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神戸文学館×「文豪とアルケミスト」ー「文豪」コンテンツと地域文化の未来ー

2024年8月3日(土)神戸文学館×文豪とアルケミストタイアップ企画展「蘇る神戸ゆかりの文豪たち其の参」のトークイベントに当選したので行ってまいりました。
座席の関係で一部プロジェクターが見えなかったりマイク音量の関係で漏れもあります。ゆるく読み流してください〜


会場雰囲気

代表で連れてきた秋声くんと放哉くん。撮影で置いてみたものの強烈な日差しでなんだか拷問の味わいに…

受付をして記念ファイルをいただき、当選ハガキに記載されていた番号の座席へ。スペースギリギリまで用意してもらって全部でおそらく80席くらい定員だったかな?
展示は端に寄せられて会場がつくられてました。

イベント限定クリアファイル。文字だけで日常使いバッチリ!
入口
一部を除いて展示の撮影OK
トーク内でも語られてましたが撮影OKというのは文アルタイアップとその他展示との大きな違いだそう。

第1部「トークセッション」

イベントは休憩を挟んだ二部構成。
前半は企画展3回を通して感じたことについてお話いただきました。

そもそもなぜ神戸文学館でタイアップを企画することになったのかというと、小阪英樹館長が神戸文学館に就任された2021年、たまたま目についたのが焼津記念館と文アルのタイアップチラシ。

チラシに描かれているキャラクター画像を見てなになに?と調べてみて、コンテンツ的に当時の神戸文学館のユーザー層である年配層より若い層を開拓出来そうという期待があったので、本などでよく特集されるいわゆる『文学散歩』的な視点で神戸(近辺)の作家をピックアップする事にしたのだそう。

第一弾は特にゲームを知らない一般向けにも視野を向けて知名度の高い作家をピックアップ。

江戸川乱歩、小泉八雲、高浜虚子、谷崎潤一郎、夏目漱石、堀辰雄、正岡子規、横光利一の8人

他の文学館×文アルタイアップは、『文学館=作家個人』というのが大半なので館側は『作家自身の啓蒙』が理由になる事が比較的多い中、特定の作家の収蔵品や初版本などの稀覯本を持たない神戸文学館は展示こそキャプション中心になってしまうけれど多数の作家を手広く紹介出来るのは珍しいし、強みだと思っていると両者話されていました。そんなこんなで今回の3回目の企画展開催。データも蓄積されました。

部外者公開NGともOKともいわれなかったので載せましたが万一NGと発覚しましたら取下げます。

女性や若年層ユーザーUPに関しては想定内だったものの、県外ユーザーが右肩上がりというのはそれまで市民の施設という位置付けが強かった文学館としてはうれしい誤算だったそう。満足度に関しては次回どうなってしまうのか…と館長さんはむしろ心配されておりました(笑)

継続的にタイアップをしてくださる施設は貴重で、プロデューサーの谷口さんもこういった推移を数字で見たのは初めてかも…珍しいので資料として欲しいと呟いてました。

2回目は泉鏡花、井伏鱒二、内田百閒、幸田露伴、田山花袋、徳富蘆花、森鴎外、吉川英治の8人。
デジタルスタンプラリー開催に合わせ特製の市バス・地下鉄1日乗車券販売もありました。

全3種。当日1枚利用して残り2つはお土産になりました。
清次郎、秋声に続く私の3推しである百閒さんが第2弾の展示で初の等身POP化されたのが神戸文学館初来館の理由でした。

これは私も参加しまして汗をかきかき、服に塩が吹いたぐちゃぐちゃな姿で文学館に到着してアクスタを買った記憶が鮮明に思い出されます…今年はもっと暑くなりましたね…
当時のアンケートでも暑くない時にやってほしいの声多数で申し訳ない…でもゆかりの場所を色々知る事が出来て見て回れて楽しかったとも言っていただけて、神戸のPRにもなるし文学館側も改めて調べる事で神戸に『文学の地』という側面があることを気づかされたのは収穫だったと話されていました。

文アル側も文学・文豪が観光材料になると自覚していて、金沢3文豪スタンプラリーの盛況ぶりに驚いたのは自分たちだけでなく、4局ある地方局が当時すべて取り上げて報道されたのだとか。
(当時私はゲーム未プレイで存在すら知らず、行った人羨ましいなあと思っているタイアップNo.1なのでぜひ次は清次郎を入れてなにかしら…なにかしらやっていただきたい…)

文学館は作家の生家跡などに建つ事が多く交通の便がネックになりがちな場所もあるけれど、神戸も金沢もアクセスが容易で1日で回れる距離にスポットが点在しているのでそのまま観光(旅行)できるのは強みと話されてましたが私もそれは体感しています。
神戸に関してはリピート率も高いのでその人達のSNSから具体的な現地情報を得られてより敷居も低くなっているのではないかな。

文学館はタイアップ後の変化として上記の他に博物館実習の希望者が増えた事。
きっかけを訊ねると文アルきっかけな方がまあまあな頻度でいて、展示について相談したりなんてこともあったそう。
もう一つは他館からの問い合わせが増えた事。
焼津タイアップから神戸につながり、更に横の連携が強まっていくのは嬉しいし、私達からはなかなか見えないことでもあるので興味深かったです。

神戸文学館にとっての文アルは作家と神戸、広くは兵庫の関わりを再整理して『文学作品の入口という役割』という文学館の基礎に立ち戻るきっかけをを作ってくれたこと。
今後も手を取り合っていきたい
とあたたかいお言葉をいただきました。
第4弾にも非常に前向きでお話聞く限りかなり具体的に話されていたので乞うご期待!!という感じ!


