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【2024.ルヴァンカップ決勝 観戦記】共に闘った一日の記録

「お前、試されてるぞ」
決勝の舞台で絶望の淵に落ちた男を、この一言だけで甦らせるとかとても信じられない。
もはや稲垣祥というフットボーラーの人間力あってこそ為せる業で、ピッチ上にこの男がいるその価値こそプライスレス。

VARの介入だ。
2024年ルヴァンカップ決勝、後半も大詰めに差し掛かったアディッショナルタイム。
国立競技場を埋め尽くした62,517人が固唾をのんで大型ヴィジョンに視線を移す。これはPKいたしかたなしか…
名古屋グランパス 中山克広の右足が、アルビレックス新潟 小見洋太の足先を鈍くヒットしたのが確認できる。
間もなく主審が姿を現し、ペナルティスポットを鋭く指し示すと、新潟サポーターから地鳴りのような歓声が湧き上がった。落ち着いてPKを決めた小見洋太、2-2同点。


2024 JリーグYBCルヴァンカップ プライムラウンド決勝

名古屋グランパスvsアルビレックス新潟

新エンブレムの上に5つ目の星が加わる今日この日のことは、Jリーグ創成期からのグランパスサポーターとして、しっかりと記録に留めておかなければならないと思う。
死闘の末に掴んだ「星」、その輝きの中に閉じ込められたひとつ一つの物語を、国立の地で共に闘った僕らは、歴史の証人としてしっかりと語り継いでいかなければならないのだから。


Jリーグ公式による煽り動画が物議を醸し「悲願の初タイトルを!」と上越新幹線が増便された新潟。

一方、名古屋方面においては、台風21号に関連した大雨の影響により、東海道新幹線がストップするという事態が発生。私を含めグランパスサポーターの中には新幹線を乗り捨てて、急遽在来線を探索、何とか決勝の舞台に辿り着いたという者も数多くいた。

国立競技場

国立競技場の階段を上り、ゲートを抜け、ピッチを臨むと眼前には圧巻の光景が広がっていた。名古屋側、新潟側ともに3層目までぎっしりと埋め尽くされたゴール裏には無数の旗がなびき、両者がブーイングをもって挑発し合っていた。
試合前からの熱量が半端ない、一発勝負、これが決勝なのだと強く感じた。

国立競技場

やがて試合前のウォーミングアップが始まり、選手たちが姿を現すと、ゴール裏サポーターのボルテージはさらに高まっていく。
在籍7年、今年を最後に退団のリリースがなされた名古屋の守護神ミッチェル・ランゲラック(ミッチ)。ミッチを支えながら9年間もの長きにわたり名古屋のゴールマウスを守り続ける武田洋平。

この2人の守護神を迎え入れた後、名古屋のゴール裏が “いの一番” にチャントで呼びかけた選手が内田宅哉だった。
今シーズン、ここまでの内田のチャレンジは決して順風満帆と言えるものではなかった。
シーズン開幕直前に開催されたFC岐阜とのプレマッチで、内田は右センターバック(CB)という新たなポジションに挑み、しかし、あえなく散っている。
シーズンも終盤戦に差し掛かり、残されたタイトルが限られてくると、長谷川健太監督はルヴァンカップに照準を絞り、野上結貴を右ウイングバック(WB)に抜擢、野上を支える相棒として再び内田を右CBへと配する決断を下したのである。
激闘となった準々決勝 サンフレッチェ広島戦も、準決勝 横浜F・マリノス戦も右CBにはいつも内田宅哉の姿があった。
あの当時の、プレマッチの悪夢から見事に立ち直った内田、粘り強く仕込み、起用し続けた監督を含めたコーチングスタッフ、そんな彼らの努力を回顧し、再び胸が熱くなる。

ウォーミングアップ前
グランパス選手登場

スターティングイレブン発表

選手紹介も素晴らしい映像演出が施されていた。
Qaijffの『誇れ』に乗せて、決勝の舞台に勝ち進む激闘の日々が映し出される。
名古屋 2-1 柏レイソル
名古屋 2-2(3PK1)サンフレッチェ広島
名古屋 4-3 横浜F・マリノス
そして最後に、一面真っ赤に塗られた大型ヴィジョンに映し出された「勝ち獲れ輝く星を」の黄文字にグランパスサポーター大歓喜。
そのまま魂のGLAPへと続き、締めはYO!YO!YOSUKE氏の掛け声に合わせての、コール&レスポンス
みんなが愛してるのは!「名古屋!!」
みんなが信じてるのは!「名古屋!!」
ルヴァンカップ優勝するのはどっちだ!「名古屋!!!!」
間髪入れることなく
「ロッソ&ジャッロNAGOYA GRAMPUS」コールである。

