オートカムオーガズムを検知してからの再現VTRについて
世界中の透明なものをコレクションしている村一番のへんてこりん「グウ」はすべてのハッピーヴォイドが閉じられた危険な世界へ足を踏み入れようとしていた。そんな中チーム一のニコニコ製造装置「ゴロウ」が両手にマークスタンプシンボルソードを持って、夢幻刻印戦隊のボス「まろん」を生け捕りにする任務が与えられた。
グウが集めているスケルトンマテリアルは町外れにある巨大なビニールハウスの中で暮す一族「スケピカ族」によって、クリスタルフィジカルと交換してもらえる。たくさんのクリスタルフィジカルをスートごとに集めてコレクションするとそれに応じたクリスタル人間を手に入れることができる。ガラスコインは形のないリソースを可視化したものだ、それらを数える時に使用する単位と変換することでこの世界へ爆速的に浸透していった。彼らにとって互いのコインを何百万枚も交換することは挨拶のようなものに過ぎないのだ。それはまるでどちらが透明なのかを競う新しいソウルスポーツの一種のようだと噂されるようになった。
アカウントに紐付いているオートカムには様々な機能が存在し、アカウント登録された本人の生活をフォローし、監視する。オートカムにはクリスタル人間を視認できるものと、そうでないものがある。オートカムのポケットには世界から集められた様々なリソースを収めることができる。その中でも代表的なものはレインボーフードだ。レインボーフードとは無限に無償に与えられた新しい食品、リソースの一つ。レインボーフードは自分以外の他人からでしか手に入れることができない。
思えば完全否定観念が爆裂にひっくり返し、擬似初期衝動はやや青みがかった風をいっぱいに吸い込んだ。ストレートストロングストイッカーがその始まりの約束をふいにして方角を変えるなんて。僕は簡易式暴力発火ブラスターが暴発しないかだけ確認するように血管の浮いた右腕を押し伏せた。ウルトラ万物とハイパー虚空、その佇まいの全エキスを希釈しながらフィーリングエコー受容体を活性化させることに成功した。
その夜、ロマンサイケネオポップアドバイザーとしてオートカム破壊代行業を営む妹の「さくろこ」に相談した。長い間、僕のまわりをうろついていたオートカムを破壊した瞬間、溜め込んでいたガラスコインやレインボーフードが仮想ホルモンとして体内に逆流しとてつもないオーガズムに達するという。そのあと、大概の人は芝生に寝転んで空を見ながら、今後一生何もしないと決意するのだという。