貧民ルール統一化計画
車検場へ向かう車内。
妙に高校時代のトランプゲーム「貧民」のことが思い出される。
休み時間の度に決まった4人で狂ったようにやっていた時期があった。
これが実に奥が深い。
4人のメンバーの一人は、後に社債投資のプロフェッショナルになり、サラリーマンにも関わらず、
年収2000万オーバー。
そして面白いことに成績は俺と同じく底辺で、最終学歴は進学校ではずいぶん物足りない。
超エリートサラリーマンになった彼は言った。
「貧民の方がよっぽど難しい」
残るメンバーのうちの一人も、
このコロナ禍でどうなったかはわからないが、
少なくともコロナ前は、飲食店を10店舗近く経営し、
完全に悠々自適な社長業という感じであった。
そんな思い出の「貧民」
素晴らしいトランプゲームなのだが、
ネックになるのが、ご当地ルールの相違だ。
ただ、はっきりと言えることは、
俺ら4人のルールが間違いなく最高にエキサイティングであるということだ。
・スペードの④を持っている人から始まる
・無敵カードは⑧を含む連番のみ
・⑧流れは⑤2枚で止めることができ、その⑤2枚は⑥2枚で止めることができ、その⑥2枚は⑦2枚で止めることができる(⑧と⑥2枚を持っていると妙に興奮した)
・②は③2枚で止めることができ、ジョーカーは③3枚で止めることができる。
・⑧2枚は⑤3枚、②2枚は③3枚で止めることができる。
・片方縛りあり(両方縛りは昔の先輩の名前を使い「りょうじ」と言っていた。しかし、代々引き継がれていた「りょうじ」であったので、誰なのかはわからない。」
主要なルールはそんなところだ。
ビリがトップに100円を払うシステムでやっていた。
当時、携帯電話を持たせてもらう代わりにお小遣いが存在しなかった俺にとって、
まさに一戦一戦が真剣勝負で、本当に集中して真剣にやっていたのを思い出す。
手札が配られ、まず考えることは
1位を狙えるのか?狙えないのか?ということ。
手札が極めて良い時には
確実に勝つための展開を鮮明にイメージする。
手札がそこそこ良い場合は
リスクを背負って1位を狙う価値があるのかどうかを猛烈に悩む。
手札がイマイチの時には
絶対にビリにならないことだけを考え、イメージを膨らます。
手札が最悪の場合、
この手札でビリを回避する方法だけをひたすら考える。
例えば、③2枚を最後の最後の②を止める用に使い、②と⑤を持つライバルの②流れから⑤を阻止することだけに注力する。そして、一騎打ちになった終盤にライバルの②を③2枚で止め、④2枚、⑥、⑤を出し、ビリを回避するのだ。
見事に作戦がハマると、トップになり100円を手に入れた時と同様の高揚感を得ることが出来る。
むしろそれ以上かもしれない。
勝てる時にキッチリ勝ち、負けそうな手札でも負けない。
当たり前のことだが、収支を安定化させる唯一の方法だ。
あー懐かしい。
あれから20年以上過ぎ、まだ鮮明に残っているということは、きっとあんなくだらない日々をこれからの人生でも何度となく思い出すのであろう。
あー愛おしい。
かとっぱる、岩本、名倉、元気にしているか?
俺は今日、猛烈にあの日々を懐かしんでいるぞ。