何だこのとんでもない熱量。空気の振動が身体中に伝わる感じ。今までに経験したことのない高揚感、胸の高鳴り。
そして、圧巻のコレオグラフィー。


アルビレックス新潟のコレオグラフィー

キックオフ

2024年11月2日、土曜、13時09分。
かくして、名古屋グランパス、アルビレックス新潟、双方のサポーターが創り出した異様ともいえる雰囲気の中、頂上決戦は幕を開けた。

ゴールキーパーを含めた最終ラインから徹底してボールをつなぐ新潟と、前線からのハイプレスをスイッチに、マンツーマンディフェンスで前を向かせない名古屋。
試合序盤から両者の特長が存分にあらわれた、意地と意地とがぶつかり合う見応えのある好ゲームが展開されていた。

そして前半31分、試合が動く。
前線からの名古屋のハイプレスがはまり、新潟ゴールキーパーのパスミスを誘発、幸先よく先制したのは名古屋だった。
1-0

前半終了間際の42分には、見事なパスの連携から永井謙佑がこの日2得点目となる追加点を奪い新潟を突き放した。
2-0

これ以上にない時間帯での追加点に、グランパスの選手、コーチ、スタッフ、サポーターの誰もが「よし、行ける、勝てるぞ!」と士気高揚となったに違いない。

後半 猛攻の新潟

しかし後半に入ると流れが変わる。
「悲願の初タイトルへ」と、国立を埋めた3万人超の新潟の大サポーターがチームを奮い立たせる。
ビルドアップのミスを突かれ失点したとしても、徹底して自分たちのスタイルを貫き通す新潟。その新潟が「もはや失うものなど何もない」と、牙をむき出しにして名古屋に襲い掛かってきたのである。

名古屋は新潟の圧力に耐えきれず後半26分に失点。
2-1

名古屋に立ち込めた暗雲は、試合終盤へと進むにつれて押し戻すことのできない強烈なムーブとなって覆い、立ち込める。そして、国立競技場の空気が新潟色に染め上げられたそのとき、アンラッキーともいえる事故は起こった。

VAR 痛恨のペナルティキック

後半AT、息詰まるVARの後、小見洋太のペナルティキックが決まった。
前後半90分+AT11分を経て、試合は再び振り出しへと戻されたのである。
2-2同点。

歓喜の新潟と絶望の名古屋。

後半アディッショナルタイムに、「輝く星を」を響かせ勝利を求めた名古屋ゴール裏の強い想いは、悲痛な叫びとともに打ち砕かれ、掴みかけていたタイトルはその手中からこぼれ落ちていったのである。

ひとりのサッカー選手を救った一言

顔面蒼白、事の重大さを認識した中山は、明らかに正気を失っていた。
ちょっとした焦りからなのだろう、悪意のファールではない、けれどもそれはタイトルの行方を左右する大きな大きなワンプレーだった。

「お前、試されてるぞ」
延長戦に入る前に、そう稲垣祥からハッパを掛けられたと中山は語る。
「すごく力になった。うまく気持ちを切り替えられて延長戦に臨めた」とも。

中山の心中を察するに、パニックに近かったであろう精神状態の中で、稲垣から掛けられたこの言葉が力になったと語っている。
人はパニックに陥ると、周囲からのコーチングはもとより、励ましやアドバイスでさえも冷静に聞き入れることが難しくなる。
ましてや、地鳴りにも似た新潟サポーターからの圧力を受ければ、なおさらのことだ。自分を見失っていたとしても不思議ではない。

あの時、あの場面、おそらく多くのチームメイト、コーチングスタッフから励ましの声が掛けられていただろう。
その中で、あの限られたインターバルの中で、稲垣からの「お前、試されているぞ」という一言が、特別に中山の心を揺さぶり再度のファイティングポーズをとらせたのだとしたら、それはもはや奇跡だ。
そこにあるのは、稲垣祥というフットボーラーの持つ偉大な人間性と、チーム全体が稲垣祥へ寄せる “ぶ厚い” 信頼感、もはやその太さの賜物としか考えられない。

