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【メンター・インタビュー 01】持続可能な社会の実現のために(名取 洋司さん)

女子中高生のためのエンパワーメントプログラム、Girls Unlimited Program(GUP)。
2017年のGUPにメンターとして参加された名取さんに、GUPとの出会いや、環境系の仕事に就いている名取さんならではの女性のエンパワーメントについてのアイディアを伺うことができました。(肩書きなどは2021年のインタビュー当時)


GUP参加当時

GUPには、2017年に参加しました。当時、私は一般社団法人 コンサベーション・インターナショナル・ジャパン(CI)という環境系NGOに勤務していました。

環境分野の課題解決のためには女性の視点が極めて重要であるにも関わらず、女性の声が反映されていないことがとても多いのです。例えば、私がインドで携わっていたプロジェクトのコミュニティーでは、男性は主に狩猟をする役割を、女性は畑で野菜などを育てるといった役割を担っていました。役割が異なると自然資源に対する視点や自然資源の使い方についての考え方が異なってくるものの、コミュニティーの意思決定プロセスに参加するのは社会・文化的背景から男性が圧倒的に多く、意思決定に多様性が生かされていない、といった課題がありました。このようなことから、ジェンダーの視点を取り込んでより良いプロジェクトを設計し実施することができるように、環境保全に関わる人向けにワークショップを開催していました。これらの経緯で、GUPに関心を持ったのですが、参加していたガールズたちが、中高生とは思えないくらい自分のやりたいことをしっかりと持っていること、また、社会を捉える視点を兼ね備えていることなど、彼女たちの積極性がとても印象に残っています。GUPは、堅苦しくない雰囲気の中で、偉大な人生の先輩たちが可能性を見せてくれ、メンターを交えた議論も通じてガールズたちが自分たちの中にそれぞれの可能性を膨らませる場になっていたのではないかと思います。

現在、そして未来

現在は、国際教養大学国際教養学部グローバル・スタディズ課程で、大学生に対して環境学やサステイナビリティについて教えています。最近、ニュースでも気候変動やエシカルファッションについて耳にすることが多くなったせいか、この分野に関心を持つ学生も増えています。

私は二人の女児の父ですが、プライベートでも、彼女たちが大人になったときに、活躍できる場や選択肢がある社会、即ち持続可能な社会の実現に関心を持っています。子どもの保護者会などに参加すると、男性は圧倒的マイノリティで居心地の悪さを感じていたのですが、先日のGUPの同窓会の機会に、女性はこの居心地の悪さを社会で常に感じているのかもしれないと、気付きました。女性が存分に活躍できる持続可能な社会の実現には、女性の努力だけではなく、男性の努力も必要だと感じています。

大学院卒業後、約13年環境系NGOで勤務した後、一昨年から大学の職に就きました。持続可能な社会を実現するためには、人生の早い段階からその意識を持つことが大切と考えたからです。学生たちにサステイナビリティの種を蒔き、彼ら彼女たちが卒業しキャリアを進める中で、それらの種から芽を出し、花を咲かせていってほしいと思っています。これからの世代には、多様性を大事にして欲しいなと、切に感じています。多様性を軽視して意思決定をすることは簡単です。しかし、今、持続可能でない世界が抱えている問題の多くは、簡単な方法を選んだ付けが回ってきているのです。これからは、一人一人が多様性を尊重した考え方を身に付けていくことが極めて重要になってくると思います。

ただ、多様性を尊重するといっても、単に機会を提供すれば良いかといったら、そうでもないと思っています。特に女子中高生(ガールズ)のエンパワーメントという観点でいうと、男子学生と同じ出発点に立ち、前進していく際のサポートがとても重要だと思っています。GUPに参加してくるような、活発に活動の幅を広げているガールズは、過去に何らかの壁を乗り越えてきたのかなと思いますが、そういった子たちと、まだ出発点に立てていない子たちの間の交流も重要だと思います。同時に、男性側の意識変革も必要になってくるのだと思います。

ガールズに一言

自分のやりたいと思っていることに挑戦してみる心を持つこと、それはとても大事なことだと思います。やりたいと思っていること全てに挑戦できるのが、中学・高校時代。でも、挑戦してみないとわからないことも沢山あります。皆さん一人一人に、開ける道があります。そして、一人一人に勇気を出して挑戦していってもらいたいなと思っています。

名取 洋司 さん(国際教養大学)


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