壊れてないものを直すな
英語のことわざに“If it ain’t broke, don’t fix it. “(壊れてないものを直すな)というものがあるそうです。
そのままで正常に動くものに、改良をしようと手をくわえることは間違いであるという意味です。
より良い方法などを追及し、改善していくのは良いことですが、そもそもの基本、本質がわかっていないのにいじくりまわした結果、以前よりもパフォーマンスが悪化してしまうということが多々ありますよね。
1977年、ジミー・カーター政権時に行政管理予算局の要職を務めたバート・ランスは、当時の政府が問題のある分野には資金を向けず、問題のないところばかりに投資していることを皮肉ってこの言葉を発しました。
つまり、状況をわきまえずに既存の物事に手を加えると、無駄な損失を増やすだけであるということです。
この法則はよく、2010年の大手アパレル「Gap」のロゴ変更の騒動に例えられます。
2010年10月4日にGapは新しいロゴを発表しましたが、ネットで多くの批判と攻撃を受け、わずか1週間後の10月11日に新しいロゴを撤回し従来のロゴを使用することを発表しました。この事態は多くの制作費や広告費だけでなく顧客の信用さえ失いかねないものとして、担当役員が責任をとって辞任しました。
人はついつい、新しいものは古いものより優れていると妄信したり、手をかけてあげればあげるほど、何もかもが良くなるはずだと考えていたり、壊れていないものまで直そうとしてしまうことがあります。
Windows10が発表されてアップグレードしたら、結果的にいろいろな不具合が起こってしまったり、標準体形で健康なのに「もっと痩せたい」と無理なダイエットをして身体に不調を起こしたり、私達の日常にも多々あるのではないでしょうか。
未来や変革といったフレーズに踊らされ過ぎず、「今に満足する」「今日に感謝する」という視点を持ったり、身の回りを再確認して「壊れていないもの」を見つけて、感謝の念を抱くことも大切ですね。
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