ダブルクロスTRPGのチームバトルルールを脳内リプレイしてみる

はじめに

ダブルクロス The 3rd Editionのサプリメント『バッドシティ』でチームバトルルールが新しく追加された。チームバトルルールとは、いわゆるヤンキーものの物語の終盤でよくある展開を再現したもので、多数のキャラクター同士の乱闘を表現するためのルールである。

面白そうではあるのだが、最近公開されたルールのためかこのルールを使用したリプレイや考察記事が見当たらなかった。ということで実際回してみるとどうなるのかがわからない。

そのため、試しに脳内で回してみてルールの確認をしてみることにする。なお、ルールブック内のシナリオを試しに回すことになるためネタバレに注意。また、正しくルール通りにプレイできている保証はないのでちゃんとルールブックと比較しながら見てみること。

脳内リプレイ方針

  • 使用するプレイヤーキャラクターはルールブック1のサンプルキャラ5人とする

  • 各キャラの侵蝕率は衝動判定後に90%とする

  • 使用するシナリオは「Rise Against Black」

  • シナリオ内の仲間集めは全て成功したが、シーン13:襲撃の判定はすべて失敗して敵チームのチーム戦闘力を事前に減らすことができなかったものとする

ターン1:チームバトルプロセス

チームバトルプロセスはセットアッププロセスの直前に追加される。大まかな流れは以下の通り

  1. 各チームのチーム戦闘力を算出(参照:能力値、技能、その他シナリオボーナス)

  2. チーム戦闘力から交戦判定で使用するダイス数こと「判定値」を決定(参照:チーム戦闘力、侵蝕率ボーナス)

  3. 交戦判定の実行(参照:判定値、タイタス)

  4. 交戦判定の達成値からダメージロールを行う(参照:交戦判定の達成値)

  5. ダメージロールの分だけ相手チームのチーム戦闘力を減少(参照:チーム戦闘力、ダメージロール結果)

  6. チームの壊滅を確認

  7. チームボーナスとペナルティを確認

実際にやってみよう

各チームのチーム戦闘力を算出

チーム戦闘値は以下の通り算出。参照先が多い。

チーム戦闘力 = チーム内のキャラクターが持つ能力値の合計 + チーム内のキャラクターが持つLv5以上の技能数の合計 + トループ数×5 + エキストラ数×1 + 血の従者数×5 + その他ボーナス(主にシナリオ内で入手)

プレイヤー側は、今回はサンプルキャラを使用しているので、能力値の合計は5人全員12、Lv5以上の技能の個数は0。味方にトループはいないが、その他のボーナスとしてシナリオの中でNPCを仲間にしたことにより合計22(3+5+7+7)。全てを合計するとプレイヤー側のチーム戦闘力は12*5+22=「82」となる。
(※)エキストラ数はエキストラを提供するアイテムやエフェクトの数のことだが、仲間にしたNPCもエキストラのような気がする。が、たぶんそこまで含めると計算が面倒だし、おそらくこれはせっかくエキストラがいるアイテムを持っているから意味を持たせてあげようという意図のように思えるので今回はなしで進める。

