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【社会人1年目エッセイ】お客さまは常にあなたを見ています。
仕事は研修を終えて実務に入りました。
4月初めには満開だった桜も、今では朽ち落ちた花びらの一片すら町には残っていない。
それと同じように、自分も社会人として4月の頃からは変わり成長していなければいけないな、なんて圧力をその景色から感じて、僕は少しため息をこぼした。
今は研修期間を終えて実務について先輩に教えていただきながら自分で実際にやる段階へと移行している。
ここから先は実際に取引先とも接することになるので、本社でぬくぬく受けてれば良い研修とは明らかに違う。
通勤時、僕の身体は徐々にこわばっていくのだが、上がってきた気温がもたらす生温い空気がその体をほぐしてくれたりもした。
覚えなければならないことはとても多い
実務をしていくなかで、まず感じることはその圧倒的な知識量の必要性。
自社の業務や提供しているサービスの機能について細部まで明確にインプットしておかなければ顧客の質問に対して説明することができないのである。
さらに、そこに加えてお金のやり取りではどんな書類を用意するか
社内の連絡ではどんなデジタルツールを使うか
………
など、とにかく頭の中に入れておかなければならないことが多い。しばらくは、このインプットを繰り返し、忘れてしまったら反芻し、をやっていくのだろう。
ついこの前まではどんな仕事をするんだろうなんて不安があったのに、それが分かった途端にまた新たな不安が出るなんて、
「結局ずっと不安なんだな」
と自分の性格について再確認し、僕はまた窓の景色に向けてため息をこぼした。
「お客さまから見られている」という意識
顧客と接するときに、僕たち新社員が上司に繰り返し言われたのはこの言葉だった。
「お客さまは常にあなたを見ています。プロとしての意識をもって仕事をしましょう。」
他の人はどうなんだろう。確かにプロの意識をそこまで強く持ってる人っていうのは珍しいと思うけど。
僕にはそんなことを言われる前から
「人は自分のことを見ている」
という意識がありすぎるほどにあった。
自意識過剰と言われるほどに。
だからなのかもしれないけど。
周りの先輩から
「あなたはすごい落ち着いているわね~」
何て言われたりした。
もちろん、新社員にしてはという冠言葉がついての言葉だろうし、まだまだ僕自身足りないところだらけなのだけど。
それでも、僕は周りの目を気にする自分の性格にコンプレックスがあった。
自分の心のなかにはもう一人俯瞰的な自分がいて、本当はやりたいことがあっても恥ずかしくてできなかった、なんてこともあった。
そんな背景も重なって、僕は自分のコンプレックスだと思っていた性格が良い面に働いたことに今まで感じたことのない幸福感を得た。
「自分の性格に向いている環境(職場)」という視点は僕が今思っているより大事なことなのかもしれない。
帰り道、すっかり緑の葉がついた桜の木を見上げた僕は深呼吸をしてゆっくりと息を吐きだした。
読んでくださりありがとうございました。