【マーケティング基本用語】STP-4P ②S&Tについて深掘り
マーケティングででてくるSTP-4Pって、何がポイントなの?
前回の記事では、『STP-4Pが全体が整合している事が大切』と紹介しました。
このnoteでは、S&T(SegmentationとTargeting)について深掘りしたいと思います。
STPは、
Segmentation セグメンテーション
Targeting ターゲティング
Positioning ポジショニング
の頭文字を取ったもので、市場をセグメントに分け、特定の市場をターゲットとして置き、そのターゲットに対して自社製品の立ち位置(ポジション)を確立していくことで、効率良くビジネスを進められるという考え方からきているものです。
企業が持つ資源は有限です。
宣伝費が無限にあり、人的リソースや時間に制限がなく、競合もいなければSTPを考える必要はないでしょう。しかし、全人類に自社品を宣伝して、売り上げや利益を最大にする事は現実的ではなく、効率的に顧客に届けなければなりません。その際に、STPの考え方が役に立ちます。
STPの概念は以下の感じです。
Segmentation
では、Segmentationから解説していきます。
Segmentationは、市場を切り分けることです。
区切り方に決まりはなく、年齢、性別、年収、家族構成、趣味、ライフスタイル、居住地、など様々で、組み合わせて使います。
ここで大切な事は、切り分けた1つのセグメントが『同じタイプのニーズを持つ集団』になっているかどうかです。
例えば、私たちがキャンプ用品メーカーのマーケターだった場合、
年齢✖️性別 もしくは キャンプ用品の購入歴✖️年収
を、切り方の候補とするとします。
20代男性 と、キャンプ用品を最近買った年収500万代の人 だと、前者より後者の方がキャンプ用品に関しては同質のニーズを持ってそうですよね。
一方、私たちがコーヒーメーカーの場合、
同じく、年齢✖️性別 or キャンプ用品の購入歴✖️年収を切り口として、
20代男性 と、キャンプ用品を最近買った年収500万代の人
でみたときには、後者はコーヒーに関しては最適なセグメントとは考えづらいと思います。(ここを狙う戦略もありですが、かなり変化球ですね)
マーケターにとって、切り口に何にを選ぶかがとても大切です。
切り口を、年齢や性別といったありふれたものだけにすると、顧客の解像度が低くなり、誰にも刺さららない商品が生まれるきっかけとなり、プロモーションも無駄打ちとなり、余分なコストがかかります。
一方、細かくしすぎると市場が小さくなりビジネスにならない、となります。
この塩梅、バランスが難しく、マーケターとしてのセンスが必要になる部分です。
セグメンテーションの切り口は以下のようなものが代表的です。
地理的変数(地方、気候、エリア特性)
人口動態変数(年齢、性別、家族構成、所得、職業)
心理的変数(ライフスタイル、パーソナリティ)
行動変数(求めるベネフィット、使用率)
最近だと顧客データが色々なところから取れるので、多様なセグメンテーションが可能になりました。SNS、検索エンジンの使用履歴、購入履歴、ウェアブル端末、など、日々情報が収集されていますね。今の時代は、マーケターにとって取れる情報がたくさんあり、面白い時代と言えると思います。
また、同じ人でも時と場合によって、欲しいものは変わりますよね。
深く考えていくととても複雑で、セグメンテーションはなかなか一筋縄にはいかない事がイメージしていただけるかと思います。
この点については、カスマージャーニーマップを用いてクリアできることも多くありますので、後日ご紹介できればと思います。
Targeting
次にTargetingです。
Targetingは、セグメント分けされたどの集団を狙うかです。
この際、狙う集団を人物像として具体的にイメージできているかが大切です。つまりペルソナとしてイメージできているかです。
『ターゲットはこの集団です!!』で終わりではなく、『たとえばこんな人をイメージしてます。』と、年齢、職業、性別、家族構成、趣味嗜好、悩み、購買傾向などを具体化することを強くおすすめします。
ここが具体的になっていないと、実は存在しない架空の集団を設定してしまったり、ニーズが異なるため本来切り分けておかないといけない集団を1つにまとめてしまっていたり、誤ったターゲティングをしてしまう可能性があります。また、4Pとの整合が取れず非効率な戦術を進めることにもつながります。
人間は一人ひとり違うので、ペルソナを設定したときに、ターゲットの集団とマッチしていないと違和感を覚えることもあるかと思います。その時は集団の定義を変えるか、ペルソナを見直すか、何かしらの手当が必要ですが、ここでマーケターの手腕が問われます。
『この集団を表現するなら、このペルソナだと良い感じだな』と思える状態にしておく事で、戦略戦術も具体的に考えられるようになります。
数値を根拠にするだけでなく、顧客に共感して、ターゲットセグメントに居る人々を具体的に考えることがとても大切です。(ペルソナについてはカスタマーズジャーニーと共に後日記事としてまとめたいと思います。)
一例としてビジネススクール時代に設定したペルソナの例を紹介します。副業ビジネス考察時の資料です。
もちろん、4P等、他の事がまったく決まっていない状態で、ペルソナを作るのは難しいと思います。
前回の記事で書いた通り、STP-4Pを整えていくのに決まった順番はなく、1つの解像度をあげたら他を調整する作業の繰り返しが現実的な手順です。一気にS&Tだけ決めるのではなく、STP-4Pを試行錯誤しながら、徐々に全体を整えていくイメージで進めていくのが良いと思います。
さて、ここからは教科書的な話です。
ターゲティングの留意点としては6Rが有名です。
Realistic Scale 有効な市場規模はあるか?
Rate of Growth 成長する市場か?
Rival 競合はどのような状況か?
Rank / Ripple Effect どの市場を優先して狙うか?波及効果はあるか?
Reach アプローチ可能な市場か?
Response こちらのアクションに対して顧客の反応は測定可能性か?
6Rの活用方法としては、私はRank/Ripple Effectを特に意識します。
人口や地区、インフルエンサーの有無で細分化し、影響力のある市場から攻める、効果が早く出る市場から攻める、これも1種の優先順位付けです。
また、複数のセグメントに対して異なるアプローチで攻める際に、どのセグメントから攻めるか、これも優先順位付けの1つです。
理由ややり方は様々ですが、どのセグメントから攻めていくかを考えておくことも大切です。
ここまで読んでいただき、ありがとうございました。
繰り返しになりますが、S&Tで最も大事な事はターゲットとする顧客を具体的にイメージできているか、です。
顧客を理解し、具体的にイメージした上で、適切なターゲティングを行いましょう。
次回は、Positioningについてまとめます。