相手側は、全員NPCなのでだいたいシナリオ内で決めた固定値。ラスボス君:20 + ラスボス君チーム:80 + 物資:25 + トループ6体:30 = 「155」

なんかプレイヤーと数値の差が相当あるな。なお、チーム戦闘力は後で必要になるので大事にメモ。

チーム戦闘力から交戦判定で使用するダイス数を決定

交戦判定で使用するダイス数こと「判定値」の算出は以下の通り。チーム内のNPCにも侵蝕率ボーナスを持っているキャラがいる時もあるので注意。

判定値 = チーム戦闘力の1/10(端数切上げ) + チーム内の侵蝕率ボーナスの合計

プレイヤー側は、全員侵蝕率90%で仮定しているので各自ダイス数+2となるため、判定値 = 82/10 + 2×5 = 19

相手側は、ラスボス君(侵蝕率160%)だけオーヴァードなので、ダイス数+4となるため、判定値 = 155/10 + 4*1 = 20

あれだな。思った以上に侵蝕率ボーナスが重要だ。あと、相手側のオーヴァード数を増やしてしまうと相手側がかなり強くなりそうな雰囲気。

交戦判定の実行

判定値は決まったのでクリティカル値10でダイスを振る。タイタス昇華でダイス数を増やしたりクリティカル値を下げたりできるが、一旦1ターン目はいいや。

プレイヤー側
19dx10 > 10[1,1,1,2,3,4,4,4,5,5,7,7,8,8,8,8,9,9,10]+8[8] > 18

相手側
20dx10 > 10[1,1,1,2,3,4,4,5,6,7,7,8,8,9,9,9,10,10,10,10]+6[2,3,5,6] > 16

1ターン目から達成値で勝ってしまったな。まあ対抗ロールではないので上回っても意味はないのだが。ってかちょっとの差ぐらいだと運で十分巻き返せそうな気がする。逆にタイタス昇華したら相当プレイヤー側が有利だな。

交戦判定の達成値からダメージロールを行う

交戦判定の結果の1/2(端数切上げ)だけダイスを振ってその合計値を算出する。

プレイヤー側
9d10 > 34[1,1,3,6,7,4,4,1,7] > 34

相手側
8d10 > 57[3,4,7,7,9,8,9,10] > 57

普段のダメージロールが達成値の1/10なのでごっちゃにならないよう気をつけよう。それにしても今度は相手側が上回ったな。

ダメージロールの分だけ相手チームのチーム戦闘力を減少

上記の通りダメージロールの分だけ相手チームのチーム戦闘力を減少させる。減らすのは同時っぽいな。

プレイヤー側
82 ー 57 = 25

相手側
155 ー 34 = 121

侵蝕率ボーナスが重要って言ったけど、やっぱりチーム戦闘力が重要だわ(てのひらクルクル)。

チームの壊滅を確認

減少させた後にチーム戦闘力が0になったチームは壊滅扱いとなる。壊滅すると以下のデメリットがある。

  1. チームに所属するトループ、エキストラは全て戦闘不能

  2. クリンナッププロセスまであらゆる判定値-2

  3. 以降のラウンドで交戦判定は行えない。→チーム戦闘力が常に最下位となる

チームの壊滅は一度しか行われないので、次のラウンドが再開であっても2.の効果で判定値が下がることはない。とはいえ後述の最下位時のペナルティはある。

今回はお互いにチーム戦闘値が残っているので壊滅なし。
かなりプレイヤー側がやばそうだがチーム戦闘値はラウンド開始時に再計算されるので、プレイヤー側のチーム戦闘値はほぼ全回復すると考えていい。むしろ侵蝕率ボーナスが更に増える見込みもある。
逆に相手側はトループをつぶされるとチーム戦闘値が下がっていくし、オーヴァードが倒れようものなら判定値も減ってしまうだろう。
一応ラウンド経過毎にプレイヤー側に有利に働くようだ。

受ける達成値ボーナスは相当微々たるものだが、「トループ、エキストラは全て戦闘不能」は相手のトループ数によってはでかい。サンプルシナリオだとザコ敵はトループ×6なので、実質ボスとのタイマンとなる。1ラウンド目からロイスを切ってトループ全滅を狙うのは選択肢として十分ありだろう。……まあ、不良同士の抗争が始まった瞬間ボス以外が戦闘不能となるのはすごい絵面なわけだが……