かくして、中山克広は正気を取り戻した。
正気を取り戻しただけではない。闘う姿勢を、覚悟を全身にまとい、右サイドを駆け上がり、そして右足を振り抜いたのである。
延長前半3分、3-2名古屋勝越し。

中山克広ゴール直後のグランパスサポーター

食らいつく新潟

それでも再び食らいつく新潟。
延長後半6分には再び小見洋太。
3-3同点。

両者、意地と意地とのぶつかり合い。
タイトルを、「輝く星を」勝ち獲るということはこれほどまでに苦しく険しいのか…。

決着はつかず120分の闘いが終わった。
いつしか空は暗闇を増し、照明に照らし出された雨は激しく、しかしキラキラと神々しくも見えた。

結末はPK戦へ

ペナルティキック戦を前に円陣を組む。
さあ、ここからが最後の勝負だ。
森島司が、ベンチ外のメンバー、スタッフにも円陣に加わるよう手を振り声を掛ける。
選手、コーチングスタッフ、そしてサポーターも心ひとつに。

最後の円陣は 俺たちと共に

間もなくレフェリーが名古屋のゴール側に歩みを進める。
PK戦は北側ゴール、名古屋サポーターの陣取るサイドで行われるようだ。
名古屋、新潟、両チーム合わせてこの日記録された6得点は、全て新潟側、南サイドのゴールで決まっていた。
最後はオレたちの番だ。
最後に選手たちに勇気と力を与えられるのはオレたちサポーターしかいない。
さあ、頼むぞミッチ!!頼むぞみんな!!

「ミッチ・ランゲラック!!」
「ミッチ・ランゲラック!!」

国立を揺らすミッチコール。
ロッソ&ジャッロのフラッグの波の中にぎっしりとはためくオーストラリア国旗。

PK戦
ロッソ&ジャッロとオーストラリア国旗で
埋め尽くされた名古屋ゴール裏

PK戦 1人目

先攻は新潟、後攻は名古屋。
新潟の1人目が成功し、名古屋にプレッシャーを掛ける。
PK戦とはいえ、この試合、初めて新潟に先行を許した瞬間だ。

センターサークル付近から名古屋の1人目が歩みを進める。
稲垣祥だ。

誰よりも献身的に走り、粘り強いディフェンスで新潟を封じ、2点目となる貴重な得点にも身体を投げ出してボールをつないだ、この日この試合、一番の功労者だ。
先発出場から120分を闘い抜き、その走行距離は両チームで最長となる16.095kmを記録していた、まさに名古屋の心臓。

淡々とボールをセットすると、静かに視線を上げ、集中を高める。そして、迷うことなくド真ん中へと蹴り込んで魅せた。
湧き立つグランパスサポーターに向けて力強くこぶしを握り「一気に行くぞ!」と無言の檄。
このギリギリの場面で、ド真ん中に蹴り込める強靭な精神力たるや!

PK戦 2人目

新潟の2人目がボールをセットする。
長倉幹樹、新潟の点取り屋だ。
今大会では6ゴールをあげ、得点王を確定させている。

そこに立ちはだかるのが名古屋の守護神ミッチェル・ランゲラック。
名古屋のゴール裏からは無数のフラッグが振られ、若き新潟のエースストライカーの集中を削ぎ落さんとばかりにこの日一番のブーイングを浴びせかける。

かくして、長倉の右足から放たれたボールは、同時に反応したミッチの指先をかすめ、ゴールマウスの外へと弾かれていった。
名古屋にとっては歓喜、新潟にとっては痛恨のPK失敗となった。

喜びもつかの間、名古屋2人目のキッカーがペナルティスポットへと向かう、ミッチだ。
今シーズンをもってグランパスを退団することを決断したミッチ。
名古屋で過ごした7年間の集大成として今、このピッチに立っている。
「ミッチとともに輝く星を」何としてでも「輝く星を」。

PK戦
名古屋2人目のキッカー
ランゲラックを見守る
選手、スタッフ、そしてサポーター

先の準々決勝サンフレッチェ広島戦においてもゴールキーパーながら2人目のPKキッカーとしてしっかりと役割を果たしている。
今日この決勝の、息詰まるこの極限に張り詰めた空気の中でも全く揺るぎない。
ゴール左隅にズドン。
相手GKは反応こそしたもののミッチの右足から放たれたボールは、導かれるようにゴールネットに吸い込まれていった。

