私事ではありますが59
長男猫の病院は、長くかかった。
採血にエコー、それはもう人間さながらである。
「腎臓にしては大きい何か」は「リンパにできた腫瘍」だった。
腹水と胸水も溜まっているとのことだ。
飼い主の洞察力なんてアテにならないな。昨日今日様子がおかしかったんじゃなくてずっと様子がおかしかったんじゃないか。
長男猫の腫瘍がどんなものなのか、体に溜まってしまった水がどこ由来なのか(先生の見立てだと腫瘍由来だろうとのことだが)水を抜き、針を刺して検査するとのことだ。
酸素室に入れてもらうと呼吸がしやすいらしいので長男猫はお泊まりすることになった。
落ち着かないし涙が止まらないが明日まで待とう。
2時間近く泣き通していたらある瞬間から涙が出なくなった。
気持ちが落ち着いたのだろう、と思ったが喉の渇きを感じでお茶を飲んだ。
また涙が出てきた。なんだ本格的に水が足りないだけか。
こんな事態なのにnote書く余裕があるのか、ネタにしてるんだろう、と思われても仕方がないが心がまとまらない。
書き留めるならちらしの裏でいいだろう、と言われればそれまでだが、いつかどこかで誰かが見るかもしれない。
気持ちをわかってほしい。
長男猫のいない家はいつもと同じようで、いつもと全然違うようだ。
お泊まりが終わった。同居人氏も説明を一緒に聞いてくれた。
1人で聞くのは怖かったのもあるし、衝撃的な内容だった時先生の説明を覚えていられない可能性もあった。
昨日の時点で動揺しすぎていたのか「電話連絡があったら病院に行く」だったのか「午後の診療になったら病院に行く」だったかが思い出せなかった。
脳みそは少しでも多い方がいい。
胸水の量は多かった。
「こんなに溜まってたらすごく苦しいはずなのに、我慢強い子ですね」と先生。
「もしかしたら、この子にとってはそんなに緊急事態じゃなかったのかもしれません」とも。
緊急事態じゃねぇかよぅ、長男猫。
お泊まりルームからカゴに入って出てきた長男猫は鳴いた。
私も思わず大きな声で名前を呼んでしまった。
昨日の夜はパウチのご飯をもらったそうだ。
「おいしいのもらったの!よかったねぇ!」とまた大きな声で語りかけてしまった。
長男猫の検査結果は1週間から10日後にわかるとのことだ。
結果がわからなくても薬を飲ませた方がいい、と先生。
おおよその診断は先生の中では出ているのだろう。検査結果は答え合わせのようなものなのかもしれない。
私もやめておけばいいのにネットで調べた。
猫に胸水が発生する理由、原因疾病の可能性は何か、予後がどんなものなのか。
お財布の風通しはかなりよくなった。
病院から帰ってきた長男猫はぐったりしているように見えた。
いつもの隠れ家スポットに隠れている。
声をかけると「あーん」と鳴いた。
病院に置き去りにされて自慢のお腹の毛も剃られて立腹しているようだ。
人間の夕飯はキムチ鍋だ。
食べていたら涙が出て食いしん坊の私は鳴りをひそめてその後寝るまでずっと泣いてしまった。
私が泣いて何か解決するわけではない。
いつかこんな日が来ることはわかっていたのに、小さくなっていく長男猫を直視できない。
私が寝る時の添い寝が復活した。
嬉しい。嬉しくてまた泣いた。
少しずつ、日常が戻ってくる。
しかし結果がわからない毎日は長い。