チームボーナスとペナルティを確認

全チームのチーム戦闘力を比較し、1位のチームはこのラウンドの判定値+2。最下位のチームはこのラウンドの判定値-2となる。

ということでプレイヤー側は達成値-2、相手側は達成値+2となり、1ラウンド目のチームバトルプロセスは終了となる。

……結構時間かかるな。この辺はGMがサクサク計算してダイス数などを提示しないとまずい。

いつも通りセットアッププロセス~クリンナッププロセスを実施

ダイスの詳細は割愛するが、結果としてボス以外のトループは全滅。ボスも残りHP34、味方は全員110%程度でロイスも0~1個消費のぬるい感じに。ぬるくなった原因はチームバトルのためにトループを用意したようだが、こいつらがHPが低い上に行動値も低いので、動き出す前にPC2人の範囲攻撃で全滅したためである。

なお、チームボーナスで多少はダメージの達成値の差は出たが、クライマックスフェイズまでくると達成値±2は誤差と思われるだろうなぁ。

ターン2:チームバトルプロセス

あとは振り返りのために2ターン目のチームバトルプロセスだけ試しにやって終わりにしよう。

各チームのチーム戦闘力を算出

プレイヤー側
12×5 + 22 = 82

相手側
20+80+25=125

う~ん、トループ全滅させてもこんなもんか。チームそのものに戦闘力を持たせてるからこれ以上減らせないしな~

チーム戦闘力から交戦判定で使用するダイス数を決定

プレイヤー側
82/10 + 3×5 = 24

相手側
125/10 + 4*1 = 17

プレイヤーの侵蝕率が100%を超えたので余裕で上回っている。

交戦判定の実行

プレイヤー側
24dx10 > 10[1,1,2,2,2,2,3,3,3,5,5,6,7,8,8,8,8,8,9,9,10,10,10,10]+10[3,3,9,10]+2[2] > 22

相手側
17dx10 > 10[1,1,1,2,3,3,3,5,7,7,8,8,9,9,10,10,10]+8[4,7,8] > 18

交戦判定の達成値からダメージロールを行う

プレイヤー側
11d10 (11D10) > 57[4,7,1,8,3,7,3,7,6,8,3] > 57

相手側
9d10 (9D10) > 49[7,5,5,8,4,6,5,8,1] > 49

ダメージロールの分だけ相手チームのチーム戦闘力を減少

プレイヤー側
82 ー 49 = 33

相手側
125 ー 57 = 68

あるぇ!?がっつり負けてる!確かにシナリオ的には襲撃成功時の物資分だけ減らせるからもう少し下がるけどそれでも負けてる。う~む、タイタス昇華によるダメージバーストも含めればギリギリ勝てるかもしれない。まあ勝ったとしてもトループはもういないので、達成値が更に-2になるだけだが。

チームの壊滅を確認

壊滅なし

チームボーナスとペナルティを確認

プレイヤー側は達成値-2、相手側は達成値+2となり、2ラウンド目のチームバトルプロセスは終了

感想

一人回しをして思ったことをつらつら記載。総評としては「システムで楽しませるというよりは集団戦というフレーバーを楽しませるものとして割り切ろう」かなぁ。

  • ダメージロールの主役は侵蝕率ボーナス。ただし、HPはチーム戦闘力なので最終的にはチーム戦闘力がものをいう。だが、PC側はそう簡単にチーム戦闘力は増やす手段がない。

  • ラウンド毎にチーム戦闘値を再計算するので、実質HPがリセットされる雰囲気。

  • 戦闘により相手のチーム戦闘力が減るのはトループやオーヴァードが戦闘不能になった時ぐらいなので、思ったよりチーム戦闘値が減らない。

  • 1ラウンド目から全滅してトループを消せると大きい。が、逆にヌルゲーになる可能性をはらんでおりバランス調整は難しい。

  • 経験点130だとプレイヤーのチーム戦闘値がだいたい60、判定値がだいたい23ぐらいといったところ。あとはGMがボーナスを与えていく感じ。

  • GMのボーナスはオーヴァードNPCを仲間に入れてあげることで侵蝕率ボーナスによる判定値に補正を上げることもできるようだ。



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