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絶望した話

重いタイトルですが、ここで言う絶望は人生に見切りをつけたとかそういうことではありません。何をどうしたらいいかわからなくなり、フリーズした時の話です。ちなみに相続関係の話です。

約10年前、私の祖父が他界し、同じタイミングで母にがんが見つかりました。そしてその治療をどうしようか相談しているくらいの時に、がんに伴う合併症により母も突然死しました。悲しむ前に、私は2人の相続を完了させなければなりませんでした。約10年前の話になります。

1: 相続の手続き

当時は大学病院に勤めていたので母が亡くなった後、教授のところへ行き、経緯を話しました。教授も親身になって相談に乗ってくださり、相続に不安があることを話すと知り合いの弁護士を紹介してくださいました。

電話すればわかるからと言うことだったので、さっそく電話し、その弁護士さんと話しました。50-60歳くらいの声質で、あまり乗り気でない感じが電話越しにも伝わってきたのが少し気になることろでした。

この時、困っていたのは祖父の方でした。祖父は関西に住んでいて、母に会うために東京に出てきたタイミングで体調を崩し、がんが発覚、そのまま入院して亡くなったのです。もともと一緒には住んでいなかったので、細かい資料などがどこにあるかわからない状態でした。さらに株が趣味だったので、それがどれだけあるかわからない、銀行口座もどこにあるかわからないなど、わからないことだらけで困っていたのです。ちなみに母の方はある程度、どこに何があるかはわかっていましたが、具体的な資産額などはわからない状態でした。

電話でそのあたりの事情を伝えると、その弁護士さんは、「わかりました、じゃあ資産がすべてわかったら連絡をください。あとはやりますので」と返事をされましま。「いや、そうじゃなくて、資産が分からないから困ってるんです」と食い下がったところ、「あのねぇ、そういうのは全部、自分で調べてやるもんなんだよ。じゃあそういうことで」と言い、電話を切られてしまいました。

まったく情報のない人の資産を全部、自分で調べるってどうしたらいいんだ。私は、その場でフリーズしてしまいました。これが第一の絶望。

2: 薬局閉院の手続き

母はもともと薬剤師で薬局を営んでいました。経営者が亡くなったので、そこを閉院する必要が出てきます。ちなみに母も自分の病気が発覚して、何かを感じていたのか薬剤師免許の返還等の書類は書斎の机の上に積まれていたので、このあたりは問題なく行えました。

さて閉院に関してです。ネットで閉院する際の窓口(保健所だったか?)を見つけ、そこに電話して、やり方などを教えてもらうことにしました。ちなみにこの時点で経営とか、その辺の私の知識はほぼゼロです。

電話で、母が亡くなり、やっていた薬局を閉めたいことと、自分が素人でどうしたらいいかわからないことを伝えました。電話口の担当者(この人もおじさんでした)は、これしてあれしてこの書類をここに出してください的な感じで、流れをざーっと話し出しました。なんとか聞き取れたのは株主総会を開いてとかそんな言葉のみ。あとは日本語ですが、何を言っているかよくわかりません。しかも若干、めんどくさそう。

「すいません、言ってることがわからないのですが、わかりやすく教えてくれませんか?」と聞くと、「あの、そういうのは自分で勉強して、それから来てください」そう言われ、電話を切られてしまいました。これが二度目のフリーズアンド絶望。

3: その後、どうしたか

相続の方は教授に事情を話し、その弁護士さんはお断りしました。同時に葬儀屋さんに相談したところ、税理士さんを紹介してくれ、その先生と連携している行政書士を介して祖父と母の資産の概要が明らかになりました。驚いたのは初回の面談の際に証券会社から届いたお知らせなどを見せると、それをてかがかりにざっくりした資産のイメージをつかまれていたことです。時間にして3時間くらいだったでしょうか。初回の面談を終えて、大きく安堵した覚えがあります。

閉院の方もその税理士さんに聞いたところ、一緒にやっている別の税理士がそういうのを得意にしているということで、書類作成から細々した手続きまで、すべてその方にやっていただきました。あっという間に話が進んでいくのを見て、さすがはプロだなと思いました。

4: 何を学んだか

最初の弁護士さんの話ですが、これは実は私の方が悪かったのです。あとで分かったことですが、資産調査などは行政書士の仕事、それを受けて税金をいくら払うか計算するのが税理士の仕事で、弁護士は家族内の遺産相続でもめた時などに出てくる役目だったのです。だいぶたってからですが、妻から「内科のお医者さんにきれいなレントゲンの撮り方を聞きに行った感じ」と言われ、なるほどと納得しました。レントゲンをきれいに撮るのは放射線技師さん、レントゲンを見て診断をつけるのがお医者さんということです。

薬局閉院に関してはコメントしづらいですが、最初から専門の人に任せていれば余計なストレスはかからなかったかなと思います。なにぶん当時はネットで調べて、担当者に聞けば自力でなんでもできると信じていたので。

5:やはり納得できないこと

しかし両方のケースとも向こうの言い方にはやはり納得がいきません。弁護士さんの方は、紹介してくれた教授のところに行った際、電話でのやり取りについても話しました。「医者は丁寧に説明しなければ叩かれるのに、弁護士はそんなんで良いのか」とぼやかれていたのが印象に残っています。たしかに医者が略語と英語混じりで病状を説明し、患者から質問されたり、わからないと言われても、「自分で勉強してください」と返していたら大問題になりそうです。

フォローするわけではないですが、弁護士さんにも丁寧に説明される方もいらっしゃるでしょうし、医者でもぶっきらぼうな方はいらっしゃいます。しかし2番目の役所の方の話し方もふまえると、意外と世間では私のような嫌な思いをした方が多いのではないかと思います。

6: 最後に

あれから10年経ちますので、もっと人に優しい話し方をしている人が増えていることを願います。今日も長々とお付き合いいただき、ありがとうございました。写真は、なんとなくどこかの水族館で撮ったえびです。

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