ダブルクロス・ロシアンルーレット・令嬢裁判編のルール
はじめに
本ページではTRPG『ダブルクロスThe3rdEdition』で自作したシナリオテンプレートについて紹介する。シナリオテンプレートの詳細についてはサプリメント『パブリックエネミー』を参照。
このシナリオテンプレートは『パブリックエネミー』内のロシアンルーレットをベースとして作成されており、PCのうちだれかがラスボスとなってキャラロストするシナリオである。大きな違いは元のロシアンルーレットはクライマックスまで全員で協力して最後に急遽PC内でラスボスが決まるのに対し、このシナリオテンプレートでは最初からPC同士が敵対して誰がラスボス候補に近いかが逐一わかるシナリオとなっている。これは以前ロシアンルーレットで遊んだ際、クライマックス直前に「基礎侵蝕率が最大のPCがラスボス」と言われて納得できなかったためである。形だけとはいえ途中の判定にも意味があるようにすることでラスボスになるかどうかのハラハラ感を出すためのギミックを入れてある。
上記の通りプレイヤー同士が完全に対立しあうので、ギスギスしすぎないよう事前に忠告することをお勧めする。
また、シナリオのステージはオーヴァードアカデミアをベースとした令嬢たちの学園となっているが、そこは各自が遊ぶステージに合わせて適当に読み替えてもらいたい。
ルール概要
トレーラー
令嬢たちの花園と呼ばれる学園"ノブレス"で、重大な事件が起こる。
生徒会・副会長が殺害されたのだ。
容疑者としてあがった令嬢たちを集め、裁判が始まった。
令嬢たちの命とプライドをかけた議論が今始まる!
ダブルクロス 3rd Edition『Judgment of Villainess』
ダブルクロス――それは裏切りを意味する言葉。
令嬢バトル――それはお嬢様たちの信念と誇りをかけた熱き言葉。
ハンドアウト
■PC①~⑤:生徒会・副会長の殺害容疑をかけられた令嬢
【シナリオロイス】"やられ役令嬢"シーニ・タクナイ
【推奨感情】任意/任意
【カヴァー/ワークス】指定なし/指定なし
【ハンドアウト】
あなたは、生徒会・副会長である"やられ役令嬢"シーニ・タクナイの殺害容疑をかけられた令嬢だ。
これから被告人の1人として野外令嬢裁判に立ち、弁論を行う。
そして、他の容疑者の中から真犯人を見つけ出し、処刑を免れる必要がある。
あわよくば、空いた副会長の座も手に入れるだろう。
ゲームの流れ
■グランドオープニング(マスターシーン)
マスターシーンでは、生徒会副会長が殺害された旨の報告が風紀委員から生徒会長へされる。その後、生徒会長が令嬢裁判の開催を決定したことで、PCの誰が犯人かを裁判内で決め、犯人を処刑することとなる。事件の設定は以下のチャートを参照にダイスで決める。ただし、議論中にPLたちが事件の設定を変えて欲しいなどの要望があれば、一度決めた内容であっても可能の限り変えること。これはロールするのが少し難しいシナリオであるための配慮である。
■オープニングフェイズ(全員参加)
オープニングフェイズでは、PC全員が裁判の控室で集まっており、風紀委員から各自自己紹介をするよう通達がある。自己紹介が終わり次第シーンを終了とする。
ミドルフェイズでは以下を流れを繰り返していく。
■シーンプレイヤーの決定
①侵蝕率が最も低いPCが、シーンプレイヤー1(被告人)としてシーンイン
②1D10ダイスで決められたPCが、シーンプレイヤー2(検事)としてシーンイン(侵蝕率が高い順に10%、20%、30%、40%の確率)
※他PCはシーンインせずに会話に参加してもOK
※PC間で合意されたならシーンプレイヤーは自由に変更可能
■イベントシーン
・被告人PCは自由にシーン内容を決めて、自分が無罪であるというロールを行う。
・もし、シーン内容が決められない場合は【イベントチャート】と呼ばれる表に従って、発生するイベントをランダムに決める。
・通常イベントの場合、容疑内容のテーマに従い、被告人PCと検事PCは自由にロールを行う
・サプライズチャートの場合、内容に従って突発イベントが起こる。他PCにも影響あり
・シーンを開始してから約15分経過したら、各PLはシーンを終了させる方向でロールすること
■判定
①各プレイヤーは陪審員の脇役令嬢として、被告人PCの無罪or有罪を投票する
②判定に使用する技能をランダムに決定させ、被告人PCと検事PCが対決を行う。この際、投票された数だけ達成値*2にプラス補正がかかる。
③失敗した場合、侵蝕率が2D10増える
※同値は両方失敗扱い
※サプライズチャートの場合、チャートで指定された特別な判定を行う
■裁判終了条件
上記を何度も行い、誰かが侵蝕率70%越え、もしくはシーン数が5回になったら、第2の殺人が発生。グランドオープニングと同様に事件の設定を決めること。
更に何度も行い、誰かが侵蝕率100%越え、もしくはシーン数が10回になったら、クライマックスフェイズとなる。
■クライマックスフェイズ
