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故島田清次郎追慕之碑
行きやすさ ★
マニアック度 ★★★★
営業時間 なし
定休日 なし
※こちらはご存命の親族や一般の方のお墓の中にありますので見学する際はご迷惑のかからないようご留意いただきますようお願いいたします。
島田清次郎文学碑、島田清次郎小説碑、3つある碑の最後のひとつがこの『追慕之碑』になります。
場所は白山市小川町の共同墓地。島清の母方の西野家のお墓の脇に1977年、『地上』映画化を記念して建てられました。
最寄り駅はJR加賀笠間駅になりますが駅から離れてるので効率よく回りたい方は車移動をおすすめします…とはいえ駅にロータリーはあれどタクシーは
常駐してなかった気がするので美川か松任から乗るのが確実です。
公共交通機関だと松任駅から平日のみ1~2本周遊バスが出ているようですが電車からバスの乗り継ぎがギリギリだったり片道は結局歩くことになったかと記憶しています(2021年11月当時)
『片道1時間以内で危険な道でなければ歩く』をモットーに、そして「当時の島清も駅から徒歩でお墓参りや近くの親戚の家に行ったことあるだろうし追体験出来るのだから徒歩一択!」
と意気込み半分、ネットや手持ちの本では碑のある場所の住所までは明記されておらず半分賭けの冒険の心持ちでなるべく歩きやすい季節を選んで行ってきました。
当時使った地図は以下(お墓からスタートになってますがご愛敬ということで…)
当時はSNSで途中の道の雰囲気伝わる写真1~2枚あればいいだろ!と思っていたので駅周りの写真がないです。
無人駅で自販機あったかな…?道中コンビニや商店はありませんし自販機ポイントもなかったと思うのでおやつと飲み物は事前購入推奨です。
駅周りの住宅街をぬけたらひたすら田んぼ道ゾーン突入。
見晴らし最高。私が行った日は曇天でしたが日差しもおそらく最高でしょう…日傘や帽子も必須ですね。
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地図ルートの最初の角を曲がるとその先からは舗装された道になります。
学校脇の道は生徒の姿も見えたりしてお散歩気分で歩きながら黒瀬町の集落入口へ。
グーグルマップを頼りに立派な家が並ぶ集落の中を進みますが人の気配がなく、曇天で薄暗いのも手伝って異世界に迷い込んだ感が満載。
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集落の真ん中にある集会所も兼ねているであろう神社…大学時代民俗学で習ったテンプレートのような集落にテンションが上がります。
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黒瀬の集落を抜けてまたひたすら田んぼの中を歩き十数分。
県道25号を横断します。ここだけ急に車通りが多くなって戸惑う。
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横断して上小川町を通過します。
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![](https://assets.st-note.com/img/1701104789351-85j4XWF0TM.jpg)
小川町集落を真っ直ぐ抜けます。
![](https://assets.st-note.com/img/1701105324196-W0Z2wHxivL.jpg?width=1200)
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![](https://assets.st-note.com/img/1701106474645-6FTSu8majw.jpg?width=1200)
あったーーーーー!!!無駄足にならなくてよかった…
![](https://assets.st-note.com/img/1701106574295-oPYauPbfq9.jpg?width=1200)
碑文が読みづらいので写真のコントラスト上げて文字書き出してみました。
故嶋田清次郎氏は明治三十二年生れ性俊敏果敢にして天稟の才を自負す
風(?)に文学に志し十九歳にして「地上」其他の名小説を着作し當時の文壇を震駭せり
二十四歳にして欧米を漫遊し第一次大戰の世界の動向を洞察帰国し国家連盟を提唱きる
年若き氏の超世革新的思想は時勢に容れられず保養院に幽閉され快々として樂しまず遂に同院に死去さる時に三十二歳
噫(おくび)あたら卓越せる青年作家を無為に終らしむ
世紀の恨事惜しむべし
幸い大映株式会社はその小説を映画化さる
芸術の信念に燃ゆる地下の氏は微笑で迎えられん
吾等所是を喜ぶ
昭和三十二年「地上」の映画化を記念し之を建つ
西野芳顯
竹村艶子
西野芳顕さんは島清の従兄弟にあたる方でこの石碑の他、島清の遺品を石川近代文学館に寄贈して島清の名前を今につないだ功労者。
竹村艶子さんについてはまだ調べきれておらず…映画関係者ではない様子。
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中はモノクロで写真や撮影裏話的なものが書かれてます。
少しだけ映画の『地上』にも触れておきましょう。
監督は吉村公三郎。室生犀星ファンで、最初はそちらの作品を撮りたかったけど暗いからという理由で却下されて同じ金沢の作家の島清の『地上』を勧められたのだとか。
だからなのかパンフのインタビューで「『地上』は今読むとつじつまが合わなかったりでたいしたことはない。島清もそんなにすきではない」などやたら辛辣。
げ、原作リスペクトしてくれ~!
そんな監督から脚本を頼まれたのは新藤兼人。こちらは徳田秋聲作品ファンでいくつか秋聲作品の監督や脚本もされています。
秋聲生誕150周年記念事業で文京区で開催された上映イベントで『縮図』は見たことがあったのですが後から地上にも携わっていたことを知りました。
ここでもうっすらつながる秋聲…
地上は原作より時代が少し後になっていたり結末が変わっていたり結構アレンジが加わっています。
余談として2023年10月に呉竹文庫で開催された『島田清次郎とその世界』展の初日に、こちらのお墓に再訪し、更に墓主である島清の母方のご親族の西野家まで案内いただきご挨拶に行く機会があったのですがあいにくご不在で会う事は叶わず。
また機会があれば一言ご挨拶したいものです。