ランゲラックがPKを決める

決着のとき

再びリードを奪い返したのは、名古屋。

息詰まるPK戦。
もう間もなく決着がつこうとしている。
30年を越えるグランパスの歴史の中で、喜怒哀楽を通り越し、これほどまでに張り詰め、辛く苦しくも、感動で満たされた死闘は記憶にない。

名古屋の5人目、山岸祐也がペナルティスポットを目指して歩みを進める。
ミッチが山岸にボールを託し、そっと山岸の肩に手を回す。
山岸もミッチの背中に手をやり、無言で小さくうなずく。
新潟のゴール裏からは叫びにも近い「航斗」コール。
名古屋のゴール裏からは、頼むぞ!決めてくれ!と「ヤマギシ、ユウヤ!!」の大コール。

国立に詰めかけた62,517人、全ての視線が一点に集中する。
主審の笛が吹かれ、山岸祐也が静かに助走に入る。
一瞬の静寂が名古屋ゴール裏を包み込む。
降りしきる雨の中、山岸の右足から放たれたボールは、力強い弾道となってゴール右隅へと突き刺さったのである。

名古屋グランパス ルヴァンカップ王座奪還

光と影

割れんばかりの大歓声。
歓喜に湧き立つスタンド。
揉みくちゃになり、グータッチを交わし、喜びを分かち合うサポーター。

勝者がいれば、敗者もいる。
その境界線はあまりにも僅かで、そして無常だ。
試合終了直後に泣き崩れ、チームメイトに抱きかかえられた長倉幹樹。
その姿は痛々しく、心を打つものがあった。
「PKを外すことができるのは、PKを蹴る勇気を持った者だけだ」とロベルト・バッジョが語ったように、長倉のチャレンジには心からの拍手を贈りたい。

名古屋にも伏して起き上がれない選手がいた。
中山克広だ。
山岸のゴールが決まり、一斉にクラブ関係者がピッチへと雪崩れ込むと、あっという間に巨大な歓喜の輪ができた。
その輪ができても尚、中山はセンターサークルから動けず、伏した顔を上げられないでいた。
仲間たちと共に掴みかけていた大きな大きなタイトルが、自分の犯したミスによって一瞬にして失われていくという恐怖。その恐怖と向き合い、得点を決めた後も、ずっと一人で闘っていたのだろう。
私は帰りの東京駅で、ふとSNS上に流れてきた一枚の写真を目にし、このときの中山の苦悩を知った。
そして、歓喜の輪には加わることができなかった中山に気付き、そっと寄り添いに向かったチームメイトが永井謙佑だったということも同時に知った。

表彰式

高々とJリーグカップが掲げられた。
大会MVPにはミッチェル・ランゲラックが輝いた。

カップリフトの瞬間
MVPはミッチェル・ランゲラック

この日2得点を上げて勝利に貢献した永井謙佑がMVPは「オレだろ!オレだろ!」と騒ぎ立てている動画、そんな永井を尻目にサポーターからはミッチのチャントが歌われ、それに呼応するように選手たちも「ラララララララララーーオオオーー」と歌いながら手拍子でミッチを讃え、永井をつまはじきにする動画・・・。ゴール裏からは窺い知れない和気あいあいとした表彰式での出来事については、帰路につく道すがらSNS上に溢れてくるフォロワーさんたちからの情報で知った。

ゴール裏グランパスサポーターのもとへ

表彰式が終わり、場内のサポーターへJリーグカップのお披露目だ。
ゴール裏で待ちかまえるサポーターは皆満面の笑みをたたえている。

いよいよ選手たちが到着すると、まずは国立競技場に詰めかけた名古屋の大サポーターと共に『Campione』の大合唱。
その後、選手が一人ずつカップを手にし高々と掲げ、その度に選手の名前がコールされていく。永井、ミッチ、稲垣・・・・・・。

最後に長谷川健太監督を呼び寄せる。
選手たちのはしゃぐ様子を後方でのんびりと眺めていた健太監督であったが、選手たちに呼び立てられ、サポーターの面前へと引きずり出されると、そこは役者が違った。
サポーターからの「オーーーーーー」という呼び掛けにも、カップリフトを焦らすパフォーマンスを披露。憎らしいほどに手慣れている。これが「じらしのケンタ」か…。現役時代、監督時代と数多のタイトルを手中に収めてきただけのことはあるなと妙に納得。