クライマックスフェイズでは、侵蝕率が最も高いPCがボスなり、以下の状態でプレイヤーたちと戦闘を行う。
・ボスは全回復して、侵蝕率が+60%となる
・エフェクト《生命増強:Lv2(HP+60)》と《蘇生復活:Lv1(HP1で蘇生)》と《状態復元:Lv1(バステを解除&HP-5)》を得る
・自身の衝動に従い、シナリオクラフト用のEロイスを1つ得る
・エネミーチャートに従い、決定したエネミーを(残りPC-1)体登場させる
■エンディングフェイズ
以下の2つのシーンを行う
・ボスが断頭台により処刑される
・PCのうち誰か一人が生徒会・副会長の任命権を得る
■その他注意事項
・各自"脇役令嬢"という名の大量の脇役を好きに操作してもよい
・クライマックス戦闘までロイスの使用は不可
・ミドル戦闘はなく、クライマックス戦闘のみ
・ロール上は対立しあうが、プレイヤー同士はギスギスしすぎないよう注意
遊んだ感想
大変楽しめた。以下は元のロシアンルーレットと比べて良かった点
侵蝕率が順位であるため、侵蝕率の上昇に一喜一憂できる
ロールの結果によって判定が有利になるのでロールに力が入る
脇役令嬢を使用して主張をフォローできる(相槌を打つなど)
侵蝕率が低い人がシーンプレイヤーに選ばれやすいので、侵蝕率の上がり方がある程度平らになりやすい
たまに起こるサプライズチャートにより急な緊張感が生まれる
逆に改良したほうがいいなぁと感じた点がいくつかあったので、それらを整理しておく。参考にしてほしい。
ロールのテーマが難しい
架空の事件で無実のロールをするのは想像力が必要となる。そのため、本シナリオをベースに遊ぶ際はチャート内容そのものを大きく変えることを推奨する。例えば、以下の通り。
元のロシアンルーレットのチャートをそのまま使用する(UGNの施設内で殺人事件が発生)
マウントバトル(どっちが格上かの言い争い)の決勝戦があり、最下位のPCは処刑。チャートの内容はマウントバトルのテーマが記載される。
個人的にはマウントバトルに限らず、何らかの理由でPCたちが競い合うストーリーができるとよいと思う。
運が悪いと単独トップになる
ダイスの神様のせいで侵蝕率が急上昇したり、トップにもかかわらずシーンインを強要されるケースがある。現状のルールでは10%とはいえ選ばれる可能性があるので、トッププレイヤーは必ず選ばれないようにしても良いかもしれない(例えば侵蝕率が高い順に0%、20%、30%、50%の確率にするなど)。
本来であればクライマックス直前のシーンで「確実に侵蝕率が上がらない安心感」を手に入れてしまうことが難点ではあるが、シーンプレイヤーたちの侵蝕率が思ったより上がらなかった場合は自身がラスボスとなるので、緊張感は十分と思われる。
運が悪いと連続でシーンインしたり、シーンインできなかったりする
ダイスの神様のせいで侵蝕率が急上昇したり、逆にほとんど上がらないとシーンインする回数に差が出てしまう。これは明確な問題ではあるのだが、対策としてシーンインしていなくても会話に参加可能としているので暇になることはまずない。また脇役令嬢もいるので問題ないだろう。
また、シーンインするプレイヤーとして名乗り出ることもOKにしているため、余り参加できていない人はリスクはあれど参加したいと伝えるとよい。
議論の結果が対決に反映されづらい
投票により対決の達成値にボーナスが入るがそこまで大きくはない。最も差が出るケース(1vs4)であっても、1票に付き達成値+2だと達成値+6分の差しか出ない。5人プレイでこれなので4人プレイだともっと差が出ない。
ロールの結果がダイスに覆され続けるのはロールへの意欲をそぐことになるので、1票に付き達成値+3もしくは4でも問題ないと思われる。どのくらいの値が良いかはPLたちの思い次第なので、シナリオ中にPLたちと相談して都度変更していくのが良いと思う。
ラスボスの取り巻きのバランス調整が難しい
これはロシアンルーレットでもそうなのだが、取り巻きの内容がランダムであるためバランス調整が難しい。HPが10しかない警察官がでてくることもあれば、様々なエフェクトを覚えたフェンリルがでることもある。
取り巻きが弱いのであれば、せめてエンゲージは同種族毎に別々にすることで範囲攻撃で一気に即死することを避けるなどした方が良い。逆に取り巻きが強すぎるのであれば、全エフェクトを使用するわけではない旨を伝えておこう。
まあ、一番は取り巻きの内容を再度決め直しさせてもらうことが楽だと思う。バランスが微妙だとPCもラスボスも楽しめないからね。
最後に
TRPGは対立するシナリオを作ることが少し難しいと思う。
PCのみに許可された強力な回数制限技をお互いに打ち合うチキンレースとなることや、PL同士が協力してシナリオを作らないといけないのにPCは対立するよう調整する必要があることなど、正直相性は悪いと思う。
ただ、それでも対立するシナリオであるからこそできるロールや楽しみがあるのでぜひ遊んでもらいたい。