のアドバイスを受けながら
初めてケーキを作った。
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意を決して金曜日に職場にケーキを持って
働く陽皆。
その日は何故か男性は現れなかった…。
【感想】
とっても暖かい心がふわっとなる8つのお話です。
主人公は洋菓子店「スイート・ホーム」に
関わる人たち。
こんなお店があったら、入り浸ってしまうなぁ。
家族関係やご近所さんとの関係も理想。
私自身、昨年マンションに引っ越して、ご近所さんとのお付き合いも
無くなってしまったからか、
この本の描かれている家族関係や人間関係を
とても羨ましく感じました。
あっという間に読み終えたのは
原田マハさんのストーリーだからかな。
絵のキュレーターを活かした話よりも
私はこちらのマハさんが好きです。
連作短編集なので、読みやすく
ハートフルな物語でした。
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253ページ
ポプラ文庫
2022年4月5日初版
700円
電子書籍あり
著者 原田マハ
1962(昭和37)年、東京都小平市生まれ。
関西学院大学文学部日本文学科および早稲田大学第二文学部美術史科卒業。
馬里邑美術館、伊藤忠商事を経て、森ビル森美術館設立準備室在籍時、
ニューヨーク近代美術館に派遣され同館にて勤務。
その後2005(平成17)年『カフーを待ちわびて』で日本ラブストーリー大賞を受賞しデビュー。
2012年に発表したアートミステリ『楽園のカンヴァス』は山本周五郎賞、R-40本屋さん大賞、TBS系「王様のブランチ」BOOKアワードなどを受賞、ベストセラーに。
2016年『暗幕のゲルニカ』がR-40本屋さん大賞、
2017年『リーチ先生』が新田次郎文学賞を受賞。
著書
『本日は、お日柄もよく』
『ジヴェルニーの食卓』
『デトロイト美術館の奇跡』
『たゆたえども沈まず』
『常設展示室』
『風神雷神』などがある。
最後まで読んで頂きありがとうございます🍀