地底のドラゴン退治
地底といっても今回もウチの地下の音楽室の話。
実はだいぶ前から定在波(フラッターエコー)が出ていることには気付いていて、というよりこの部屋を作った時点では手を叩くと反射が酷くて、あら向こう何十年とローンを払うというのに失敗したか?と焦ったものだ。
まぁ、響かないのを響かせるのは大変そうだけど、響くのを吸収するのはやりようがありそうだからまだ良いか!と思ったことを懐かしく思う。
引っ越してから作り付けた棚をLPで埋めて行くと少しは響かなくなった。そもそも作ってからいろいろモノを運び込むわけだから最初から上手くいくわけはない。
それでも部屋の真ん中で手を叩くと「パンパーン」と鳴き竜状態。(あ,すみません地下に住むドラゴンの正体が早々に 汗)
そんなわけで車を走らせて布を買って来てシステムの後ろ側に天井から吊ってみた。そうしたら手を叩いても竜が鳴くことは無くなった。「ヨシヨシ!」と思って25年、つい数年前、つまりはコロナのおかげでオーディオの趣味が大々的に復活してからのことだが、レコードが片面終わって掛け替えに行こうと椅子を立って針を上げた。その時僕は火の点いていない煙草を咥えていて(その頃僕はまだタバコを吸っていて)おもむろにIC点火式の百円ライターで火を点けた。するとライター点火の「パチッ」という音が「パチッチッ」と響いた。フラッターエコー。スピーカーのバッフル面から80cm手前からは左右にLPの棚があるのだがその80cmの間は左右並行の壁が残っていたのだ。まさかスピーカーとそんな至近距離で音楽を聴く事はないのでうかつであった。
それでもしばらくの間は色々と楽しくいじっていたので、たまにシステムのそばで手を叩いては「あーこれなぁ…」なんて思いながら放っておいた。
何事にもタイミングというのがあるようで、きっとその時がタイミングだったのだろうということにしておくが、その時の休みにコレはコレでまたタイミングを合わせて吸音材を発注しておいた。
昼前に着荷したがおもむろに貼っていくほどの度胸も無いので(貼りすぎて響かなくなってもきっとつまらなかろう)画鋲で市松模様に貼ってみて、左右で貼った位置の正面は貼らないとか色々やってみた。当然フラッターエコーは消えたが止めどころが分からず、結局は届いた分を全て貼ってしまった。
ドラゴンはめでたく退治され、しかも音の感じは大きく変わらずにベースのラインが明確になったかな。スタジオのレコーディング時のエコーがよく聴こえるようになったか。
きっとこんなのにも慣らしはあるのだろうし、わかっていたのは唯一、その日からまた聴き慣れた同じ盤が頻繁にターンテーブルに乗るということ…。
なんかカッコよくなったしな!