無事にカップリフトを終えると、おもむろに取り囲まれての胴上げだ。お世辞にもスリムとは言えない健太監督の身体が国立の空に舞う。

ゴール裏からは次々と選手の名前がコールされていく。
特に、シーズン序盤に左前十字靭帯断裂という大怪我を負った小野雅史へのコールはとても感動的だった。
来年は、マサの左足で名古屋にタイトルをもたらして欲しい。
そして、その時にはまた皆で喜び合おう。

勝利の「風」

セレブレーションもエンディングを迎えようとしていた。
フィナーレはやはり「勝利の風」だ。
大会MVPのミッチがトラメガを構え「ナゴヤーーー」と号令をかけると一斉にスタンドが呼応する。喜びと興奮からかテンポが速い。各々がドラムに合わせるようにテンポを整える。選手、コーチングスタッフ、ベンチ外のメンバー、チアグランパス、グランパスくん、グランパコちゃん、そしてサポーター・・・。

国立競技場に「勝利の風」が吹いた。
その風は間違いなく、グランパスを愛する多くのファミリーによって吹き起こされた。

そして、心地よい「勝利の風」が響き渡った大雨の国立競技場がなんとも言えず美しかった。

【編集後記】

『Just Can’t Get Enough』

セレブレーションも終わり、選手たちが引き上げた直後のゴール裏は、すべてを出し尽くした満足感と、心地よい疲労感で満たされていました。
そんなゴール裏から『Just Can’t Get Enough』が歌われたんですよね。
それは自然発生的であったと後から知りました。
それは、お祭りを締める花火のように国立競技場の夜空に響き渡りました。
本当に本当に幸せな時間でした。

千駄ヶ谷チャレンジ、そして東京駅へ

新幹線の途中下車から始まった波乱の一日は、国立での死闘を経てもなお完結する気配すらなく、次に待ち構えていた試練が「土砂降り、大渋滞、大混雑の千駄ヶ谷チャレンジ」でした。
国立競技場から千駄ヶ谷駅までのわずか数百メートルの道のりを30分以上かけて歩くゲームです。
土砂降りの中、傘も役に立たず、最後まで残っていたグラサポの皆様、大変にお疲れさまでした。

何とか千駄ヶ谷駅に辿り着き、御茶ノ水駅経由で東京駅に到着。
このままでは予定していたのぞみに間に合わないぞ!と冷や汗をかきつつも、ダイヤが乱れに乱れ、新幹線が遅れに遅れているということで、割と余裕をもってお土産と駅弁を買い込むことができました。

そろそろ時間なのではと新幹線ホームへ上がると、なんとグランパスの選手たちがワラワラといらっしゃるではありませんか!
選手たちもお疲れのところ、それでも誇らしく笑顔をたたえていらっしゃいました。

私が乗車するのぞみ号が定刻より30分以上も遅れてホームに滑り込んできましたので、乗車位置に並びますと、おいおいちょっとちょっと、選手たちと同じ車両ですか?そうですか?
僭越ながら名古屋の強力CB、三國ケネディエブス選手の背後を獲ることに成功(後ろに並んでいるだけです)、一言お声を掛けさせていただきました。

「勝利の瞬間、真っ先にゴール裏に飛び込んで来てくれてありがとうございました!感動しました!」

ちょっとドキドキしていたので何を言っているのか、ちゃんと伝わっていたのかは不明ですが、No,28榊原杏太ユニを着た怪しいおっさんからの声掛けにも、素敵な笑顔で喜んでくださいました。

激闘の直後に【テストに出ます】とか、アホな浮かれポストを投稿してしまい申し訳ございませんでした。(反省)

選手たちを乗せたのぞみ号(私も同じ車両に同乗しております)は、定刻より約1時間40分遅れで東京駅を出発。
私は、東京駅ホームで大勢のグラサポさんたちに見送られ(違います)、名古屋への帰路に就いたのでした。

名古屋駅着

名古屋駅に到着すると、銀時計の前にはたくさんの人だかりができており祝福ムードに包まれておりました。
サッカーに興味のない一般の方は何事かと思ったことでしょう。

そして、選手たちはサポーターを引き連れて、待機しているチームバスへと向かいます。
皆さん、笑顔でバスに乗車、そしてバス発車。
感動をありがとうと手を振るグラサポ。
すると一人バスに乗り遅れた選手がいたんですよ。
運転手さんが慌てて気付いて急ブレーキ。
どなたかというのは、名誉のためにも伏せておきますね、椎橋選手!

おしまい。

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