見出し画像

”Social Mirai Design”「激変する時代の未来デザイン」(第6回)

今回の講義は、ビジネスプロデューサーの小野裕之さんでした。
ソーシャルデザインをテーマにしたウェブマガジン「greenz.jp」のスタートアップ、その後、ソーシャルデザインやまちづくりに関わる事業開発・再生のプロデュースを数々手掛けている方です。
冒頭でgreenz.jpのかつてのタグライン「ほしい未来は、つくろう」は好きだった、との話がありましたが、たしかにいいですね。
さて、今回の講義で興味を持った点を3つの項目でまとめてみます。

1)ソーシャルビジネスは商売にしづらい、をどうクリアするか?
ソーシャルビジネス(地域社会の課題解決に向けて、住民、NPO、企業など、様々な主体が協力しながらビジネスの手法を活用して取り組むもの(経済産業省))は、商売にしづらいという場合が多いです。
社会課題というのは、「それって必要なことだよね。」「良いことだよね。」とみんなが認識しつつも、それに対して積極的にお金を出すところまではいかないんですね。
ソーシャルビジネスを継続していくための「お金」を考えたとき、ソーシャルビジネス単体で考えるとやはり難しいのが現実です。
それをクリアするためには、何かを組み合わせる、掛け合わせることが有効だといいます。
ソーシャルビジネス×企業や行政の予算
ソーシャルビジネス×自分でやるお店
ソーシャルビジネス×製造・飲食・小売
ソーシャルビジネス×自社事業×企業や行政の予算
とかですね。
ただ、他からの財源が入ることで自由度やインパクトが低下するため、そのバランスは重要です。

また、最初の1人がモチベーション高く始めたとしても、やる気を継続させるとか、一定規模以上になっても継続させることが難しかったりします。
だからこそ、チームとして、ビジネスとして、法人として取り組むことが必要で、小野さんの仕事はまさにそこをプロデュースし、伴走支援されています。
多くの事業にずっと伴走するにも限度があるので、「管理できるスタッフを育てる」ことも大切な仕事です。

2)いい店が多いまちは、いいまちだ。
「いいまち」とはどんなまちなのか?まちづくりへの関わり方は、いろいろなアプローチがあります。場づくりであったり、空き家対策であったり、関係性づくりなど様々ですが、そのテコ入れをする「支点」が定まっていないと、全体的にボヤっとした取組みになってしまいます。
小野さんの提唱する「いいまち」はシンプルで、「いい店が多いまちは、いいまちだ」と言います。「お店」を支点にいいまちが形成されていくと考え、様々なお店の立ち上げに関わられています。
中でも「書店」はコミュニティの中心となり得る、とのこと。
さらには「いいお店」をやっていくための学校も。
「お店の学校」
http://omisenogakkou.com/

3)他の事業、他者の事業との関係性で成立する。
単独のお店だけでは、その影響力に限度があります。
社会問題を解決したり、文化や芸術の復興を目的とした複数のお店がそれぞれ関係し合うことによって成立する商店街や、周辺の空き家対策や創造的起業を誘発する商店街をデザインすることによって、相乗効果を生み出し、まちを形成していくことができるのだといいます。
商店街、アーケード商店街というキーワードを聞いて、昔の記憶が蘇りました。
物心ついた時から高校を卒業するまで、僕はアーケード商店街の店舗の2階で暮らしていたんです。アーケード商店街というのが生活の舞台だったんですね。
あたかも当たり前みたいに感じてしまいますが、調べてみると愛知県のアーケード商店街は、愛知県に8つしかありません。
(名古屋市中区大須商店街、名古屋市西区円頓寺商店街、名古屋市西区明道町問屋街、名古屋市中村区大門横丁、豊橋市常盤通商店街、豊橋市花園商店街、一宮市本町商店街、瀬戸市銀座商店街・末広町商店街)
一時はシャッター街と化してしまいましたが、アーケードはまだ残っており、若い人たちが陶器、カフェ、ギャラリー、ゲストハウスなどのお店を始め、店の入れ替わりが進んでいます。(http://www.setomachi.com/shotengai/syotengai/ginza/
ちなみに、複合店舗などで「コンセプト」を設定することがあると思いますが、「コンセプトって上滑りすることがあるよね。」という話もありました。
スタート当初はいいですが、やがてプレーヤーが変わると、コンセプトだけが残り、コンセプトに変に合わせようとしていくネガティブな影響がある、という話は実践者ならではの視点だなと納得しました。


※小野さんがプロデュースに関わったお店をいろいろと紹介していただけました。

リトルトーキョー「もうひとつの肩書が持てる街」
https://motion-gallery.net/projects/littletyo
おにぎり屋ANDON(秋田米の6次産業化)
https://andon.shop/
ビールが飲める書店「B&B」
http://bookandbeer.com/
「BONUS TRACK」
https://bonus-track.net/

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?