第2部「質問コーナー」

休憩を挟んで応募時に募集した質問に谷口プロデューサーが答えます。

Q.直近のファンの反応で印象に残っているものは?
A.文劇の付箋メッセージ読ませていただきました。絵も皆さん上手いですね。

Q.いま興味ある文豪は?
A.朝ドラが決まった小泉八雲。時間帯的にオンタイム視聴は難しいですが…

Q.近々で実装された文豪でずっと実装したかった人はいますか?
A.島田清次郎。地元贔屓もあります。
実装決めた時関係者からも「マジですか?」と言われた(苦笑)石川県立図書館のタイアップ後、館長と話す機会があったが展示初日最初の来館者の目当てが清次郎だったと聞いて驚いた。
(まさか神戸のトークイベントで清次郎の名前と自分の出没情報が伝わっている話を聞くとはと思わず平静を保つのに必死でした…ありがとうございますありがとうございます)

Q.タイアップしたい所はありますか?
A.金沢みたいな(エリアぐるみで周遊スタンプラリーやフードコラボ)ことはまたしたい。

Q.好きな文豪同士の関係は?
A.劇の時にも話しましたが志賀と多喜二。ゲーム内で数少ない自分でシナリオ担当した位特別。もう一つは芥川と藤村。現代ではまず表立って書かない内容を残しているのが印象的で、ゲームではどちらも生存している状態なのが面白くてこちらもゲームシナリオを書いた。

Q.文アル開発のきっかけは?
A.もともと小説好きなので企画を出したら現在背景担当しているスタッフが賛同してイメージイラストを数点描いてくれたのがよさげで企画が動き出した。

Q.作家のことをどうやって調べてる?
A.まずはネットだけどすぐ限界がくるので作者の本や図書館、論文を読んだり記念館にスタッフと来館することもある。特に記念館では手紙から関係性を伺えるのでありがたい。

Q.新文豪の実装は?
A.お待ちください(笑)昔こそ有名な作家から選んでいたが今は実装済み作家との関係性や清次郎のような埋もれてしまっている作家から選抜している。ゲームとしての軸はぶれない姿勢ではいるがファンの影響で本が出版された松岡譲のような例もあるので思ったより重要度が上がってきているとは感じてる。

Q.女性的な恰好のキャラ(北村透谷)がいるがルーツはどこから?
A.基本的にキャラデザインは作品と本人と半々から要素をいただいてる。透谷に関しては「恋愛至上主義」と革新的な本人の性格傾向から。

Q.著作権切れとそうでない場合の作家を扱う上で大変なことは?
A.著作権有り作家は扱える情報が少ない

Q.文アルの今後のビジョンは?
A.8周年を迎えるゲームは世界観を広げる新企画を準備している。ゲーム外では会社が移管したことで今までやったことがないコラボ企画が進行中。

Q.文学や文字が与える影響についてどう考えますか?
A.活字離れといわれるけど情報はまず文字ありきだと思っているので悲観してはいないが本はたくさん読んで欲しい(笑)

Q.文学全集の続編は?
A.新潮社にお願いしてください…

Q.プロデューサー業としてどこまでゲームに関わってる?
A.ゲーム運営開始前~直後頃はシナリオも書くし戦闘システム構築の現場仕事も多かったが程なく離れて今はゲームの全体統括に徹してる。
世界観監修されてるイシイジロウさんは劇やアニメにも関わってるが僕はお任せしている。

Q.今回の神戸の企画展でピックアップされた作家のなかで好きな作品は?
A.藤村の「新生」。ゲーム始めてから自然主義の本を読むようになったがゴシップまがいな部分が衝撃的だった。(谷口)
放哉の「大空」。放哉はあまり多く言葉は残していないが句が味わい深い。(小阪館長)

Q.今後の文アルで大事にしたい事は?
A.80人近い作家全員を平等に深掘りすることは不可能だし、清次郎の件のように好きな作家1人に注力して調べ上げるファンの人達には追いつくことが出来ないけれどそういう人達が増えるよう、ゲームは「文学の入口」という姿勢に徹して深掘りはしないが好奇心をくすぐるような作り方でいく。
8年やっていわゆる古参ユーザーも増えてこちらも色々要望は把握しているがそれを超える姿勢でいきたい。

以上一部端折ったところもありますが概要こんな感じでした!
今回企画してくださった神戸文学館さん、谷口プロデューサーありがとうございました!


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