減塩Lab.10 「減塩とは、味覚を司る脳とのバトル」
減塩をしています。食事における食塩の摂取量を1日6gにおさめるよう、日々、心掛けています。
ひとつ前の記事;減塩Lab.9「無自覚に摂る塩を減らすには、自炊」
減塩とは、食事で摂る食塩を減らすことです。
そして減塩をつづけることは、食塩を減らす作業の繰り返しです。
塩の量を確実に減らすには、食事をつくるとき、塩をどれくらい足すかを知ることが大事かと。なので、減塩するなら料理をする習慣が必要。という考えを、ひとつ前の記事にまとめました。
しかし食事においしさを求めるなら、塩味はなくてはならないものです。そのことは料理をしない人にも明白でしょう。
ゆえに減塩とは、自分のため、親しい誰かのために、おいしい食事をつくろうとしても、味の決め手となる塩というカードを自由に使わせてもらえない。そんなパラドックスなゲームでもあります。
ご存知のように、塩味(えんみ)は味覚のひとつで、甘味(かんみ)、酸味、苦味(くみ)、うま味とあわせて基本味とされます。
ただこれらの味を、味として認知するのは、舌ではなく脳です。舌(と口内全体)で感じ取ったシグナルは、脳に送られて、味になるのです。
その5つの味を、赤・青・黄・白・黒の絵具にたとえると、さしずめ減塩料理は、
赤色を使わず熟れたりんごを描いたり
青色抜きで晴れた空を写しとったり
黄色以外の絵具でみずみずしいレモンを再現したり
することに、近い作業ではないかと思っています。つまり、
これは漬物ですよ。と出しても、塩をほとんど使っていない。
チャーハンをつくりました。と言っても、塩を一切使わない。
というような。
すなわち減塩とは、塩味を欲しがる己の脳をいかに欺くか。という、バトル・オブ・マイ・オウンなゲームにもなり得るのです。
そんなことをするのを、無意味とするか、興味深いと思うかは、人によるでしょうけれど、私にとって減塩は、間違いなく、病みつきになる作業なのです(3年半弱も飽きずにやっているのですからね・笑)。